明るく正しく強いブログ

朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

某政治家御用達(?)のうどん店 江戸川橋『はつとみ』

2019年09月20日 | そば、うどん
たまーに行っている日雇い労働では、昼に1時間の休憩がある。
江戸川橋の現場へ派遣されたとき、ランチでよく利用しているのが『はつとみ』さん。
"足ふみと手こね、寝かせを繰り返した自家製麺を、鰹節、昆布、干ししいたけの旨みを利かせたつゆで頂く、
宮崎の釜あげうどん"(以上、お店のHPより抜粋)のお店だ。

繁忙店だが、13時を過ぎるとカウンター席が空いており、待たずに入店できる。
宮崎うどんの知識はなかったが、同じ九州の博多うどんと同様、麺は柔らかめらしい。
讃岐うどん風のコシがある硬めのうどんを好む私は、お店のウリである「釜あげ」は、
お湯を張った桶の中に、うどんを入れて提供するため、余計柔らかくなりそうなので避け、
初訪問時は汁なしメニューの釜玉+肉=「肉玉うどん」800円+「五目ごはん」100円をオーダー。
ただし、釜玉うどんは茹でたあと水で締めないため、実は柔らかタイプである。
にわかうどんファンらしい選択といえよう。

数分後、お盆に乗った料理一式が登場。


うどんとご飯に、サービスのお新香と春雨サラダもついてきた。
右上の水色というか、ラーショの丼みたいな色(←余計わかりづらい)の容器に入っているのが、ダシ醤油だ。
こちらが肉玉うどんのアップ。具材は生玉子に煮豚、ネギとノリ。


こちらが五目ごはん。100円というサービス価格ゆえ、当然うどんを頼んだ客しか注文できない。


運んできた店員さんが「うどんはよ~く混ぜてから、ダシをお好みの分量入れてください」と説明してくれたので、
言われた通りかき混ぜてみた。ここでいつものセリフ。「オレはきみ(黄身)が好きだ!」


食べてみたところ、モチっとした感触のうどんが、ダシや玉子と合わさり、予想通りのウマさ。
気になる麺の柔らかさも、以前食べた博多うどんの『イチカバチカ』(吉祥寺店は閉店)よりはマシかな。
あと、五目ごはんが味濃いめで気に入った。200円で2倍にできたら嬉しいのだが。
人気店だけど店員さんの応対は悪くなく、食事も落ち着いてできたので、その後も何度かランチで利用している。

こちらは、「たまごかけごはん定食」850円。お新香と春雨サラダがまたついてきた。


うどんは、「釜あげ」と「もり」が選べるので、もりにした。


光沢を放つ麺は、冷水で締めてあるので、ほどよい歯応えに。濃い口のツユにつけて、ツルツルおいしくいただいた。
画像はないが、ネギとかつおぶしがかかったメシに生玉子を注ぎ、たまごかけごはんも完食したよ。

3度目の訪問で、ついにお店自慢の「釜あげうどん」を、「小えび天丼」との定食980円で注文。


こちらがうどんのアップ。「もり」では別皿だった大根おろしが、最初からツユに入っている。


実は大根が苦手で、うどん店で「ぶっかけ」を頼んだ際、必ず大根おろしを抜いてもらう私は意気消沈。
たっぷりの湯に入ったうどんは、やっぱり柔らかめで、しかも、ハシの使い方がヘタな私は、
「麺をつかんでは落とし」を何度も繰り返したため、時間が経過していき、うどんはさらに柔さを増す。
たまに硬い麺が混ざっていると思えば、固まりだったし(苦笑)。名店なのに、これはけしからんね。


おそらく、水準以上のうどんなのだろうけど、「釜あげ」は申しわけないが、私の好みではなかった。
ただし、セットの天丼は、注文後に揚げる天ぷらと丼タレの甘辛さがベストマッチ。
ランチのご飯ものでは、「カレー丼」や「明太ごはん」などもあるが、私は五目ごはんか小えび天丼の二択だな。

つい最近、久々に訪問したときは、そういえば汁アリうどん(要するにかけうどんタイプ)を食べてないなと思い、
「煮豚うどん」900円をオーダー。最初の肉玉うどんで、煮豚のウマさは知っていたからね。
しばらくして出てきたのがこちら。春雨サラダは必ずついてくるようだ。


春雨より気になったのが、豚肉よりゴボウの方が多いこと!


クセがある食材ゆえ、うどんのダシとケンカしそうでイヤだなあ…と思い、ツユをひと口飲んでみたら、
やっぱり口いっぱいに広がるゴボウの風味。後悔しつつ食べ進めていくと、
うどんのツユ、ゴボウの風味、そして煮豚の旨味が徐々に混ざり合い、今までに食べたことのない美味!
最初は泥臭かったはずのツユの味が、だんだん変わっていくのには驚いたよ。
結局、うどんと肉は当然ながら、ゴボウどころか汁まで、残さずたいらげてしまった。
そういえば、博多うどんはゴボウ天ぷらとのセットが人気だし、
うどん+煮豚+ゴボウの組み合わせも別に変ではなかったか。ゴボウよ、侮ってすまなかったね。

釜あげうどんには苦言を呈したが、何度も通っているくらいだから、はつとみさんはいいお店なのである。
店内はいつもキレイに清掃されているし、店員さんの応対もしっかりしている。
夏の暑い日に入店したときは、わざわざ私だけにうちわを持ってきてくれたし(←デブで汗っかきだからでは?)、
水やお茶を飲み終わると、頼まなくても気づいてお替わりを注いでくれる。
また、空いている時間帯では、ひとり客の私でも「よろしかったらテーブル席へどうぞ」と案内してくれる。
個人的には、カウンター席の方が落ち着くし、あとから団体客が来て移動するのはメンド臭いし、
ましてや、気色悪いオッサンと相席になったりするのはもっとメンドーなので(競輪場で何度も経験ずみ)、
いつも「こっちでいいです」と、カウンター席に座らせてもらっているのだが、
先日、会計後にテーブル席を見回したところ、今回のブログタイトルである、某政治家のサイン色紙を発見。
一瞬しか見なかったが、目立つように飾ってあったのは間違いない。う~む…。

飲食店の壁面に、著名人のサイン色紙が飾ってあるのはよく見かけるし、悪いことだとは思わないが、
それが政治家のものとなると、ハナシは別だ。
飲食店はあくまで楽しく飲み食いする場であり、政治は持ち込んでほしくない、と私は考えている。
お店の真意はわからんが、某政治家の色紙を、それも目立つように飾っているということは、
彼の支持を表明し、客にもそれを押しつけていると思われてもおかしくない。実際、私はそう捉えたし。
とはいえ、店のすぐ近所には、某政治家とも関係がある鳩山会館(あ、名字出しちゃった)があるし、
はつとみさんにとっては、単なる顔なじみの可能性も高いのだが。
なお、「飲食店と政治」については、また別の機会に、改めて語ってみたい。

