医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

慢性被ばくでガンの発症が減る(その2)

2011年07月30日 | 
皆さんこんにちは。被ばくにより発ガン率が減少すること「放射線ホルミシス」を耳にした方は多いと思いますが、そのデータがどの医学雑誌の何ページに記載されているか知っている方は多くないと思いますので、お伝えするシリーズです。

Cancer risk and low-level radiation in U.S. shipyard workers.
J Radiat Res 2008;49:83.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

アメリカの原子力潜水艦の造船所では職員が被ばくを受けています。被ばく量はそれぞれの個人が携帯しているフィルムバッジで正確に測定されます。日本の医療従事者も放射線管理区域で仕事をするときは携帯を義務づけられているフィルムバッジです。その携帯を忘れることはあっても携帯しているときの被ばく線量は必ずフィルムに残りますので、その数字が実際よりも少ないことはあっても、多いことはないわけです。

さてこの研究では、アメリカの原子力潜水艦の造船所の職員で被ばくを受ける仕事に就いている者24,130人、被ばくを受けない仕事に就いている者33,353人、造船所の職員ではなく被ばくしていない人125,925人が平均13年間調査されました。

上の図左では、被ばく者は5ミリシーベルト未満の被ばくと5ミリシーベルト以上の被ばくに分けて、造船所の職員でなく被ばくしていない人と比較されました。もちろん年齢などは調整して比較してあります。

その結果、被ばくしている職員はいずれの群でも、造船所の職員でなく被ばくしていない人よりガンの発症率の低下が影響して死亡率は減少しました(0.76倍と0.81倍)。0.76倍って、かなりの減少率です。

上の図右では、5~9.9ミリシーベルトの被ばく者の死亡率を1とした場合、10~49.9ミリシーベルトの群、50ミリシーベルト以上の群でも死亡率は同じでしたが、5ミリシーベルト未満しか被ばくしていない造船所の職員の群では1.13倍、造船所の職員でなく被ばくしていない人では1.39倍、有意に死亡率が上昇していました。

やはり、適度な慢性全身被ばく(台湾の調査からは生涯合計400~500ミリシーベルトまでぐらい)はガンの発症率を減少させます。

一方、白血病の発症率は全ての群で同じでした。甲状腺ガンの発症率は調べられていませんでした。

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慢性被ばくでガンの発症が減る(その1)

2011年07月20日 | 
被ばくにより発ガン率が減少すること(放射線ホルミシス)を耳にした方は多いと思いますが、そのデータがどの医学雑誌の何ページに記載されているか知っている方は多くないと思いますので、今後お伝えしたいと思います。

その前に、誤解のないように被ばくについて簡単に整理してみます。
急性被ばく・・・一回、あるいは数回で被ばくすること
慢性被ばく・・・少量の放射線を少しずつ浴び続けること

局所被ばく・・・CT検査などで頭部だけ被ばくするなど、局所だけ被ばくすること
全身被ばく・・・その名のごとく全身が被ばくすること

Effect of cobalt-60 exposure on health of Taiwan residents suggest new approach needed in radiation protection
Dose Response. 2006;5:63.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

↑この論文は台湾人が書いた平易な英語で書かれてありますので、原文が読みやすいです。

1982年から1984年の間、台湾でリサイクルされた鉄鋼にコバルト60(半減期:5.3年)の放射能の汚染があるのを知らずに、その鉄鋼を使い1,700戸あまりの住宅やアパートメントが建設されました。住民は9~22年間それらの住居で生活し、その結果、約10,000人が被ばくしました。

この調査は実際に線量計で住宅やアパートメントの放射能を測定し、住民はリビングルームに8時間、ベッドルームに8時間、屋外に8時間いたと仮定して、合計の被ばく量が計算されました。

実際の被ばく量は、左図にあるように高度被ばくで合計4,000ミリシーベルト、中等度被ばくで420ミリシーベルト、軽等度被ばくで120ミリシーベルトでした。それぞれの人数は左側に記載されています。年間被ばく量は平均で72ミリシーベルトで、調査期間総計では平均600ミリシーベルトでした。

結果は、20年間の追跡調査で右の図にあるように、被ばくしていない一般の国民のガンによる10万人あたりの死亡率は、生活習慣の悪化やその他の因子によって増加したのに対して、被ばくした住民の死亡率は徐々に減少していきました。

