80歳に向けて・「新風来記」・・・今これから

風来居士、そのうち80歳、再出発です。

「短編小説」のつもり ― ユウコちゃん (その2)

2018年04月11日 01時59分00秒 | 創作
ユウコちゃん (その2)

しかし、職場が東京だったため、その後、私は一度も故郷、そして
ユウコちゃんの住んでいた隣町に帰ることはなかった。

あれから40年、いや50年たつだろうか?

会社は無事に大過なく定年退職出来たものの、結局、夜間大学を卒業
して教師にという当初の希望、目的を実現することはできなかった。

今日、思い切ってわずかな貯金をおろし、電車を乗り継いで、この小
さな町に戻ってきた。
町も人もそして風景さえも、当時とはすっかり変わってしまっている。
目に映る町並みは、50年前の、あの日とは、まるで違った風景だ。

長い間、シャッターを下ろし続けているような寂しい商店街。
人通りは、時間のせいかもしれないが、ぽつり、ぽつりでしかない。

私は、この町に、一体何を期待して戻ってきたのだろうか?
冷たい風が、首筋をかすめていく。
この町は、本当にあの町なのだろうか?
私の知っている故郷はどこへ行ってしまったのか?

いずれにせよ、今の私は、ただの通りすがりの旅人でしかない。
急にひどい疲労感を感じて、道路脇の縁石に腰を下ろす。

年と共に、人も街も変わっていく。
それは分かる気がする。

それでも隣の町は、駅前こそ静かだが、ちょっと歩いて町中に出ると
それなりに人通りも多く、賑やかだった。

人が生きていくということは、言い換えれば人間同士のしがらみを、
引き続き、背負い続けていくということでもある。
それを改めて確認をするためにというのは、ちょっと飾りすぎだろ
うか?

実際のところ、私は何をしに来たのだろうか?
今さら、昔の人間関係を確認する意味が果たしてあるのだろうか?
今回の小旅行の間、列車の中でずっとその疑問を繰り返していた。

私は、この町で、誰に、何を期待しているのだろうか?
過去の私を忘れこそすれ、今の私を知っている人間など、無論、この
先にはいるはずもない。

思えば、私には、自分を変えてくれるような「出逢い」というものが
無かった。
いや、もしかすると、私がただ気づかなかっただけで、「出逢い」
私の横を黙ってそのまま素通りしていってしまったということなのか
も知れない。
(続く)


「短編小説」のつもり ― ユウコちゃん (1)

2018年04月10日 16時03分40秒 | 創作
新浦 縞太郎が「短編」を書いてみたと言う。
本人曰く、これはあくまで「短編小説」のつもりだとか。


ユウコちゃん (その1)
まともな社会人ならば、誰もがそれなりの考えで生きている。
しかし、現状の考え方で、判断、行動していっても、つまる
ところは、このままの人生が続いていくだけだ。
ほんの少しだけでもいい、生き方を変えてみたいと思う。
夢のある生活・・・。

*月*日(土) 曇り、風すこぶる強し。
私は部屋で、ただ一人ウィスキーを飲んでいる。

今ではもう決して戻ってくるはずのない過去の長い時間と日々。
さらには、ひょっとしたら、もっと良い別の生き方があったの
かも知れないという後悔の時間、そして日々。

しばらくは職安に通っていた。
職員曰く、
「う~ん・・・、70歳ですか? 再就職と仰ってもねぇ・・・。
この所、景気が落ち込んできて、新卒の若い人でもなかなか思う
ような就職先が見つからないのですよ。」

総てを見失って、私は東京のアパートで一人暮らしを続けている。
わずかばかりの年金が唯一の収入。
在職中にわずかずつ貯めていた預金も、そろそろ底をつく。

滅多に鳴ったことのない電話が鳴った。
夜間高校時代の友人からの、本当に久し振りの電話だった。

同郷の彼と話しているうちに、私は故郷のことを思い出した。
すでに遠い夢のような過去だ。
しかし、それは確かな現実でもある。

彼と話しているうちに、ふと故郷に戻ってみたいと思った。

何故か、ふいに昔を思い出した。
それは小学校の入学式。
偶然、隣り合ったかわいい女の子。
確か・・・、そう、その子は「ユウコちゃん」といった。

思い出したら、気になってくる。
この歳になって、今さら好きも嫌いもないが、心の奥底に強く印象
に残っている女の子だ。

小学1年の終わりに、私の家族は隣町に転居した。
新しい町で、私は小学校、中学校を卒業、そして高校に入学した。

高校2年の夏、家族が父の故郷、三重に引っ越すが、お前はどう
する?と問われた。

学業が中途半端だった。
考えた末、私は独立して、一人、東京で暮らしていくことを選んだ。
一旦退学、就職して、翌年夜学に通う道を選んだ。
その後、職場は二度変わったが、夜間高校だけは一応卒業した。
(続く)

他人は他人、我は我・・・。

2018年04月07日 07時07分50秒 | 考える
他人は他人、我は我・・・。
上も下もなく、右も左もない。

・・・そう思いたい。

とは言うものの、実際、他人からの干渉、また自分自身の思い込み
を断ち切ることは難しい。


酒とタバコに明け暮れる日々。
定まった行くべき当てもなく、一体何を求めて彷徨い歩くのだ?