蛇足ながら、こちらのお店の入口ドアには、政治家の色紙より目障りなモノが貼ってある。


食べログ関連の掲示物や、フジテレビの「有吉くんの正直さんぽ」ステッカーはともかく、
私の大嫌いな食べロガーの象徴である、「うどんが主食」シールだけは許せん! 
しかしコレ、店側もおかしいけど、貼らせる側も恥ずかしくないのかねえ。
こんなシールがなくても、はつとみさんの人気は変わらないし、むしろ名声に傷がつく気がするんだけど。
いつか、こっそり剥がしてやろうと企んでいるのだが、それって犯罪になるのかな(←とりあえずやめとけ)。



釜あげうどん はつとみ
東京都文京区関口1-48-5
地下鉄江戸川橋駅から徒歩約2分、神楽坂駅から徒歩約13分
営業時間 11時半~14時、17時~22時15分(LO)
定休日 日曜、祝日
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつでも食べたい安ウマうどん 十条『いわい』

2019年07月03日 | そば、うどん
昨日、7月2日は「うどんの日」だったようで。みなさんはご存知だっただろうか?
にわかうどんファンの私は、もちろん知らなかった。知ってたら食べていたのに。
まあ、うどんの日だろうがナンだろうが、いつでも食べたいうどん屋さんは、いくつか知ってる。
そのうちのひとつが今回紹介する、十条の讃岐うどん店『いわい』さん。
こちらのお店は、以前紹介した、東村山の『こげら』さん(ここも名店!)の師匠にあたるそうで。
    
※上記写真は「こげらセット」500円。安い!

初めて行ったのは数ヶ月前。過去に立ち寄った記憶のない、埼京線の十条駅で下車。
にぎやかな商店街の途中で左折し、しばらく歩いていくと、『いわい』さんがみつかった。
店内は近所のご夫婦や家族客がつめかけていたが、運よく、カウンター席がひとつだけ空いていたので着席。
壁に掲示してあるメニュー札の他、ホワイトボードには日替わりのおつまみメニューも記載してあった。
とりあえずは、ビンビール500円に、おつまみとして「コロッケ」100円と「とり天」150円を注文。


周囲を見回すと、日替わりメニューのお刺身盛り合わせで飲んでいるお客さんが結構いた。
ビールを飲み終わる頃、うどんを追加しようかと顔を上げたら、厨房の店主がすぐに気づき、
「なにかご注文でしょうか!?」と声をかけてくれた。忙しくても、ちゃんと客の方に注意を払っているのはさすが人気店。
頼んだのは、一番ベーシックだと思われる、「かけうどん小」300円をひやあつ(冷たい麺に温かいツユ)で。
タイミングがよかったのか、すぐに出てきたのがこちら。


黄金色のツユをひと口飲んでみたところ、いりこダシの香りが強い!
こんなに芳香をダイレクトに感じる讃岐うどんは、個人的には初めて。
擬音で例えると、フワ~ではなくブワァ~! だ。単に文字を大きくしただけ? と指摘されそうだが。
ムチっとした歯触りの自家製麺との絡みもよく、ガツガツズルズルと、あっという間に食べてしまった。
こげらさんと同様、師匠のうどんもやはり安くてウマいではないか!

せっかくなので、今度は「ざるうどん」を追加しようかと考えていたところ、
周囲のお客さんたちが、赤茶色のタレがかかった、謎のうどんを食べている。
美味しそうだったので、すかさず店主に「私にもあれをください」と注文。
出てきたのがこちら。正式名称は「スパイシートマトキーマカレーうどん」500円であった。


日替わりうどんの記載は店内にはなく、入口ドアに貼紙があるだけなので、気付かなかった(笑)。
例のいい匂いのするダシはかかってないが、こちらの商品も素晴らしい商品だ。
トマト+キーマカレーで、ミートソースのような味わいになるのだが、このソースが昔懐かしい味で、
かつて立川にあった、『サンモリノ』というお店のミートソースに似ているのだ。※ローカルネタでごめん
モチモチうどんとの相性も抜群で、卓上の七味と生姜を加えて、味を変えてもイケる。


日替わりでなく、レギュラーメニューにしてほしいくらいだよ。
人気店にもかかわらず店主の応対もよかったし、いわいさんには今後も通いつめよう…と決意。

次回訪問時は、友人と一緒に。祭日の昼間だったので、店頭には長い行列ができていた。
まずはやっぱり天ぷら(舞茸、れんこん、とり)で一杯飲んでから、


私は「ゆだめうどん小」300円と「いなりずし」100円。ゆだめは「ざる」の麺が温かいバージョンね。


友人は「とろろめし」100円と「ひやひやうどん」の中…だったかな?


書き忘れていたが、こちらは基本のうどんは「かけ」(あつ×ひやなど3種)「ざる」「ゆだめ」「しょうゆ」とあり、
すべて小が300円、中が400円、大が500円と、わかりやすい価格設定だ。
ゆだめのダシは、ざると同様の黒くて濃いツユ。お湯に入った麺は、柔らかくむっちりしている。
友人はうどんもさることながら、「とろろめし、これで100円とは安い!」と絶賛していた。

その後も何度か通ったが、「食べログ」の営業時間を信用し、営業していない夜に行ってしまったこともあった。
これも食べロガーのせいだな(←そうか?)。現在、夜の営業は金・土だけ! 


上記写真は、行ったら閉まってて、ションボリしながら撮影した店頭の看板だ。皆さんも覚えておくように!