日本人の場合、男性の2人に1人、女性の3人に1人はガンに罹患します。それは以前お伝えしたように、喫煙、肉食、運動不足、飲酒、野菜果物低摂取などが原因となっています。

医学研究で、1回のCT検査約10ミリシーベルトの「急性被ばく」かつ「局所被ばく」で被ばくした局所のガンの罹患率が約0.1%上昇すると報告されているので、1回CT検査をした場合、日本人男性の発ガン率は0.1%上昇して50.1%になるという考え方が正当だと思われます。

発ガン率を上昇させている因子の関連は「慢性全身」被ばくよりも、喫煙、肉食、運動不足、飲酒、野菜果物低摂取などの方が百倍以上高いということがわかります。

慢性全身被ばくで騒ぐ前に、生活習慣が乱れている人はまずそれを改善する方が重要とも言えます。

そして、喫煙はガンの非常に大きなリスク因子であり、慢性全身被ばくはむしろガンを抑制するのですから、喫煙している人が慢性全身被ばくにおびえるのは、全くの見当違いと言えます。それならまず禁煙して下さいということです。

福島の原発事故でどれくらい将来の発ガン率や死亡率が高まるのか、もちろんそのようなデータはありませんので、政府や学者が安全だ危険だと言ったところで、結局それを判断するのは過去の情報を集めたそれぞれの個人に委ねられています。

チェルノブイリ原発事故後のガンの発症

この台湾の調査はコバルトの被ばくですので、ヨウ素やセシウムに関しては不明だという限界はありますが、私個人は、今回の福島の原発事故で警戒すべきは小児の甲状腺ガンと白血病で、その他の人々は慢性の全身被ばくにより発ガン率は低下するのではないかと考えています。

ただし、プルトニウムから放出されるα線や核分裂反応で放出される中性子線が放出されているのに、政府がそれを隠しているとすれば話は別です。

誤解を避けるために申し添えますが、原発事故の収束のために作業している人々は別です。彼らは「急性」の全身被ばくをしているので、慢性の全身被ばくとは分けて考えないといけないです。

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チェルノブイリ原発事故後のガンの発症

2011年04月28日 | 
1986年のチェルノブイリ原発事故後20年間のガンの発症については有名な論文がありますので、過去から学ぶという意味でもご紹介したいと思います。この論文は関連する論文50編以上をまとめたレビューです。

Cancer consequences of the Chernobyl accident: 20 years on
J Radiol Prot. 2006 Jun;26(2):127-40

(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

ヨウ素131は半減期が8日と比較的短いのですが甲状腺が特異的に被曝を受けるため、子供たちの間にガンや機能障害などの深刻な影響をもたらしました。

まず、上の図はチェルノブイリ原発事故後20年間の甲状腺ガンの10万人あたりの発症数を示したものです。黒の実線は発生当時の年齢が14歳までの子供、青の点線は15歳から18歳まで、グレーの実線は19歳~34歳です。事故発生4年後ぐらいから発症が増えていますが、子供はその後発症率は減少している反面、それ以上の年齢では増えています。幸い致死的なものは少ないそうです。

35歳以上での甲状腺ガンの発症に関しては、発症率の上昇は明らかでないと以下のように本文に書いてあります。
While the increased risk of thyroid cancer in those exposed in childhood and adolescence
is well demonstrated, the effect of exposure on adults remains unclear.

白血病に関しては、ウクライナの研究では原発事故による発症の増加は明らかになっていますが、ロシアとベラルーシュの研究では関連性は認められていません。従って結論を出すには至っていないそうです。原文では次のように書かれています。
Thus, the current information is scant and conclusions cannot be drawn about possible increases
in childhood leukaemia following the Chernobyl accident

その他のガンの発症については、これまでのところは原発事故で上昇したというデータはないそうです。原文では次のように書かれています。
Today, nearly 20 years after the Chernobyl accident, the large increase in thyroid cancer
incidence among those exposed in childhood and adolescence continues; fortunately, few of
these have been fatal. In contrast, at this time, no clearly demonstrated increase in the incidence
of other cancers can be attributed to radiation exposure from the accident.

