プレジデント 2023/10/13号
では「健康診断のウラ側」ということを特集していました。
ここで東大医学部卒の医師3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズです。
和田秀樹という精神科医は「フィンランド保険局の調査で、血圧、血糖値、コレステロール値をコントロールしないほうが、死亡リスクが減少するという結果が判明しています」「数値のコントロールは早死にを招く」(24ページ)と書いています。上の図の赤線の部分です。
何もコントロールしない群と、intervention群すなわち治療介入する群を比較したら、18年間のフォローで何もコントロールしない群で1000人あたり31.1人、治療介入する群で63.7人で、治療介入する群の方が多く死亡しているではないか!と言いたいようです。
これも誤りです。
彼は以下の論文と上の図を日本語に訳してプレジデント 2023/10/13号に載せています。
Mortality in participants and non-participants of a multifactorial prevention study of cardiovascular diseases: a 28 year follow up of the Helsinki Businessmen Study.
Br Heart J 1995;74:449-54.
そこで私はその論文の原文を読んで確かめてみました。
原文には以下のように書いてありました。
Total deaths were significantly predicted by age (RR 1.48, 95% CI: 1.31-1.66), systolic blood pressure (RR 1.18, 95% CI: 1.13-1.24), serum cholesterol (RR 1.11, 95% CI: 1.04-1.19), and smoking (RR 1.87, 95% CI: 1.55-2.25).; coronary death by age (RR 1.44, 95% CI: 1.19-1.75), systolic blood pressure (RR 1.26, 95% CI: 1.15-1.34), and cholesterol (RR 1.26, 05% CI: 1.13-1.41).
補足してまとめますと、
死亡は、年齢が5歳増えると1.48倍、血圧が10mmHg増えると1.18倍、総コレステロールが約38mg/dL増えると1.11倍、喫煙があると1.87倍増える。狭心症や心筋梗塞で死亡するのは、年齢が5歳増えると1.44倍、血圧が10mmHg増えると1.26倍、総コレステロールが約38mg/dL増えると1.26倍増える。
と書いてありました。
そして結論に以下のように書いてありました。
In conclusion, this study shows that the traditional cardiovascular risk factors are also important predictors of mortality among men of the highest social class.
「結論として、(教育を受けた)高いクラスの男性の間でも、(血圧、血糖、コレステロール値という)伝統的なリスク因子は死亡リスクを評価するのに重要な因子である。」
また、18年間のフォローで何もコントロールしない群より治療介入する群で多く死亡している点について、
「However, the important questions remain: what is the optimal treatment to lower the risk factors in primary prevention and what are the target levels for intervention? Apparently the intervention methods were not optimal in the Helsinki Businessmen Study.」
「適切な治療介入とは何であるか、どこまで治療介入するかは未だ不明であり、この研究での治療介入は適切でなかった」と書かれています。
「適切でない治療介入だった」とはどういう方法だったのか、この論文で2番目に引用されている論文に、この論文の研究方法が詳しく書かれていましたので、原文を読んでみました。
血圧の治療薬は、日本でも第一選択薬ではない、「利尿薬」と「ベータ・ブロッカー」でした。また、コレステロール低下薬は、現在はコレステロール低下作用以外にも抗炎症作用、抗酸化作用を併せ持つ「スタチン」が使用されるのに、この研究では「フィブラート系」が使用されていました。
つまり、適切でない治療介入で調べられたこの研究の結果から「数値のコントロールは早死にを招く」と導くのは誤りと言えます。
一方で、「○○値の下げすぎはNG」とか「やや高めでもいい」と、批判をかわせるようなあいまいな表現をしています。
さすが「東大話法」!