いわいさんは最近、お店から徒歩20分くらい(推定。私は迷って40分かかった)の場所に、支店を出した。
店名は『いわい製麺』。最寄り駅は都営三田線・板橋本町駅。
本店との違いは、「麺が機械打ち」で、客が運ぶ「セルフ形式」だということ。
その分、天ぷらはほぼ100円、うどんは小中大すべて400円とお手頃価格だ。
ここでも、冷蔵庫から自ら取り出した缶ビール300円を、「ちくわ天」と「とり天」(デカい!)をツマミに飲む。

※天ぷらがデカすぎてハサミを使用するのは、こげらさんと同様

うどんは「ぬるいうどん」の中を選択。ぬるい=ひやあつだ。


ツユは相変わらの香しさで、麺の太さがそろっているのは、機械打ちならでは。
私自身は、個性的な手打ちも好きだけど、均一な機械打ちも悪くないと思う。というか、どっちも好きだね。
支店は、平日の夜もやってるし、本店ほどは混んでなかったので(今は混んでるかも)、気軽に飲みにいけそうだ。

最後に紹介するのは、先日『こげら』さんで提供していた、『いわい』さんのうどんとのコラボ商品(?)。


こげら店主が、いわい店主に分けてもらった麺を合い盛りにしており、右側の太い方が「こげら」で、左が「いわい」。
双方のうどんを、こげらさんの「ざる」用つけダレに浸して食べた。

※こちらは「いわいうどん」


※こちらが「こげらうどん」

ごらんの通り、うどんの太さの違いは歴然。もちろん、歯ざわりや塩加減も同じではない。
安くてウマいのは師弟共通だが、麺やダシは当然、お店によって少しずつ異なるようだ。
イヤ~うどんって、奥が深いねえ
うどんファンを宣言してから約2年。そろそろ讃岐うどんの本場・四国に行ってみようかね。



讃岐うどん いわい
東京都北区上十条3-28-7
JR十条駅から徒歩約5分
営業時間 火~木 10時半~14時半、金、土 10時半~14時半、17時半~21時、日 10時~15時
定休日 月
※支店の『いわい製麺』の住所は、東京都板橋区清水町5-11
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つるつる温泉の帰りに 武蔵五日市『初後亭』

2019年05月12日 | そば、うどん
先日、武蔵五日市にある入浴施設『つるつる温泉』に行ってきた。


立川駅から電車に乗って30~40分。武蔵五日市駅からはバスで20分。


バスは時間によって、写真のような機関車タイプもあり、お子さんたちに好評の様子。


もろちん、今でもピュアな心を持ち続ける私(幼稚ともいえる)も、いいトシこいて大喜びで乗車した。
浴場内は当然撮影禁止なので、ホームページから拝借した画像を掲載。
     (C)東京都の天然日帰り温泉 つるつる温泉公式ホームページ

本当にお肌がつるつるになる、当温泉については、別の機会に改めて紹介したい。

さて、つるつる温泉にも食堂はあったが、そこでは湯上りのビールとおつまみ程度ですませ、
再び例のバスに乗って、武蔵五日市駅に戻る。目的は、駅近くにある『初後亭』さん。
自家栽培した小麦粉と蕎麦粉を使用する、自家製うどんとそばのお店だ。
お店の場所は、外に「うどん」のノボリが多数出ており、すぐにわかった。

※「亭後初」ではなく「初後亭」である。念のため

お店のHPによると、うどんやそばの原料だけでなく、この建物も自家製らしい。スゲエ!
店内も普通の民家のような造りで、温厚そうな夫婦が迎えてくれる。入口で靴を脱ぎ、お座敷風の広間へ。
メニューはこんなかんじ。ヘタな撮り方ゆえ、一部しか見えず申しわけない。


うどんのジャンルでいえば、「武蔵野うどん」のカテゴリーに入るのかな。
普通の「湯もりうどん」が870円なら、+30円で肉入りの方がお得だろうと思い、「湯もり肉汁うどん」を選択。
まずは、お茶とお新香が出てきた。うどんは当然、オーダーを受けてから茹で始めるので、完成まで15分ほどかかった。


調理している間に、トイレへ行きたくなったので場所をたずねたら、一度サンダルで店外に出て、


少々歩いた場所にあると教えてもらう。あとで知ったが、すぐそばに喫煙所もあったらしい。


写真はないが、このトイレがある庭(?)の周辺は、緑が多くてのんびりとした気分になれるよ。
しばらくすると、お待ちかねの「湯もり肉汁うどん」900円が出来あがった。


冷たいタイプと違い、温かいタイプは、麺同士がくっつかないよう、湯の中に入っている。
しかし、ただのもりうどん+肉汁かと思っていたが、けっこう具材が入っているではないか。


白菜、ニンジン、大根、ほうれん草にカマボコ。野菜も地産物なのかな?
茹でた野菜は、武蔵野うどんでは「糧(かて)」と呼ぶが、こちらのお店では「まし」という名称になっており、
うどんと一緒に、つけ汁で食べるよう、味は付いてないそうだ。
さて、お店のウリである粉から自家製のうどんは、ややグレーがかった中太タイプ。


何もつけずにそのままかじってみると、塩分はさほどきつくなく、ほんのり小麦の風味。
ゴツゴツとした舌触りだが、かなりの噛み応え。冷水で締めた冷たいうどんならば、さらに強いコシが楽しめるだろう。
一方のつけ汁は、最初のひと口はちょっとしょっぱく感じたが、うどんの湯で徐々に薄まっていく。


特筆したいのが、豚バラ肉のウマさ。汁に旨味が溶け出しても、なお旨味がじゅうぶん残っている。
地元の顔なじみのお肉屋さんから仕入れているそうで、「アイツの店の肉はウマいでしょ」と店主も自慢。
最近サイドメニューとして加わったらしい、「豚ばらご飯」300円も食べておけばよかった。

途中で、別皿で提供された柚子胡椒も溶かし入れ、うどんを食べ終えたところで、
デザートとして「地卵のプリン」300円を追加注文。


上のカラメルシロップは、苦みがなく甘味強め。肝心のプリンも、硬そうな見た目に反し、なめらかであった。
申しわけないけど、東村山にある某うどん店のプリンより、ここの方が断然ウマイ。
この日は、肉汁うどんとプリンだけだったが、冷たい「もりうどん」や10月~5月限定の自家製の「蕎麦」、
さらに、お店の名物である、鰹節と醤油と茹で湯で食べる「引きずり出しうどん」も食べてみたい。

お会計時、「美味しかったです」と告げたあと、店主と少々会話させていただく(先述の肉屋さんのことなど)。
お店を出ると、閉店時間が近づいたからか、店主もあとから店外のノボリを片付けるために外へ出てきた。
目が合ったので会釈すると、「今日はどうも。気をつけてお帰りくださいね」と声をかけていただいた。
普段、温かい言葉をかけられることの少ない私は、こういうひと言に弱い…。
「ハイ、近いうちにまた来ますので!」と返答し、すがすがしい気分で駅に向かう私であった。
今度は、つるつる温泉のついでではなく、初後亭を目当てに武蔵五日市へ来ようと思う。