これらの結果からは、今回の福島原発事故では34歳以下の甲状腺ガン・白血病の発症に注意を向けるべきだと思います。

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被ばく量について、悪意に満ちたNHKの報道

2011年03月16日 | 
今日は福島市で1時間に21.4マイクロ・シーベルト(ミリ・シーベルトではありません)の放射線量が観測されたとNHKで報道されていました。北茨城市では1時間に15.8マイクロ・シーベルトだそうです。

上の画像のように、1回の胸部レントゲン検査が50マイクロ・シーベルトなので、福島市の放射線量はそれ以下で全く心配ないと報道しています。しかし、ここでも昨日お伝えした「時間」の概念が全くありません。昨日の私のブログの記事を理解された方なら、もうこの報道の間違いにお気づきだと思います。アホか!と言いたいです

1時間に21.4マイクロ・シーベルトということは、このままの状態が今後も続くならば、1か月間に福島市で被ばくする量は21.4 x 24時間 x 30日 = 15408マイクロ・シーベルト、すなわち15.4ミリ・シーベルトです。1回の胸部レントゲン検査は、あくまでも1回のものなのです。胸部レントゲン検査を連続で何千枚と撮り続ける状況などまったくあり得ません。しかし、福島市の住民は、まさそういう状況に置かれる可能性があるのです。

6か月この状態が続けば、15.4 x 6 = 92.4ミリ・シーベルト(6か月間)の被ばく量となり、ガンの可能性が増えてくる100ミリ・シーベルトに近づいてきます。

少なくとも、この辺の妊婦さんと子供は疎開するべきではないでしょうか?
全身被ばくと局所被ばくでは状況は異なりますが、

妊娠可能な女子の腹部には3カ月で13ミリ・シーベルト以下にしなさいと医療法施行規則第30条の27(許容線量)で規定されています。
また妊娠中の女子の腹部に対して妊娠と診断された日から出産までの間に対しては10ミリ・シーベルト以下と規定されています。
これは10ミリ・シーベルトの被ばくで遺伝に対する障害が1万分の1の確率で発生するようになるからです。


NHKのスタッフは、1回の胸部レントゲン検査と比べただけで本当に心配ないと思っているのでしょうか。そうだとしたら、NHKのスタッフの頭脳は小学生並みだと言わざるを得ないし、時間の概念をごまかしていることを知っているにもかかわらず恣意的にゆがめた報道だとすれば大問題です。NHKや政府や東京電力が、国民に対して「正確な情報を知らせないで、まかせるだけにさせておいたほうがよい」と考えているなら、バカにするなと言いたいです。

今回の原発事故でも、最悪の事態を想定してこなかったからこうなってしまったということが教訓になっていないような気がします。

「サリドマイド」「水俣病」「ゆとり教育」など、「全体責任は無責任」だという姿勢で、後になってあの時対策をとっていたらこんなことにはならなかったなどとならないように祈るばかりです。ちなみに、これを異論も挟まず報道していたのは大越健介氏と青山祐子氏です。


反対に、現場で命がけで対策を施している東電・東京消防庁の職員の皆さまには本当に頭が下がる思いです。

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被ばく量について

2011年03月15日 | 
慢性被ばくでガンの発症が減る(その1)

慢性被ばくでガンの発症が減る(その2)

上の図は、下の論文からの引用で、1回のCT検査で負うガンのリスクです。年齢・性別で異なります。実線が女性、点線が男性です。
JAMA. 2007;298:317.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

被ばく量を理解するためには、「量(強さ)」の概念と「時間」の概念を理解する必要があります。

基本中の基本として、私たちは日常生活でも宇宙から宇宙線を浴びて1年間で2.4ミリ・シーベルト(地球平均)の被ばくをしていますが、これは「1年間」で「2.4ミリ・シーベルト」という意味です。

東京~NY間を飛行機で1回往復すると0.2ミリ・シーベルトといわれています。これでは時間の概念が省略されていますが、それはすなわち飛行時間、東京~NY間でしたら「12~13時間」に0.2ミリ・シーベルト被ばくするという意味です。時間の概念は非常に重要です。

1年間で東京~NY間往復を10回すると0.2ミリ・シーベルトx10=2ミリ・シーベルトの被ばく、そこに日常生活での宇宙からの2.4ミリ・シーベルトが加わるので、合計年間4.4ミリ・シーベルト、というような計算ができることがまず必要です。

