長井秀和が西東京市市議会議員選挙で当選を果たしました。
その選挙戦の中で、長井秀和は東村山市議転落事件に言及し、それを創価学会は誹謗中傷ととらえ、告訴に踏み切るというきな臭い争いも起きているようです。
私は、長井秀和自身はどうでもいいですが、東村山市議転落事件については真相解明を望むものです。
そのためには、何が問題になっているかを、今一度冷静になって考えるべきだと思います。
基本的な情報を共有するために、いくつかの資料を提示したいと思います。
乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
著作権上、問題があればすぐに削除する用意がありますが、できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。
(目次)
■まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
□Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき
まえがき
朝木明代東村山市議が、東村山駅東口駅前にある「ロックケープ」ビルから転落して死亡して、すでに半年余の時間が流れた。
事件直後から、テレビ、新聞、雑誌など各種のマスコミが朝木さんの死を取り上げ、不可解な死の真相をめぐって、さまざまな観点と角度から多彩な報道を行っている。
その多くは、当初から自殺説に固執する東村山署の捜査に対する疑問点を列挙し、他殺の可能性を示唆するとともに徹底した真相究明を求める内容となっている。特に、出版社系の週刊誌および月刊誌の大半は、朝木さんが、宗教法人創価学会と厳しい対立関係にあったことから、朝木さんの死になんらかの関係があるのではないかとの疑問を提示していた。私もそうした立場から、月刊誌の記事を執筆し、また、週刊誌や夕刊紙にコメントを出している。
これに対し、事件とのかかわりを取りざたされた創価学会は、自殺説に立つ東村山署の主張を根拠に、「朝木市議は自殺」とのキャンペーンを機関紙誌で展開。創価学会の事件への関与を強調した遺族のコメントを掲載した『週刊現代』を、遺族とともに名誉棄損で刑事告発。あわせて1億円の損害賠償を請求するなどしている。
昨年12月22日、事件を捜査する警視庁・東村山署は、朝木さんの死には「事件性がない」すなわち「自殺」であるとの捜査結果を発表した。
だが、捜査結果は、他殺を主張する遺族や関係者、そして自殺と断定するには多くの疑問点があることを指摘するマスコミを納得させるものとはなっていない。
その意味で、事件の真相は、いまだに薮の中であり、朝木さんの死は、“怪死”なのである。
昨年、宗教法人を隠れ蓑にして、常軌を逸した犯罪行為をくり返してきたオウム真理教の実態が明らかとなった。地下鉄サリン事件をはじめとする、凄惨なオウム真理教による犯罪の端緒となったのは、オウム真理教を追及していた坂本堤弁護士一家失踪事件だった。同事件は、当初からオウム真理教による犯行との見方がなされていたが、その事件の解明には、実に、6年もの歳月がかかった。
朝木さんの“怪死”には、この坂本弁護士一家殺害事件と類似した点がいくつも指摘できる。
だからといって、私は、特定の宗教団体が朝木さんを殺害したなどと断定するつもりは毛頭ない。
ただ一つ願うのは、一日も早い事件の真相と全容の解明である。
その立場から、本書は、事件の経緯と背景をできるだけ細かく書き込んだつもりである。客観的に事実を積み上げることで、事件の背景にある何かが見えてくるかもしれないというのが、本書執筆のスタンスである。
現代日本では、日常的に多くの事件死が生じており、一人の人間の事件による死およびその死が持つ意味について、私たちはかなり鈍感になっている。しかし、一人の人間の死には、例えば、いじめによる自殺の背景に、教育現場の荒廃をはじめとする現代日本の多くの問題が凝縮、投影されているように、大きな意味が込められている。一人の人間の死を沈思黙考するとき、そうした現代日本の持っているさまざまな問題点や矛盾が見えてくることが多い。
坂本弁護士一家の死が、世紀末の宗教の狂気と、宗教と社会、宗教と法律のあり方を再考させたように、朝木さんの死にも、あるいは、現代日本が抱える何らかの問題、例えば、朝木さんが追及していた宗教と政治の諸問題をはじめ、地方政治における利権構造など、さまざまな問題が投影されているように思えてならない。
1996年4月
【解説】
だからといって、私は、特定の宗教団体が朝木さんを殺害したなどと断定するつもりは毛頭ない。
ただ一つ願うのは、一日も早い事件の真相と全容の解明である。
ここは、私も全面的に同意します。
創価学会から揚げ足を取られないためにも、スラップ訴訟を受けないためにも、私も表現には気を付けていきたいと思います。
獅子風蓮