初後(しょうご)亭
東京都あきる野市三内字初後
JR武蔵五日市駅から徒歩約3分
営業時間 11時から16時半(16時ラストオーダー)
定休日 木、金(祝日は営業)
※奥に個室もあり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NO UDON, NO LIFE! 東村山『こげら』

2019年03月19日 | そば、うどん
私が住んでいる東京都の西の方、いわゆる「多摩地区」は、名店と呼ばれるうどん屋さんが多い。
ただ、大半のお店が営業時間が短く、だいたい午前中に開店し、15時までには閉店してしまい、夜営業はナシ。
おまけに店舗の場所も、最寄り駅が遠く、車でないとたどり着けない場所にあったりする。
自家用車どころか運転免許も持っておらず、昼まで寝ているグータラの私には、なかなか入店が困難である。

そんな中、朝早く起き(一般的にはだいぶ遅め)、必死こいて自転車や徒歩で通っているお店が、
今回紹介する『手打ちうどん こげら』さん。
住所は東村山市だが、最寄り駅は西武線の小川か東大和市。ただし、どちらも結構な距離があるため、
店主も自虐的に、自身のSNSに「本日も東村山の僻地でお待ちしております」と投稿することが多い。
僻地とはオーバーな、と思いつつ、お店の周囲を見回してみると…


うーむ、確かにのどかな地域だなあ…と納得してしまった(この辺に住んでる人、ゴメン)。
アクセスは良好とはいえないが、こげらさんには、それでも行きたいと思わせる魅力がある。
その魅力とはズバリ、うどんの安さとウマさだ!

基本のうどんメニューは、「かけ」「しょうゆ」「ざる」「釜玉」の4種類があるのだが、並は180グラムで全品300円。
中300グラムが400円で、大420グラムでも500円。小120グラムなら200円だ。
天ぷらは「げそ」「ちくわ」「れんこん」の3種があり、かなりのラージサイズにもかかわらず100円均一。
さらに数量限定だが、お出汁で炊いたご飯に生玉子を添えた、「卵かけご飯」は200円。
以上のうどん並+天ぷら1種+卵かけご飯がついた「こげらセット」は、定価よりさらに100円お得な500円! 


立ち食いでもチェーン店でもないのに、この安価はビックリである。
初入店時の私は、こげらセットを「ざるうどん&げそ天」で注文。
まずは卵かけご飯とげそ天がやってきた。ごらんの通り、ゲソがデカすぎるため、切るためのハサミがついてくる。


出汁炊きご飯は、ほんのり味がついているので、生玉子に醤油は不要。双方の相性もバッチリ。
ゲソ天の方も、歯応え、風味、ともに申し分なし。ビール頼めばよかった。
続いて、ざるうどんの並が登場。うどん玉の切れ端=太い麺がオマケしてあるのがうれしい。


うどんは、たった今店主が伸ばして切って、茹であがったばかりのもの。当然ウマいに決まってる。
濃い目のツユにどっぷりつけて、太めでコシのある麺をズルズルすすり、ハグハグと噛みしめ飲み込む、この快感。
ご飯、天ぷら、うどんのすべてに手抜きナシ。このクオリティで500円とは本当にビックリ。
こちらのお店は、讃岐うどんの本場・香川県の名店『宮武うどん』の流れを汲むと聞いたが、
味だけでなく値段まで本場のスタイルを踏襲するとは…なんていい店なんだ!

調子に乗って、「かけうどん」の小も追加オーダー。これでもお会計は合わせて700円だ。
かけうどんは、温かいツユと温かい麺が「あつあつ」で、「あつひや」「ひやあつ」「ひやひや」の4種があり、
冷たい麺のざるを食べた直後ゆえ、私はあつあつを選択したが、おすすめは冷たいツユと温かい麺のひやあつらしい。
提供されたかけうどんに、セルフの生姜と揚げ玉を入れ、少し七味をかけて食べることに。


冷水で締めたざるだと、やや歯応えがあると感じたうどんも、温かい出汁で食べると、ちょうどいい硬さ。
なにより、金色と書いて「こんじき」と読みたくなる(←なんだよ、この表現)お出汁が、じんわりおいしい!
東日本の真っ黒なツユも好きな私だけど、やっぱり西日本のツユにはかなわないかなあ。
安くてウマいうどんを堪能し、一発でお店を気に入った私は、当然再訪を決意。
しかし、こげらさんの営業時間はお昼の3時間のみ
冒頭で書いたように、なかなか行けなかった私だが、その後、金曜日だけ夜営業を始めたことを知り、喜び勇んで駆けつけた。

到着したのは開店直後だったが、すでに数名の常連さんが、うどんと酒を楽しんでいた。
この日選んだのは「釜玉うどん」の並。茹で窯から直接すくいあげたうどんに、生玉子を絡める。


水で締めてないため、モチモチした歯触りのうどんが楽しめる。この日は麺自体に塩分があり、ダシ醤油もいらなかった。
常連さんたちは、酒だけでなくうどんもお替りしているようなので、私も負けずに(?)、
限定メニューの「肉肉肉汁うどん」並500円を追加オーダー。


国産豚バラを使用し、つけ汁にはお店で提供している日本酒「屋守(おくのかみ)」を加えているとか。原価高そう。
写真を撮っていたら、店主が「かて。」とかわいく告げながら、ネギの天ぷらをサービスしてくれた(写真上の方)。

※そういえば、さっきの「げそ天」の写真にもネギ天があったよね

武蔵野うどんには、糧(かて)と呼ばれる野菜を提供することもあるが、讃岐うどんのこげらさんでもつくのはありがたい。
豚肉のコクが溶けだした、特製つけ汁がおいしかったので、2杯目でもペロリとイケた。
この日も、うどんを2杯食べたのにお会計は800円。次回は常連のマネをして、酒を飲もうと誓った。

それから数日後の入店時も、常連らしき先客が日本酒を嗜んでいた。ヨシ、私も気兼ねせず酒が飲める。
この先客は、「もう1杯もらうよー」と店主に告げると、客席の奥にある冷蔵庫から日本酒を取り出し、自分で注いでいた。
生姜や揚げ玉、そして飲料水だけでなく、常連は酒もセルフサービスか
私はまだ3度目なので、店主に頼み、缶ビールを持ってきてもらう。銘柄はエビスの350mlで300円。利益出るの!?
さっきも触れた、日本酒「屋守」は1杯500円。私は知らなかったが、500円ではもったいない、希少なお酒らしい。
常連さんはガブガブ飲んでるが、私は「ちくわ天」と缶ビール1本で済ませ、うどんに移行。
この日も、限定メニューの「甘いきつねうどん」中500円を注文。


甘味がジュワっと浸み出す、油揚げのウマいこと。まるで高級な和菓子のようだ(←大げさ)。
この日は、店主と少し会話ができたので、うどんを切る様子の撮影許可をもらった。
うどん玉を棒で伸ばし、折りたたんでから、ギロチンみたいな機械で麺にする。


別のアングルから。ストンストンとリズミカルに切っていく。


うどんのアップがこちら。ぶきっちょな私がやったら、自分の手を切っちゃいそうだ。


なお、店主が着ている黄色いTシャツの背中には、「NO UDON, NO LIFE」と印刷されている。
うどん愛あふれるこのシャツは、麺と同様こげらさん自家製らしい。私も欲しいぞ。
この日のお会計は900円。いつもながら安くて申し訳ない。
会計時、店主は笑顔で「次回からは自分で冷蔵庫開けて(お酒を)出しちゃっていいですよ」といってくださり、
さらに、お店のステッカーをいただけた。やったぜ、私も【常連客認定】だ!?