1回の胸部CTスキャンで浴びる量は6.9ミリ・シーベルトと報道されていますが、最近のCT検査では詳しいことまでわかろうと努力して施行されますので、1回のCT検査で10~15ミリ・シーベルトの被ばくと考えた方が妥当です。ただし、ここでも時間の概念が省略されています。1回のCT検査に1分かかるとすれば、それは「1分間」で「10~15ミリ・シーベルト」ということです。現実にはありえませんが、CT検査を1時間受けると、10~15ミリ・シーベルトx60=600~900ミリ・シーベルトの被ばくを受けます。

さて、「福島第1原発3号機正門で400ミリ・シーベルト、4号機で100ミリ・シーベルトの放射線が測定された」と報道されましたが、「えっ?何時間の間に?」という疑問がうまれれば、ここまでの説明が理解できたということです。マスゴミの報道には、この「時間」の概念がないものがありますので、注意が必要です。

別の報道では「1時間あたり、400ミリ・シーベルト」と言っていましたので、これが真実かどうかは別として、さきほどのCT検査と比較します。仮にCT検査を1時間受けると、600~900ミリ・シーベルトの被ばくを受けますので、「1時間あたり、400ミリ・シーベルト」というのは、単位時間あたりの被ばく量はCT検査と比較して強さ自体は半分と計算できます。

しかし実際は、福島第1原発3号機正門に1分だけいてあとは全く被ばくを受けないというCT検査のような状況ではないので、福島第1原発3号機の正門に防護服なしで30分でもいることは危険なことです。

上の図は、1回(1分ぐらい)の胸部CT検査(10~15ミリ・シーベルト)で被ばくをうけると、約1000分の1の確率で被ばくによる乳ガン、肺ガンのリスクを背負うということを以前お伝えしたものです。ただし、CT検査では曝露する範囲が限定されているので、ある臓器の平均吸収線量=全体平均吸収線量とみなすと被ばく量によるリスクを過大評価してしまいます。

その他、医学的には
100ミリ・シーベルトでガンになる確率が増加し始める。
(日本人男性は一生涯で半分がガンに罹患しますので、50%が51%とか52%に上昇してくるという意味です)
500ミリ・シーベルトで、末梢血中のリンパ球が減少、嘔吐、脱毛
3000~5000ミリ・シーベルトで60日以内に半数の人が死亡するといわれています。


なお、マイクロ・シーベルトはミリ・シーベルトの1000分の1の単位ですので混同しないように注意が必要です。


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心臓の血管に対するCT検査のX線被ばくによるガンの発生率

2008年01月31日 | 
CT検査の技術の進歩により、最近は拍動している心臓の血管までも映し出す事ができるようになり、心臓カテーテル検査を受けなくても90%以上の精度で病変をとらえることができるようになりました。しかしCT検査のX線被ばく量は無視できません。

以前、心臓に特定しないCT検査のX線被ばくによるガンの発生率についてお伝えしましたが、今回は心臓の血管に対するCT検査のX線被ばくによるガンの発生率についてです。
JAMA. 2007;298:317.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)



1年2回のCTスキャンで被曝する線量は、日本の原爆投下時の爆心地から2マイル(約3.2km)離れた場所にいた生存被爆者が被曝した線量とほぼ同等であるそうです。この研究では、生存被爆者のその後のガンの発生状況を、日本人とアメリカ人のガン発生率の違いで補正したBiological Effect of Ionizing Radiation 7th Report (BEIR VII)というレポートを基にガン発生のリスクが計算されました。

64列CT装置による1回の検査で発生するガンのリスクは女性、若年である方が高く、20歳女性で143分の1でした。

上の図は1回の検査で発生する肺ガンと乳ガンのリスクで、実線が女性、点線が男性です。縦軸は発生率で一番上が1%、横軸は年齢です。

男性の場合年齢にそれほど関係なく1回の検査で0.1%すなわち1,000分の1の肺ガンのリスクを負うことになります。

例えば30歳の女性の場合、1回の検査で0.2%すなわち500分の1の肺ガンのリスクと、乳ガンのリスクも同等に負わせることになります。40歳の女性の場合は0.2%すなわち500分の1の肺ガンのリスクと、0.1%すなわち1,000分の1の乳ガンのリスクを負わせることになります。

