獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

旧統一教会への解散命令で宗教の「地下化」が始まる!

2023-10-11 01:00:08 | 統一教会

この度七ツ星さんの記事が載っていたので、週刊ダイヤモンドを読んだのですが、こんな記事を見つけました。

たいへん重要な指摘だと思いましたので、紹介したいと思いました。


引用します。


週刊ダイヤモンド 2023年10月7日・14日号

特集:巨大宗教「連鎖没落」
 創価学会
 神社
 旧統一教会


コラム:
旧統一教会への解散命令で宗教の「地下化」が始まる!

「毎日新聞」が9月に実施した世論調査で、旧統一教会への解散命令請求に賛成する人は66%に上った。大多数が万歳三唱で歓迎する「正義の裁き」というわけだが、思わぬ落とし穴もある。

回の解散命令請求により、信教の自由を尊重する民主国家が、これまでやってこなかった「パンドラの箱」を開けてしまう恐れがある。最悪の場合、宗教弾圧の再来だ。なぜか。順を追って説明していこう。
まず裁判所の審査を経て解散命令が認められた場合、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は宗教法人の資格を剥奪される。
宗教法人でなくなるということは、都道府県知事と文化庁から管理されなくなることを意味する。これまで義務付けられていた役員名簿や財産目録、収支計算書の提出も必要ないし、文化庁が調査権を行使することもない。
一方、解散命令となったところで、信者が改宗するわけでもないので、献金も布教もこれまで通りに行われる。つまり、解散命令により旧統一教会の活動は「ブラックボックス化」される。
そこに加えて、被害者救済の点でも疑問点がある。政府が解散命令を請求しても裁判所がそれを認めるまで数年はかかるとみられ、その間、旧統一教会は財産を韓国本部に移動する。そうなれば被害を訴える人々が十分な賠償を得られない可能性もある。
解散命令請求は、他にも深刻な問題と混乱を引き起こす恐れがある。それが冒頭に述べた、宗教弾圧の再来だ。
宗教法人に対して解散命令が出されるためには、「組織性・悪質性・継続性」の要件が認められなければならない。その根拠としてこれまでは「教祖や幹部が刑事罰で逮捕されている」ということがあった。
実際、これまで解散命令を受けた オウム真理教も明覚寺も幹部が逮捕されている。しかし、旧統一教会の場合、トップである田中富広会長は逮捕されていないし、幹部職員の誰も逮捕されていない。では、何が組織性・悪質性・継続性の根拠となるのかというと、民事訴訟と被害者の証言とみられる。
これまで旧統一教会は、全国霊感商法対策弁護士連絡会を相手に霊感商法などを巡って民事裁判をしており、そこでは教団側の「使用者責任」が認められている。
昨年10月、岸田文雄首相は国会で解散命令請求の要件に「民法の不法行為も入り得る」と発言した。そして今回、文化庁は「被害者の聞き取り調査」をしている。この二つをくっつければ「組織性・悪質性」の根拠となるとする見込みだ。
要するに、これは「旧統一教会を解散に追い込め」という世論を受けて、岸田政権がオウムや明覚寺のケースから「解釈変更」をしたわけだ。
統一教会を憎む人からすればこれは拍手喝采の「英断」だが、日本の宗教法人からすれば「死刑宣告」を受けたも等しい。
高額献金や霊感商法は旧統一教会に限った話ではない。どの宗教団体もたたけば埃が出る。つまり、どこかの宗教法人に狙いを定めて「被害者」を募り、全国各地で訴訟を提起すれば、旧統一教会のように解散命請求に追い込むことができる、と国家が高らかに宣言したようなものなのだ。
こんな宗教弾圧がまかり通る未来が迫れば当然、宗教法人は防衛に走る。幹部に使用者責任が及ばないよう、ネットワークビジネスのような複雑な構造の組織へ変えたり、財産を海外に移したりする団体も現れるだろう。
そして、確実に増えるのが、宗教法人格は自主的に返納して「地下」に潜る宗教だ。霊感商法などの違法行為を自覚しているような団体の場合、教祖や教団の拠点を海外に移し、インターネットやSNSを通じて布教・献金をさせた方が「得」という判断になる。
つまり、フィリピンから国内に強盗を指示していた「ルフィ」のような特殊詐欺グループのスキームを用いるのだ。このような「地下宗教」のトラブルは当然、文化庁も都道府県も把握できない。誰が加害者で誰が被害者かも分からない。
メディアや専門家が社会正義のために必要だと訴える解散命令請求が、そんな混乱を引き起こすわけがないと思うかもしれないが、歴史に学べば日本では「地獄への道は善意で舗装されている」というケースが多い。テレビCMで流れる「過払い金返還請求」もそうだ。
なぜ消費者金融やクレジットカード会社から「払い過ぎた利息」が返ってくるのかというと、2006年に最高裁判所の判決でグレーゾーン金利が否定され、その後の貸金業法改正でも廃止されたからだ。
かつて消費者金融やカード会社は、利息制限法の上限金利(15~20%)と出資法の上限金利(29・2%)の間の高金利で貸し付けを行っていた。しかし、これによって返済がで きず、幾つもの業者から借り入れをする多重債務者が増えるということが社会問題化した。 消費者金融大手の武富士などの違法な取立ても社会から批判されていた。
そこで、このような「被害者」を救済する弁護士たちが現れる。「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」だ。彼らは、国にグレーゾーン金利の廃止を訴えるとともに、消費者金融が多額の貸し付けができない「総量規制」の法制化を求めて、判例と法改正によってそれが実現したというわけだ。
問題のある業界に正義の規制の網がかかり、多重債務者という「弱者」が救済されて一件落着となるはずだが、程なくしてある問題が起きる。違法な「闇金」や「振り込め詐欺グループ」が急増。そこに大学生やフリーターなど一般人が多数出入りし、カネを借りるだけではなく、詐欺や強盗の実行犯になってしまう。つまり、多重債務者のように社会が把握できるような形ではなく、「闇にのみ込まれる弱者」が爆発的に増えたのだ。