店名でもある「こげら」というのは、キツツキ科の鳥で、「小平市の鳥」でもあるらしい。
店主はうどんだけでなく野鳥も好きで、他にもいろんな趣味があるらしい。今度じっくりお話ししたいよ。

それから数日後のお昼、再びお店を訪れた私は、前回告げられたように、「ビールもらいますねー」と声をかけ、
自ら冷蔵庫から缶ビールを取り出したのだが、お会計時に「どうぞ」と、再びステッカーをもらってしまった。
どうやら、顔を覚えてもらってなかった=常連認定はされていなかったようだ(苦笑)。
この日の注文は、缶ビール計3本と、天ぷら3種盛り(げそ、ちくわ、れんこん)、シメにかけうどん並の「あつひや」。
最初にちくわの磯辺揚げと、糧代わりのうどんの素揚げが登場。


うどんの端っこをそのまま揚げたものだが、程よい塩分が効いていて、なかなかイケた。レギュラー化希望!
続いて、残りのゲソとれんこんの天ぷら、そして切り分け用のハサミがやってきた。


どうよ、このビッグな顔ぶれの盛り合わせ。これで300円でいいのかね!?
気分よく飲んでいたら、近所に住む女子中学生が、お客さんとしてやってきた。
普段は母親と一緒らしいが、うどんが食べたくて初めてひとりで来た、とのこと。
店主も「女の子のひとり客は珍しいよ~」と目を細めていたが、その隣席にいたのが運悪く、
昼間っから缶ビールを3本空けている薄汚い男(私)。お嬢ちゃんに悪印象を与えちゃったな…。
ともあれ、こちらのお店が老若男女、幅広い世代に愛されていることは間違いないようだ。
実際、小うどんなら200円だし、この価格帯なら小学生だって来店しそうだ。
店主も、うどん作りに関してはストイックだが、お客への愛想はよく、ゆったりとした雰囲気がお店には流れており、
頑固で不愛想な、悪い意味での職人気質なんぞ、微塵とも感じさせない。
私は見たことはないが、おそらく小学生がひとりで来店しても、温かく迎え入れることだろう。
安くてウマくて心地よい空気。これなら場所に関係なく、流行って当然だ。

さて、この日のシメうどんを食べ終えたあと、以前常連客がやっていた「替玉」を頼んでみたところ、
店主は快諾してくれ、すぐにひと玉分のうどんを提供してくれた(さっきは「あつ」だったので今度は「ひや」)。


残ったツユに、写真左の替玉を移し、さらにガツガツ食べまくる。替玉のお値段は「100円で」とのこと。
エビス缶ビール3本、巨大天ぷら3個(オマケ1個)、かけうどんにお替わりうどんで、お会計が1600円!
思わず「安い!」と声に出してしまった。普通なら、エビス缶3本+消費税で、それくらい払うのに。
先述したように、2枚目のステッカーをいただき、大満足で退店。今度こそ、店主に存在を認識してもらえたかな?

最初の方で触れたけど、店主はSNSで、限定メニューや臨時休業など、お店の情報を発信しているのだが、
たまに奥様が描くマンガも登場し、これがとっても面白い。
店主夫妻のキャラも含め、「ノーこげら・ノーライフ」と心に刻んでいる常連客は、私も含め大勢いることだろう。



手打ちうどん こげら
東京都東村山市富士見町2-6-72
西武線小川駅から徒歩約15分、東大和市駅から徒歩約18分
店の近くに「団地南」というバス停あり
営業時間 11時~14時、金曜のみ18~20時も
定休日 水曜、その他不定休 大晦日や元日は営業
※うどん売り切れによる早じまいあり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

真っ黒なツユに興奮の厚肉 飯田橋『豊しま』

2018年12月31日 | そば、うどん
昨日の日記で、私がケイリングランプリの本命に推した平原康多は、最終2センターで落車。
最近4年間で、私が本命にした選手は、大差ビリ、失格、落車失格、落車。
今年も不的中に終わり、「デスノート予想」伝説は継続中だ。
さて、競輪のことは忘れて、大晦日らしくおソバ屋さんについて語ろうか。

と言っても、今回紹介するのは、立ち食いソバのお店。飯田橋にある『豊しま』さんだ。


チェーン店『富士そば』などの店舗とは違い、入口にドアはなくのれんだけ。
なので、日雇い労働の出勤で、こちらのお店の前を通ると、ダシのいい匂いがダイレクトに伝わってくる。
ほぼ毎朝二日酔いでヘロヘロ状態の私(←ダメ人間)を、元気づけてくれるような、たまらない芳香である。
ダシの匂いではガマンできず、ある日の労働の昼休みに、初めて入店してみた。
お店の看板に書いてあるように、こちらのウリは「肉そば」らしいが、店内には写真の貼紙も。


「元祖・厚そば」680円。肉が赤字になってるのもいい。
おススメの「厚肉」を、最近ハマってる「うどん」で注文したら、さすがは立ち食い店。すぐに出てきた。

※毎度毎度、ピンボケですまん

ウホッ、厚肉という表現に偽りのない、スペアリブのような肉ではないか。
大きな角煮の入ったラーメンはよく見かけるが、こんなにデカいサイズ、しかもうどん・そばでは珍しいのではないか。
厚肉は、甘辛いタレでよ~く煮込まれており、期待通りの味・柔らかさ・食べ応えだ。
そして、肉以外の特徴としては、「関東風」とお店が自負する(最初の写真参照)、真っ黒なツユ。
関西の人は嫌がるらしいし、私自身も讃岐うどんのような、薄い色のダシも好きだけど、
ガキの頃によく食べていた立ち食いソバ屋のツユは、このような真っ黒の濃い口だった。
このカツオと醤油ベースのダシに、例の厚肉の旨味が加わるのだから、ウマいに決まってる。
うどん自体は、立ち食いそば屋でよく使われている、ごく普通の茹で置きタイプだと思われる。