40~50歳以下の女性の心臓の血管に動脈硬化病変がある確率はきわめて低く、CT検査の被ばくによるリスクを考慮すると、心臓カテーテル検査が避けられるからといって安易に64列CT装置による検査を行うのは避けなければならないことがわかります。


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左側の乳ガンに対する放射線治療は心筋梗塞を増やす

2006年09月04日 | 
なぜこのような研究を思いついたのか不明ですが、発想もユニークで、かなり大規模な研究でありながら、治療経過と冠動脈疾患のリスク因子について長期にわたって詳細に解析し、その上結果も出ている素晴らしい論文だと思います。データベースがしっかりしているアメリカならではの研究です。

Late cardiac mortality and morbidity in early-stage breast cancer patients after breast-conservation treatment.
Journal of Clinical Oncology. 2006;24:4100.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★☆)

対象は1977年から1994年にステージIかIIで放射線治療を受けた961人で、治療を受けた側(右か左か)別に、その後最長20年間にわたり心臓病による死亡、心筋梗塞、動脈硬化性心臓病、胸痛の発症は調査されました。調査期間の平均は12年でした。

心臓病による死亡は右側に治療を受けた群で2%、左側に治療を受けた群で3.5%と差がありませんでしたが、心筋梗塞の発症は右側に治療を受けた群で3.6%、左側に治療を受けた群で6.4%と、心臓がある左側に治療を受けた群で有意に多い(p=0.002)ことがわかりました。

動脈硬化性心臓病、胸痛の発症に関しても同様で、狭心症などの動脈硬化性心臓病の発症は上の図のように20年で10%対25%と大差がついています。

アメリカでは約8人に1人の女性が乳ガンを発症するのでこの問題は深刻であるし、心臓への放射線曝露を最小限にする照射野を設定する必要性を示唆させます。


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肺ガンの検診に有用な検査

2006年03月08日 | 
先日、PET(ペット、陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが新聞記事になっていました。
PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター調査
それではどのようなPETの使い方をすればよいかという論文をご紹介いたします。

Early lung-cancer detection with spiral CT and positron emission tomography in heavy smokers: 2-year results
Lancet. 2003;362:593.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は年間20箱以上のタバコを喫煙する50歳以上の1,035人で、5年間調査されました。

毎年低線量CTを実施し、5mm以上の病変を認める場合には精密造影CTを実施し、5mm未満の場合はそのまま経過観察としたところ、2年目までに298人(29%)に肺病変(この時点では肺ガンとは確定していない)が発見され、そのうち95人の病変が5mm以上で精密造影CTが実施されました。その結果22人が肺ガンと診断されました。

一方、PETは精密造影CTで7mm以上の病変がある42人に実施され、18人の肺ガンを診断しましたが、2人の肺ガンを見逃していました。

つまり、PETはあらかじめCTなどで疑わしい対象を絞り込んだあとで実施した方が有用であるという事です。しかしそれでも1割の肺ガンを見逃していた事になります。やはり不特定多数を対象にしてPET検査を温泉ツアーなどとセットにした旅行企画というのは無理があるのではないでしょうか。


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PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター調査

2006年03月04日 | 
国立がんセンター(東京)の内部調査で、画像検査PET(ペット、陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが分かった。PET検診は「全身の小さながんが一度に発見できる、がん検診の切り札」と期待され、急速に広がっているが、効果に疑問符がついた形だ。

PETは、放射性物質が含まれた薬剤を注射し、がんに集まる放射線を検出してがんを発見する装置。同センター内に設置された「がん予防・検診研究センター」では、2004年2月から1年間に、約3,000人が超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受け、150人にがんが見つかった。ところが、この150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかった。がんの種類別では、大腸がんが見つかった32人のうち、PETでもがんと判定された人は4人(13%)。胃がんでは22人中1人(4%)だった。PETによる発見率が比較的高いとされる肺がんでも28人中6人(21%)、甲状腺がんで11人中4人(36%)にとどまった。

PETは1994年ごろから使われ始め、現在は100近くの医療機関が導入、多くでがん検診にも使われている。がん検診には保険がきかないため、10~20万円程度の費用がかかる。日本核医学会の調査では、2004年9月の1か月間だけで4600人が受診した。PET検診と温泉ツアーなどをセットにした旅行企画も売り出されている。