総量規制の導入で
「闇」に落ちた若者
地獄を生んだ善意

なぜこんなことが起きたのかというと、規制を厳しくしたことで低信用者向け「無担保小口金融」が消えたからだ。
プロミスやアコムなどの消費者金融の大手は銀行傘下に入り、審査も厳しく総量規制で年収の3分の1しか借りられなくなってしまった。こうなると収入や信用のない人は借りられない。
規制前、こういう人たちは運転免許証などの本人確認だけで金を貸す「街金」と呼ばれる無担保小口金融の業者を頼った。しかし、これらの業者は法改正と過払い金返還請求で絶滅に追い込まれてしまった。そうなると、プロミスやアコムの審査に落ちた人は「闇」に流れるしかない。
問題が指摘される団体を厳しく処罰して、新たな被害者を生まないように業界を厳しく取り締まるということは表面的には社会をより良くさせている。
しかし、問題が指摘される団体や業界にしかすがれない弱者もいるのだ。そこで過度に規制をして団体や業界が消滅すれば、この弱者はすがる場所を失うので、闇に落ちていくしかない。これが今、大学生やフリーターなど低所得・低信用の若者たちが「闇バイト」に自ら進んで応募をしている根本的な理由でもある。このような「地獄」のような状況を生み出した一つの要因に、「多重債務者という弱者を救う」「貧困問題を解決する」と貸金業者を厳しく規制せよと主張していた人々の「善意」があることは間違いない。
確かにそれで救われた人も大勢いた。また過払い金返還請求で大もうけした人もいた。しかし、それ以上に闇にのみ込まれた弱者もいるのだ。こういう悲劇の構造を取材した立場からすれば、旧統一教会への解散命令請求も同じような地獄を生み出すとしか思えない。政府も裁判所も目先の国民感情に流されるのではなく、広い視野を持って慎重に判断してもらいたい。


      ノンフィクションライター・窪田順生


解説
多くの人が、カルト宗教の解散を願っているとは思うのですが、そういう「善意」によってカルト宗教を解散に追い込んだとしても、問題は解決しないのですね。
規制を厳しくしたことで低信用者向け「無担保小口金融」が消えたことで、大学生やフリーターなど低所得・低信用の若者たちが借金をしずらくなり、「闇バイト」に自ら進んで応募するという事態にいたっているのだといいます。

それと同じような、カルト宗教の地下潜入が起こるのではないかと、窪田氏は危惧しています。

問題の解決は、簡単ではありませんね。

獅子風蓮