この白いうどんが、だんだんと黒いツユに染まっていくのも見どころ(?)だ。
麺と肉は当然たいらげ、揚げ玉が溶け、健康にはよろしくなさそうなツユも、ついつい飲み干してしまった。
豊しまさんには数日後に再訪し、今度は「厚肉」を「そば」でオーダー。


ソバもやっぱり、すぐ提供できるように茹で置きで、やや柔らかめのタイプ。
麺にクセがない(コシもないが)ことが、厚肉や真っ黒ツユのインパクトをより高めているのかもしれない。

こちらのウリである「肉そば」は、厚肉ではないタイプもある。
肉は薄目、というか普通の形状で、適度に脂が乗っている。揚げ玉つきで480円。
写真は「冷やし肉ソバ」580円に「生玉子」90円をトッピング。玉子、意外と高いね。


冷やしだと、麺が冷水で締めてあるので、ほどよい歯応えがある。
ただし、当然のようにいつもの温かい濃い口真っ黒ツユではなく、なんだか物足りない。
さらに、冷たいツユと生玉子の相性はかなり悪い。玉子好きのくせに、なんで食べる前に気付かないんだよ。
お肉自体も、冷たいと脂が固まっちゃうし、肉そばは温かいのに限るかな。

豊しまさんは、店内壁にメニューが表記されているのだが、いわゆる「かけそば」が見当たらない。
ただ、「たぬき」「きつね」、そして「玉子」が330円なので、先述の玉子追加90円から、あるとすれば240円になるのだろう。
他は「天ぷら」350円、「天玉」440円、冷やしが各100円増しで、あとは「おにぎり」各110円に「いなり寿し」80円。
計算すると、天ぷらトッピングは110円か。90円のたぬきよりだいぶお得だよね。
普通の肉トッピングは、差額を考えると240円…あ、揚げ玉(たぬき)も入っているから150円になるのかな。
同じ理屈で厚肉トッピングは350円。700円でダブルを頼みたいけど可能なのかな。丼からあふれそうだけど。
あふれるといえば、こちらの「大盛り」。値段は+240円。ちょっと高いな、と思うよね。
理由は麺が倍、つまり2玉使用するから。要するにかけそば×2だ。
丼も、大盛り専用のデカいやつを使う。写真は「肉そば」+天ぷら+大盛りで計830円。


上からじゃ、大きさがわかりづらいから横からの写真も。


これじゃ、余計わかりづらいか。今回のブログ、ダメな写真ばかりで本当にゴメン。
とにかく、大きな丼にソバが2玉入っているのだけは理解してほしい。


肉、天ぷら、ソバ2玉ではカロリー摂取過多かと思い、揚げ玉は遠慮しておいた(←ナニを今さら…)。
さすがに2倍だと、食べても食べてもソバが減らない。中間の「+120円で1.5玉」の中盛りが欲しいところだ。
欲しいといえば、おにぎりやいなりではなく、「ホカホカの白飯」かな。
できることならば、厚肉トッピングをダブルで注文し、ひとつはご飯に乗せて、一気にかきこみたいよ。

ここ数年の私は、「食事はゆっくり落ち着いて楽しみたい」と考えるようになったため、
食べてすぐに退店しなくてはならず、イスもない立ち食いソバ店は、ほとんど利用しなくなっていた。
同じ理由で、イスはあっても牛丼屋など回転重視の店も、明らかにヒマそうな時間帯にしか行かなくなった。
幸か不幸か、サラリーマン時代のように、仕事に追われて食事の時間を削ったりすることもないしね。
なので、13時は過ぎていたとはいえ、昼時に豊しまさんに通ったのは、かなり珍しいケースである。
理由は、ここまで散々触れてきた、「濃いツユ」と「厚肉」という興奮があったから。
やっぱり、オンリーワンのメニューってのは、飲食店に必要だよね。

冒頭で書いたように、本日は大晦日であり、年越しソバを食べる方も多いことだろう。
年越しに「厚肉ソバ・大盛り」を食べたら、よい年を迎えられること間違いなさそうだが、
ビジネス街にある豊しまさんは、今日はおそらく営業してないと思う(笑)。あと、明日の元日もね。
いずれにしても、今日で2018年も終わり。皆さまよいお年を!



豊しま(とよしま)
東京都新宿区下宮比町1
飯田橋駅から徒歩約2分、神楽坂駅からも徒歩圏内
営業時間 月~金 6時半~18時半、土は15時まで
定休日 日曜と、大晦日も多分やってないと思う
※江戸川橋駅近くにも支店あり
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京随一の人気うどん店 神保町『丸香』

2018年11月10日 | そば、うどん
昨年夏頃から、うどんに興味を持つようになり、評判の店をいくつか訪問してみた。
接客面などで期待を裏切られた店もあったが、うどんの味自体はどの店も悪くなかった。
まあ私はバカ舌なので、麺類ならばなんでもウマいと感じてしまうのだが。
それでも、ちょっとこの店は違うなと感心させられたのが、神保町の『丸香』(まるか)さん。
ネットやマスコミが大絶賛している讃岐うどんの名店で、ピークタイムには長~い行列ができるとか。
店名は、うどんに使用している本場・香川県産の小麦粉の商品名が由来だそうで、
私の大好きな、「ペヤング」のまるか食品は無関係らしい。当たり前か。

「超超超大盛」、食後はしばらくダウンした

拙ブログでは、こちらのような誰もが知っているお店は、なるべく取り上げないようにしているのだが、
うどんマニア(ただしニワカ)としては避けて通れないお店なので、素直に紹介させていただく。

初訪問は、とある日の夕方頃。様子をうかがいに来てみたら、たまたま行列がなかったので迷わず入店。
とはいえ、20席以上ある店内の席はほぼ埋まっていたし、私が会計して店を出たときは、すでに行列ができていた。
ホールには女性3名、厨房にも男性店員が3名くらいおり、セルフではなくちゃんと配膳してくれる。
主なメニューはこちら。光の反射とか、全然気にしなくてゴメン。


以前より少し値上げしたようだが、それでも「かけ」440円、「つけ」450円は、都内では破格だよ。
私はざるうどんが好きなので、「つけ」をオーダー。酒やトッピングは頼まず、純粋にうどんを味わうことにした。
しばらくすると、つけうどんが到着。予想通りの整ったビジュアル。