国立がんセンターの村松幸男検診部長は「PETでは『小さながんを見つけやすい』と言われてきたが、早期がんでは他の検査に比べ検出率が低かった。PET検診の意義は小さいのではないか」と話している。民間医療機関のがん検診では、がんのうちPETで検出されたのは64%、48%などのデータがある。国立がんセンターの超音波、CTなどを併用した検診では、がん発見率は一般の医療機関に比べ高いため、相対的にPETでの発見率が低下した可能性がある。
(以上、読売新聞から引用)

この記事を読むと、PET(ペット)によるガン検診には一部の薬と同じ理論が存在することに気がつきます。すなわち50人に1人、あるいは20人に1人に効きめがあるだけなのに、まるで全員に効きめがあるかのように宣伝されているということです。

温泉ツアーなどとセットにした旅行企画も結構ですが、PETの有効性に関する情報を公開してしてからにしないと詐欺になってしまいます。

こういう結果を是非とも英語の論文にして、日本から世界に発信してもらいたいものです。


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子宮頚部ガンの原因にたいするワクチン

2006年01月13日 | 
子宮頚ガンの全ては、性交渉で感染の機会が増えるとヒトパピローマウイルスによる炎症から進展します。健常女性においても10~30%にヒトパピローマウイルスが検出されますが、大部分の例でウイルス感染は陰性化するといわれており、感染が持続し異形成と呼ばれる前癌病変が発生するのはその一部です。異形成は軽度、中等度、高度の3段階に分けられますが、自然に消えてしまうものや長期間にわたる観察においても変化のないものも多くあります。しかし、軽度異形成の約5%、中等度異形成の10%、高度異形成の20~25%が次の段階に進展します。

子宮頚ガンの原因がウイルス感染であれば、そのワクチンを使い初期の感染を予防すれば子宮頚ガンが予防できるのではないかという発想から、今月次のような論文が報告されました。

Obstetrics & Gynocology. 2006;18:18.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

Efficacy of humanpapillomavirus-16 vaccine tp prevent cervial intraepithelial neoplasia: A randomized controlled trial.

16歳から23歳の女性2,391人がヒトパピローマウイルスのワクチン接種群と単なる生理食塩水接種群に二重盲検(注射をした者もされた者もどちらの群か知らない)で分けられ、6カ月ごとに48カ月間、ウイルス抗体価が測定されました。不正出血など、臨床症状が認められた場合や、調査期間の最後に、子宮頚部内視鏡と子宮頚部の細胞の検査が施行されました。

結果は、期間中750人のワクチン非接種群のうち111人(14.8%)にヒトパピローマウイルスの感染が認められましたが、ワクチン接種群では7人(0.9%)で感染は接種群の方で有意に減少していました。ワクチン非接種群のうち12人(1.6%)にヒトパピローマウイルスが原因と考えられる細胞異形成が認められましたが、ワクチン接種群には1人も認められませんでした。接種後7カ月で抗体価が最高になり、18カ月で減少し、少なくとも3年半後まで抗体陽性が持続することがわかりました。

アメリカではこの結果をうけて、思春期の女性の希望者にヒトパピローマウイルスワクチンを接種しようとする動きもあります。いかにもアメリカならではの対処法だと思いますが、日本にとっても他人事ではありません。

この研究における参加者の協力は並大抵のものではないと思います。自分がワクチン非接種群に入る可能性もあり、調査の最後に子宮頚部内視鏡と子宮頚部の細胞の検査があるにもかかわらず2,391人もの女性が参加しているのです。ワクチンの有効性の有無を明らかにしたいという欧米の国民の意識は賞賛に値すると思います。


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ガンの危険因子に関する最大のメタアナリシス

2006年01月11日 | 
これまでも様々なガンの危険因子が報告されていますが、それぞれの危険因子を同じ解析方法で評価したメタアナリシスはありませんでした。このほど、この膨大な手間を惜しまずまとめられた論文が発表されました。

Lancet. 2005;366:1784.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

Cause of cancer in the world: comparative risk assessment of nine behavioural and environmental risk factors.