↓
東大話法その1、自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
東大話法その2、自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
東大話法その3、都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
・
・
東大話法その12、自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。 など、
↓ここに載っています。
東大話法
このような誤りの記事は(真実性)、たとえ悪気がなくても、国民に不利益をもたらす(公益性)(公共性)こともあるので、注視すべきことだと思います。
東大医学部卒の医師3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズ、これからも続けていきたいと思います。
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では「健康診断のウラ側」ということを特集していました。
ここで東大医学部卒の医師3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズです。
和田秀樹という精神科医は「フィンランド保険局の調査で、血圧、血糖値、コレステロール値をコントロールしないほうが、死亡リスクが減少するという結果が判明しています」「数値のコントロールは早死にを招く」(24ページ)と書いています。上の図の赤線の部分です。
何もコントロールしない群と、intervention群すなわち治療介入する群を比較したら、18年間のフォローで何もコントロールしない群で1000人あたり31.1人、治療介入する群で63.7人で、治療介入する群の方が多く死亡しているではないか!と言いたいようです。
これも誤りです。
彼は以下の論文と上の図を日本語に訳してプレジデント 2023/10/13号に載せています。
Mortality in participants and non-participants of a multifactorial prevention study of cardiovascular diseases: a 28 year follow up of the Helsinki Businessmen Study.
Br Heart J 1995;74:449-54.
そこで私はその論文の原文を読んで確かめてみました。
原文には以下のように書いてありました。
Total deaths were significantly predicted by age (RR 1.48, 95% CI: 1.31-1.66), systolic blood pressure (RR 1.18, 95% CI: 1.13-1.24), serum cholesterol (RR 1.11, 95% CI: 1.04-1.19), and smoking (RR 1.87, 95% CI: 1.55-2.25).; coronary death by age (RR 1.44, 95% CI: 1.19-1.75), systolic blood pressure (RR 1.26, 95% CI: 1.15-1.34), and cholesterol (RR 1.26, 05% CI: 1.13-1.41).
補足してまとめますと、
死亡は、年齢が5歳増えると1.48倍、血圧が10mmHg増えると1.18倍、総コレステロールが約38mg/dL増えると1.11倍、喫煙があると1.87倍増える。狭心症や心筋梗塞で死亡するのは、年齢が5歳増えると1.44倍、血圧が10mmHg増えると1.26倍、総コレステロールが約38mg/dL増えると1.26倍増える。
と書いてありました。
そして結論に以下のように書いてありました。
In conclusion, this study shows that the traditional cardiovascular risk factors are also important predictors of mortality among men of the highest social class.
「結論として、(教育を受けた)高いクラスの男性の間でも、(血圧、血糖、コレステロール値という)伝統的なリスク因子は死亡リスクを評価するのに重要な因子である。」
また、18年間のフォローで何もコントロールしない群より治療介入する群で多く死亡している点について、
「However, the important questions remain: what is the optimal treatment to lower the risk factors in primary prevention and what are the target levels for intervention? Apparently the intervention methods were not optimal in the Helsinki Businessmen Study.」
「適切な治療介入とは何であるか、どこまで治療介入するかは未だ不明であり、この研究での治療介入は適切でなかった」と書かれています。
「適切でない治療介入だった」とはどういう方法だったのか、この論文で2番目に引用されている論文に、この論文の研究方法が詳しく書かれていましたので、原文を読んでみました。
血圧の治療薬は、日本でも第一選択薬ではない、「利尿薬」と「ベータ・ブロッカー」でした。また、コレステロール低下薬は、現在はコレステロール低下作用以外にも抗炎症作用、抗酸化作用を併せ持つ「スタチン」が使用されるのに、この研究では「フィブラート系」が使用されていました。
つまり、適切でない治療介入で調べられたこの研究の結果から「数値のコントロールは早死にを招く」と導くのは誤りと言えます。
一方で、「○○値の下げすぎはNG」とか「やや高めでもいい」と、批判をかわせるようなあいまいな表現をしています。
さすが「東大話法」!
↓
東大話法その1、自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
東大話法その2、自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
東大話法その3、都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
・
・
東大話法その12、自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。 など、
↓ここに載っています。
東大話法
このような誤りの記事は(真実性)、たとえ悪気がなくても、国民に不利益をもたらす(公益性)(公共性)こともあるので、注視すべきことだと思います。
東大医学部卒の医師3人が、誤ったことをたくさん扇動していましたので、一つ一つ根拠を示しながら反論するシリーズ、これからも続けていきたいと思います。
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