ツヤのあるうどんは、「艶」という漢字を当てたいくらいで、食べる前からウマいのがわかる。


さっそく、ツユに浸して食べよう…と思ったら、このうどん、意外と長い。
ハシで持ち上げたら、長身の私(胴長なのではない)の頭上を超え、立ち上がらなくてはならないレベル。
仕方なく、丼の麺を直接ツユが入った器に移し、それをハシで口にすくって噛み切ることに。我ながら下品な食べ方である。
案の定、周囲にツユがこぼれてしまうため、途中で面倒になり、ツユをうどん丼に入れてしまった。


メニュー表にも「ダシをうどんにかけて、ぶっかけにしてもOK」みたいなことが記されていたしね。

肝心の味の感想だが、歯触りは外側は柔らかく、しかし内側にコシがあり、歯応えものど越しも最高。
麺はきっちり冷えており(たまにヌルい店があるからね)、ツユの濃さもほど良く、うどんの長さ以外はすべて私の好み。
しかも、繁盛店にもかかわらず、店員さんたちはあわてずテンパらず、適度に愛想も良かった。
回転重視ではなく、接客も丁寧。さすがは東京随一の人気店だ。
この日は他に用事があり、つけうどんだけで退散したが、後日、当然のように再訪した。

2回目の訪問も、空いている夕方の時間帯を狙ったため、並ぶことなく入店。
頼んだのは「釜たまカルピスバター」600円。温かいうどんに玉子とカルピスバターを絡め、付属のダシをかけて食べる。


粒コショウがかかっているので、一見カルボナーラのようだ。ベーコンも入れてほしいね。


ズルズル、ガツガツ、サッサッ(←周囲にハネた汁を拭いている音)とたいらげ、ごちそうさま…
…では終わらせず、この日は「かけ」うどんの冷たいバージョン、通称「ひやかけ」をお替り。
丸香さんは、お替わりうどんは100円引きしてくれるからね。

※またまた照明反射してしまい、申しわけない

ただ、私は当初、この「二杯目のうどん-100円」というマイナス表記に気付かず、「二杯目のうどん→100円」に見えたため、
「2杯目のうどんはどれでも100円かよ!」と勘違いしてしまい、
危なく「海老天5本乗せ・玉子バター肉うどんの大盛り」などを注文するところであった(←意地汚ねえ)。
数分後、ひやかけうどんが、「おかわり」と書かれた伝票とともにやってきた。


前回食べた「つけ」と似ているが、ツユは黒くなく、「かけ」仕様の黄金色したイリコダシだ。
うどん自体も「かけ」仕様なので、長さが気にならず、ズルズルすすれる。
途中で、小皿に添えられた生姜と、卓上の無料揚げ玉を追加してみたけど、揚げ玉は必要なかったかな。
2杯食べたら、さすがに満足し、今度こそごちそうさま、だ。お会計は940円だって。安いなあ。
ざる、釜玉、かけ、と基本の3種(?)を試してみたが、どのうどんも値段以上の価値あり!

店を出ると、この日もやっぱり行列ができていた。


私が行く、夜営業開始直後の17時台なら、さほど並ばないで済むのではないかね。

つい最近食べたのは、「肉うどん」700円+「生たまご」50円。
最近入手した、雑誌「danchu」のうどん特集号(発行は2013年、古本屋で108円で購入)によると、
うどんダシをベースに、濃口醤油や赤ワイン、和三盆糖(←高いよ!)などのタレで煮込んだ牛肉に玉ネギを加えた、
「牛丼へのオマージュ」と店主が語る逸品らしい。牛丼ファンとして、これは期待せずにはいられない。
注文し、うどんは出来上がったようだが…なぜか厨房の提供スペースに置かれたまま。
数分後やってきたのが、写真の商品。玉子が余熱で温まるのを待っていたのかな?


うどん好き、牛丼好き、しかしそれ以上に玉子大好きの私としては、玉子は別皿で欲しかった!
「温泉たまご」80円もあるのに、わざわざ生を選んだのは、別皿で溶いて、つけダレ風にしたかったからなんだけどね。
とりあえず、七味と付属の粒コショウをかけ、玉子は肉の底に沈め、あとのお楽しみに。


煮込まれた牛肉は、牛丼専門店のものより風味が淡白だが、ここのうどんには合っていると思う。
しかし、玉ねぎは歯応えを重視したのか、生煮えの堅い状態。今回がたまたまなのか、普段もそうなのかはわからん。
最後に、残しておいた牛肉と玉子を絡めて、黄身が割れないよう、一気に食べた。
ご飯も欲しくなるが、ここは「おむすび」しかない。茶碗の米に、肉と玉子を乗せて食べたかったな。

欲しくなるといえば当然アルコールなのだが、丸香さんはびんビールこそ置いてあるものの、
ここ最近はなぜか、ちくわ、海老、かしわ(鶏肉)など、各種天ぷらの販売を休止しており、
ツマミになりそうなのはせいぜい、「梅干」、「マヨネーズ」、卓上の揚げ玉くらいしかない。「すだち」じゃ飲めないし。
さすがの私も、「マヨネーズ」50円でビールを飲むのは恥ずかしいな。
会計時、店員さんに「揚げ物はいつ再開するんですか?」とたずねたら、
「現時点では予定はなく、しばらく休むことになりそうです…」とのことだ。やっぱり客の回転が鈍るからかな。
いつかは天ぷらでビールを飲んでから、絶品うどんでシメたいものだが。

なお、丸香さんがある界隈は、長蛇の列こそないものの、魅力的な飲食店が多数存在するので、
近いうちに、それらのお店も紹介したいと思っている。


うどん 丸香
東京都千代田区神田小川町3-16-1
地下鉄神保町駅から徒歩約3分、JR御茶ノ水駅からは約9分、水道橋駅からは約10分
営業時間 月~金11時~16時、17時半~19時半 土11時~14時半
定休日 日、祝、年末年始、お盆ほか
※うどんが売り切れ次第終了
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「からしうどん」の謎を追う! 武蔵境『大むら』

2018年09月27日 | そば、うどん
JR中央線で都内に向かうとき、外の風景を眺めていたら、武蔵境駅の手前で気になる看板を発見。
その看板はさほど大きくはなく、赤い文字で「からしうどん」と書かれただけの、シンプルなものだった。
からしうどんとは!? 黄色い辛子をぶっかけたうどんとは思えないし…。
ある日、謎を解くべく武蔵境駅で下車し、看板方面に向かってみたところ、写真の建物を発見。