調査は2001年に全世界で生じたガンによる死亡が対象になされました。ガンの危険因子はこれまで因果関係が確立していて、全世界規模の解析が可能なデータ量が揃っている9つに関して調査され、同様にガンの種類は12部位が選択されました。

結果は、1年間に全世界で生じた702万人のガンによる死亡の35%(243万人)が9つの危険因子によって起因すると推計されました。因子ごとでは喫煙が21%のガン死亡に関係があり、次に野菜果物の低摂取が5%のガン死亡に関係していました。

詳細は先進国と発展途上国に二分して解析がなされているので、先進国に関して具体的に示します。

口腔咽頭ガン  飲酒(33%)(口腔咽頭ガンの33%が飲酒を原因としていたという意味です)
        喫煙(71%)
食道ガン    飲酒(41%)、喫煙(71%)、野菜果物低摂取(12%)
胃ガン     喫煙(25%)、野菜果物低摂取(12%)
大腸・直腸ガン 肥満(14%)、運動不足(14%)、野菜果物低摂取(1%)
肝臓ガン     喫煙(29%)、飲酒(32%)、医療従事者の針刺し事故(3%)
膵臓ガン    喫煙(30%)
肺ガン     喫煙(86%)、野菜果物低摂取(8%)、大気汚染(3%)
乳ガン     飲酒(9%)、肥満(13%)、運動不足(9%)
子宮頚ガン   喫煙(11%)、危険な性交渉(100%)
子宮体ガン   肥満(43%)
膀胱ガン    喫煙(41%)
白血病     喫煙(17%)
その他     喫煙(8%)

ほとんどのガンが喫煙を危険因子にしていることは注目すべきことだと思います。


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乳製品からのカルシウム、ビタミンDの摂取は乳ガンのリスクを低下させる

2006年01月07日 | 
9月7日に小児期と青年期の牛乳摂取量が多いと加齢後の骨折率が下がるという論文を紹介しました。今回は、乳製品からのカルシウム、ビタミンDの摂取量が乳ガンの発生率を下げるという前向きの調査の結果です。

Cancer Epidemiology Biomakers & Prevention. 2005;14:2898.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

1992年から1993年にかけて食事、ビタミン・ミネラルのサプリメント使用、病歴、生活習慣に関する詳細な質問票に回答したなかから、癌の既往歴のある女性と食事データが不十分な女性を除外し、閉経後女性68,567人が対象となり、2001年8月までの前向きの調査でこのうち2,855例に乳癌の発生が確認されました。

食事によるカルシウム摂取量が1,250mg/日以上と報告した女性は、同摂取量が500mg/日未満の女性より乳癌のリスクが低かったのですが、(相対リスク0.80、P=0.02)。サプリメントからのカルシウム、ビタミンDの摂取量は乳癌のリスクとは関係がありませんでした。

摂取量最高群は摂取量最低群に比べ乳ガンの発生率は、食物中のカルシウム量で67%、乳製品カルシウム量で73%、食物中ビタミン量で74%低下していました。

「食事中のカルシウムや乳製品に含まれる他の成分が閉経後乳癌のリスクをに低下させ、主に低脂肪食品によるカルシウムおよび乳製品の摂取量の多い閉経後女性は乳癌リスクが低かった」と結論づけています。

サプリメントからカルシウム、ビタミンを摂取しても乳癌の発生率は低下せず、食事中のカルシウム、ビタミンが発生率を低下させていることは興味深い結果です。


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乳ガン患者は他のガンを発生する可能性が高い

2005年12月29日 | 
多くの乳ガン患者は発症後も良好な経過をたどっていますが、中には別のガンが発生する事があり、その確率は乳ガンがなかった人より高いことがわかりました。その程度はどれぐらいなのでしょうか。International Journal of Cancerからの報告です。
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

Risk of second cancer among women with breast cancer.

調査は欧州各国、カナダ、豪州、シンガポールなど13地区で1943年から2000年の間に住民がん登録に登録された乳ガン初回診断患者525,527例を対象として二次ガンの発症につきなされました。

1990年以降の症例で長期の追跡がなされていないことなどの限界はありますが、乳ガン初回診断ののち、対側に乳ガンが再発した患者を除いたすべての二次がんの発生は31,399例(6%)で、乳ガンでない人と比較した危険率は1.25倍でした。また、二次がんの危険率は、乳ガン診断から年数を経てからの方が高くなっており、乳ガン診断年齢が高いほど低くなっていました。