世のため、人のために動けと他人は言うが、今の私は、自分捜しで
手一杯。 ()
他人のために、何かを為すという余裕がない。
・・・もっとも、それが、本当は言い訳に過ぎないことも、充分承
知(?)しているつもりだが。


考えることと書くことに、まとまりと現実的な裏付けがない。

こちらが、いくら他人を気にしたところで、相手がこちらを認識し
なければ何も変わらない。


生き方、働き方、考え方は、人それぞれ。
現状に満足(?)し、変える必要など感じないというなら、それもまた
彼自身の生き方なんだと思う。

私・・・、  身体障害 6級 第二種
脳性麻痺による両上肢機能障害


さらに、自分がすでに老人であるという自覚を持つべきだ。

やがては体が動かなくなる。
その可能性が大だという自覚も、また必要だろう。

その時のために、充分な具え、準備をしておく必要がある。

他人を頼らず、他人に求めるな。
常に自立した生活を心がける。
他人は他人、我は我。
機械は便利な道具だが、狂い、壊れることもある。

他に期待すると、それが果たされない場合に、大きな反動がある。
何をするにしても、その対価を期待してはならないのだ。


息の虫、息一とっょち、・・・がいなもずはいいてっ
いてい続ままのこ、日毎るれ暮け明にコバタと酒


カラス啼いて

2018年04月06日 15時58分21秒 | 考える
誰かに聞いてもらいたい。
私が抱え込んだ自分の人生。

この歳で まだ終わらない 独り 行く道。
向かい合い 語る友なし 春の嵐に


部屋を出るときに帽子を被ってくるのを忘れた。
も一度階段を昇って鍵を使うのも何やら面倒くさいので、そのまま
出掛けることにする。

駅でバスを降り、通路を歩いている時にふと気がついた。
お店の窓に映る私の髪が、(ウ~ン・・・) 真っ白なのだ。 ()

普段は帽子を被っているので、あまり意識していなかったのだが、
こうして気づいてみると、ひどく白いのに、改めてビックリした。
やはり70歳という年齢は老人の部類に入るのだろうか?

いや、それはちょっと違うと思う。
人間、年齢じゃない、外見より心の持ちようだ。
・・・と、誰かが言っていた。
そう、そうなんだよな、人間、高齢者の考え方は・・・。

で、私はこの先どちらに向かえば良いのだろうか? (唐突でしょうか?)

駅前広場に出て、ベンチに腰を下ろしてボォーッとしていると、
後ろでカラスがしきりと啼いている。
これは、現状を肯定しているのか、それとも否定しているのか?

まぁ、お前さんに聴いたところでどうなるわけでもないやな。


独り来て 先行き見えず 春の空。
取りあえず 先行き カラスに問うてみる。
カラス 羽ばたき アァーッ ? と啼くのみ。

曇り空

2018年04月05日 17時54分27秒 | 考える
4月5日(木) 曇り

人にはそれぞれの都合というものがある。
そう、私に都合があるように、相手にも都合がある。

今、私は酒を飲んで、タバコを吸って、また酒を飲んで、
今度は葉巻に手を伸ばそうとしている。

突然、くしゃみが出て、止まらなくなる。
どうも、昨年の春辺りから花粉症になったらしい。

窓の外は曇り空。

実に人生という奴は「無意味(?)」なことが好きらしい。
中でも私の存在などは「無意味の塊」だ。

時折、そんな風に考える。


ふんっ!!

しかし、考えようによっては、私は人生に好かれている
と言えなくもない。


街に出て、一歩き、ふとテレビ掲示板(?)に目をやると、
町田地区、午後から雨と表示されていた。
時計は1時を過ぎている、 ・・・多分午後だ。

今、降られたら、また家の玄関にビニール傘が 1 本増える。
もう少し、のんびりベンチに腰を・・・と思っていたのだが、
空は薄曇り。
すぐに降りそうな様子でもなかったが、何となく嫌な感じ。

結局、すぐ帰ることにして、バスに乗る。
団地のバス停で降りて、空を見上げたが、まだ降り出しては
こない。
とにかく空気が重く湿った感じなのは確かだが、雲の様子は
バスに乗り込む前より、何やら明るくなったような気もする。

部屋に戻って外を見たが、一向に降り出す気配はない。

「まっ、こんな事もあるさ。」
ちょっと、予報が恨めしかったが、結果オーライ。
家に戻る前に降り出されて濡れ鼠になるよりはマシだろう。

部屋に入って、タバコを1本くわえながら、外を見れば、気
のせいか、一段と明るくなってきた感じがする。
もう、いつ降っても構わないんだか・・・。

まぁ、こんな日もあるだろう。

天気にもいろいろと都合があるに違いない。

よくよく考えてみれば、まだ外で仕事をしている人も多い。

取りあえず、これで良しとするか。