医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

はしかワクチンの重要性

2010年08月13日 | 感染症
(m3より改変引用)
はしか(麻疹(ましん))の予防接種率が伸び悩んでいる。国は接種率95%以上で人口100万人当たりの感染者が1人未満になる「排除」の状態を目指している。だが、09年度の接種率は1歳の定期接種では93・6%と目標に近いものの、13歳と18歳を対象にした追加接種では、それぞれ85・9%、77・0%にとどまった。幼少期のはしか感染には、難病発症の可能性があり、はしかの早期根絶には接種率の向上が鍵を握っている

国立感染症研究所によると、はしか患者は高校や大学で流行した07年に子どもだけで計3133人、08年は成人も含めて計1万1012人に上った。今年の患者数も8月4日現在計326人で、人口100万人当たり約2・7人と流行が続いている。

SSPEは特に学童期に発症することがある中枢神経疾患だ。一度感染したはしかウイルスが脳に潜伏後、SSPEウイルスに変異して数年後に発病。原因は不明で治療法はなく、ゆっくりと神経症状が進んで意識がなくなり、やがて死に至る。発生頻度は、はしか患者10万人に1人とされる。

はしかは接触や飛沫(ひまつ)、空気のいずれでも感染する。はしかウイルスの直径は100-250ナノメートル(ナノは10億分の1)で、飛沫核の状態で空中を飛び、それを吸い込むことで感染するため、マスクでの予防は難しい。唯一の予防方法は、ワクチン接種ではしかに対する免疫をつけておくことだ。

国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長によると、予防接種をしない人が増えると感染が広がる。はしかワクチンは通常、1回接種すれば95%以上の人に免疫ができる。毎年、95%程度の接種率を保てば、患者発生はほぼゼロに抑えられる。

岡部センター長は「はしか患者が20万-30万人いれば、そのうち数人がやがてSSPEを発病する。だが患者が1000人を切れば、この病で亡くなる人がいなくなることにつながる」と説明する。

沖縄では90、91年にはしかが流行した。原因は不明だが、高頻度でSSPEが発生している。SSPEを発症した康太郎さんもこの流行ではしかに感染した。母陽子さん(52)は「はしかの怖さを知らず、予防接種をしなかった姉から(接種前の)弟の康太郎に感染してしまった。いつも後悔している」と話す。
(以上、引用)


インフルエンザが飛沫感染であるのに対して、はしかは空気感染(通常のマスクで予防できない)であることが重要ポイントです。


麻疹ワクチン定期接種対象者 
第1期 1歳以上2歳未満
第2期 小学校入学前年度の1年間にあたる子ども
第3期 中学1年生に相当する年齢
第4期 高校3年生に相当する年齢
※第3、4期は08年度から5年間の期限付き措置
※定期接種期間中は無料。厚生労働省は2回接種することを勧めている


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バイオフィックス事件

2010年08月07日 | 循環器
以前、ゼチーアが動脈硬化の進行に対して(もちろん動脈硬化性の疾患による死亡や発症に対しても)有用性が認められなかった研究についてお伝えしました。この研究の経緯をもう少し詳しくお伝えしたいと思います。

その前に、バイオフィックス事件のことを知っておく必要があります。バイオフィックスという薬は簡単にいうと血液をさらさらにする薬で、胃潰瘍などの副作用がないため心筋梗塞や脳梗塞などの疾患に有用性が高いと期待されていました。メルクという製薬会社が欧米で販売していました。しかし実際に販売されると、バイオフィックスの内服で死亡率が4倍になってしまいました。

ここでの問題は、死亡率が4倍になったことやその危険性が発売後に判明したことではなく、メルクはそのような危険性をある臨床研究の結果から知っていたにもかかわらず隠蔽していたことと、隠蔽は意図的に行われており、その事実が発覚したのはメルク社の不注意からにすぎなかった、つまり不注意さえなければこの事実は永久に隠蔽され続けたということです。

2004年9月にメルクはバイオフィックスの発売を中止しましたが、危険性が社内で明るみになってすでに3年経過していました。バイオフィックスの被害者は15~20万人と公表されました。

さて、ゼチーアはこのメルク社とシェリング・プラウ社が販売しています。以前お伝えした研究の期間は2年間で、2006年4月には終了して結果の報告は2006年9月の予定でした。ところが2007年12月になってもなんの報告もなく、アメリカの議員たちはメルク社とシェリング・プラウ社になにか困った事態が発生しているのではないかと疑い始めました。

この時、製薬会社の善意を信じて何100万人もの人々が、動脈と心臓を守ってくれることを期待してゼチーアを内服していたのです。アメリカの連邦行政機関はゼチーアの販売を許可したのは、唯一、その悪玉コレステロール低下作用だけを根拠とするものでした。発症や死亡に対する効果はこの時まだ証明されていませんでした。

メディアやアメリカ食品医薬品局は「この研究でゼチーアの有効性は認められずなんとか隠蔽しようとしているのではないか」と疑い始めました。かつてのバイオフィックス事件を思い出したのです。

2007年12月、アメリカの下院議会委員会は、この研究結果にメルク社とシェリング・プラウ社が不利になる事態があったのではないかと疑い、結果の公示を求めましたが、両社は「技術的な問題のため研究はまだ終了していない。従って結果を得られる段階に至っていない」と主張しました。しかし、下院議会委員会はいかなる妥協にも応じず、結果発表の最終期限を2007年12月25日としました。提出されなければ強制的に研究に関する文書を調べるような事態になると通告しました。

不思議なことに両社はあれほど最終結果に至っていないと言っていたのに、2008年1月14日プレスリリースという形で結果を公表しました。つまり、結果はすでに得られていたのです。

結果は以前お伝えした通りです。


メルク社の共同研究者であるデューク大学のカリフ教授は間接的に「悪玉コレステロール値を下げるのだから動脈硬化に対する効果はなくても構わない」という馬鹿げたコメントを出しました。それらに対して一般メディアの評論家たちはメルク社のシェリング・プラウ社の虚偽や不誠実を非難しました。


以上の経過から考えられる問題点です。

(1) 臨床的有用性がまだ証明されていないのに悪玉コレステロールを下げたというだけでなぜゼチーアは販売が承認されたのか?
(2) ゼチーアがスタチンに加えて悪玉コレステロールを20%も低下させたが、その臨床的有用性が示されなかったのに、「悪玉コレステロールは低ければ低い方がいい」と主張している医者たちは、なぜその考え方を再検討しようとしないのか?


アメリカ食品医薬品局も同様の見解を変えていません


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