部位別にみると、乳ガンでない人と比較して150例以上の増加が認められたガンとしては、胃ガン(危険率1.35倍)、結腸直腸ガン(1.22倍)、肺ガン(1.24倍)、軟部組織肉腫(2.25倍)、悪性黒色腫(1.29倍)、黒色腫以外の皮膚ガン(1.58倍)、子宮内膜ガン(1.52倍)、卵巣ガン(1.48倍)、腎ガン(1.27倍)、甲状腺ガン(1.62倍)および白血病(1.52倍)があげられました。

乳ガン発症により検査に対する意識の高まりや検査機会の増加があるため他のガンの診断率が上昇したという考え方もありますが、乳ガン治療が影響する合併症としての二次ガン発症の影響や、ガンに共通する遺伝や環境因子が存在するために二次ガンの危険が高いと考えることができると結論づけています。

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頻回の胸部レントゲン写真によるスクリーニングは逆に肺ガン発症率を増加させる

2005年11月02日 | 
健康診断では、胸部レントゲン写真は全員に必ず行われる項目の1つです。これは結核などの感染症を見つけ出す目的もありますが、主に肺ガンを見つけ出す目的で行われています。しかしそれが逆の結果をもたらしているという驚くべき報告です。
Thorax. 2003;58:784.(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この報告もメタアナリシスといって過去の7つの論文をまとめたものです。合計245,610人が3年から24年調査されています。それぞれ胸部レントゲン写真が1~2年ごとに施行されている群と4~6カ月ごとに施行されている群に分けられています。

結果ですが、肺ガンの死亡率は胸部レントゲン写真が4~6カ月ごとに施行されている群では1~2年ごとに施行されている群に比較して1.11倍、すなわち11%上昇していました(P=0.05)。つまり、頻回の胸部レントゲン写真によるスクリーニングは逆に肺ガンの発症を増やしてしまっていました。

胸部レントゲン写真が1年ごとに施行されている群と1年ごとプラス4カ月ごとの痰の検査を施行する群の比較も行われましたが、死亡率に違いは認められませんでした(P=0.11)。しかし、肺ガンの5年生存率に関して、すなわち5年までの死亡率は1年ごとプラス4カ月ごとの痰の検査を施行する群が有意に改善していました0.83倍、P=0.0003)。

この論文では、「頻回の胸部レントゲン写真の施行は肺ガンのスクリーニングに有害である。この教訓をふまえて今後新しい検査法(たとえばCT)が登場するならば、その前に有用性を十分に検討すべきだ」と結論づけています。

この報告には、無作為試験でないものも含まれています。例えば、群分けの時にヘビースモーカーだから頻回に検査がされていたという事などを補正する無作為化が行われていない試験も含まれています。この点は著者も指摘していますが、それを考慮しても、健康診断で胸部レントゲン写真を頻回に撮っても肺ガンの死亡率は改善できない事実を重く受け止めるべきだと思います。

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ビタミン摂取は肺ガンを予防しない

2005年10月28日 | 
今回もビタミン摂取に関する最新の話題です。International J of Cancer. 2005(Epub ahead of print) (インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)からの報告です。

この報告もメタアナリシスといって過去の多くの論文をまとめたものです。北米とヨーロッパで行われた8つの調査がまとめられました。合計430,281人のビタミンA、ビタミンC、ビタミンEおよび葉酸の摂取量が6年から16年調査されました。

結果ですが、年齢を補正しただけの解析ではビタミンの摂取は肺ガンの発症を抑制していましたが、喫煙の有無でも補正すると肺ガンの発症を抑制してはいませんでした。

補正の違いでどうしてこういう逆転が起きたかというと、喫煙をしていない人は元々健康に気を付けていてビタミンを多く摂っていたからです。つまり、ビタミンを多く摂ろうと心がけ実際に多く摂っている人は喫煙をしていないから、ビタミンが肺ガンを予防していたように見えたのです。話はそれますが、この補正という過程は疫学調査ではとても重要な処理です。このような補正をいかに施すかというのが研究者の手腕であり、正しい補正がなされていないために反対の結論を導いてしまう事を避けなければなりません。

話を戻しますが、この報告では、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEおよび葉酸の摂取は肺ガンを全く予防していないと結論づけています。

ビタミンには、例えば発熱などの消耗性疾患で失ったビタミンを補ったり、貧血に葉酸を内服したりという場合には短期的な効果はあるのでしょうが、長期的な有用性はなかなか見あたりません。

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