看板のあった建物は、やはりうどん屋さんの店舗で、入口の看板には、
手造りの店と、暗号のような文字が!
どうやら「手造りの店 大むら」と読むらしいが、本ブログでは『大むら』と記載させてもらう。

入口看板の謎は解けたので、「からしうどん」の正体も探るべく、さっそく入店してみた。
卓上にある、分厚いメニュー本をめくると、最初のページで「一番人気」「おすすめ」と紹介されていたのは、
文字通りの看板メニューである「からしうどん」だった。


その正体は、辛子ではなく豆板醤をベースに、地元産の唐辛子などを使用した、あんかけダシをかけたうどん。


味噌ダシ、牛肉入り、カキ入りなど種類も豊富で、辛さも6段階から選べるらしい。
他にも、カレーや天ぷらなど一般的なものから、オリジナルの創作メニューまで、数多くのうどん見受けられ、
さらに、テーブル席の隣にソバ粉を引く石臼が置いてあるように、自家製そばも提供している。


また、日本酒や焼酎、おつまみも豊富に揃っているので、飲み屋としても利用できそうだ。
私はとりあえず生中600円(→タイムサービスで400円)と、からしうどんの麺を豆腐に替えた「からしとうふ」1000円を注文。
ビールを飲んで待っていると、グツグツと煮込まれたからしとうふが登場。


具だくさんのあんかけに、カイワレ大根と揚げたソバが盛り付けられている。
具材は厚揚げ豆腐に、エビやホタテに野菜、そして鶏の唐揚げも入っていた。


ダシの味は塩分こそ濃かったものの、そんなに辛くはなかったので、卓上の七味を追加した。
ビールをお替わりし、からしとうふをほぼ食べ終えたところで、シメのお食事に。
同系統のとうふを食べた直後なので、名物のからしうどんは避け、「武蔵野地粉うどん」890円を選択。


武蔵野地区で昔から好まれている、肉野菜入りのダシ汁につけて食べる、やや硬めのうどんだ。
うどんにツブツブがあるのは、この辺で収穫された希少な小麦全粒粉を配合しているかららしい。


その後も、何度か通わせていただいたので、以下で、これまでに食べたうどんを紹介する。
こちらは「牛すじカレーうどん」950円。


ほどよい辛さのカレースープに、柔らかく煮込まれた牛スジがゴロゴロ入っていた。


うどん自体も、温かいツユに浸っていても最後までコシを失わないところは、さすがは専門店。
続いてこちらは、ラーメン店の油そばをモチーフにした、「油うどん」850円。


通常より細目のうどんを、かえしを基にした中華風のタレに絡めて食べる。
おつまみとしても出している、自家製チャーシューは旨味バツグン。

酢とラー油も同時に提供されたが、タレの酸味がやや強く、必要はなかったかな。

最後は、名前がユニークな「とのさまうどん」950円。


大むらさんの創作うどんの中でも、長年にわたって支持を集めているメニューだそうで、
まさにお殿様に献上するかのように、ズワイガニ、エビ、ホタテなどなど豪華で具だくさん。


食べ進めていくと、カニとシイタケなどからクセの強い旨味が溶けだし、互いにケンカしている印象だった。
そもそも私、カニが苦手だった。クリームコロッケは好物なんだけどね。

この他にも、海鮮たっぷり(←当然カニ入りだが…)で味噌バター風味の「北海うどん」や、
冬場限定、揚げたてカツと玉ねぎに、かき玉あんかけを添えた「とんかつうどん」、
さらに天ぷらうどんや、手打ちのそばなど、まだまだ食べていない商品がたくさんある。
お値段はそこそこするが、今後も通い続けて、いろんなメニューを試したいよ。
あ、そういえば、からしうどんが未食ではないか!



大むら
東京都武蔵野市境南町4-9-2
武蔵境駅nonowa口から徒歩約5分
営業時間 11~15時、17~21時
定休日 木曜、その他夜営業をたまに休む(月に1~2回程度)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

方南町の人気うどん店『御利益』が閉店していた!

2018年07月18日 | そば、うどん
全国各地で高校野球の地区予選が始まったが、前評判の良かった高校が次々と敗れている。
我が母校・日大三も、勝利こそ収めたものの、初戦、次戦と公立校相手に、途中までリードを奪われる苦戦。
21世紀に入ってからは、初戦から2戦続けて9回までやった(=コールドで勝てなかった)のは、今年が初めてである。
母校がカツことを願い、ゲンかつぎにカツを喰うだけでは効果がないようなので、
『御利益』という縁起のいい店名のうどん屋さんで食事をし、御利益を得ようと思い、お店に向かったところ、
今回のブログタイトルのように、衝撃の事実に出くわしてしまった。


閉店したのが先月末の6月30日で、私が最初で最後の訪問をしたのが、その約2週間前。
店主のおじちゃんもおばちゃんも元気だったし、お店も繁盛していたので、突然の閉店にはビックリである。
結果的に、一期一会となった御利益さんのうどんを、以下で紹介することにする。
1度しか食べたことのない私が、このお店について語るのはおこがましいだろうが、そこはご容赦願いたい。

以前から「ウマくて量が多いうどん屋さん」と評判だった御利益さんだが、
店舗の場所が杉並区で、最寄り駅は地下鉄丸ノ内線の方南町、しかも営業時間が10時~14時の昼だけというのは、
東京の西側に住んでいて、普段は正午くらいまで寝ている私には、なかなか行きづらかった。
その日はたまたま早起き(一般的にはだいぶ遅いが)したので、御利益さんのうどんをいただこうと決意。
JR中央線に乗り高円寺で下車し、環七と方南通りを約40分間てくてく歩き、13時頃ようやくお店に到着。
ピークの時間はすぎたらしく、カウンター席が空いていたが、その後もどんどんお客さんが入ってくる。
着席するとすぐに、接客担当のおばちゃんが、冷えたお水の入ったビンとコップを持ってきてくれた。


暑い中を歩いてきて、ノドがカラカラだったので、このお水はありがたいよ。
私がオーダーしたのは、冷たいうどんに天ぷら盛り合わせがつく「ざる天ぷら付」1100円。
「天ぷらがバカ盛りで、値段以上の価値アリ」との噂を聞いていたのでね。
しばらくすると、隣の若い男性客に「たぬきうどんの冷やし」が提供された。
一般的な冷やしたぬきは、揚げ玉にネギ、キュウリ、あとはせいぜいナルトとワカメと紅生姜くらいだと認識しているが、
こちらのは、上記の具材以外にも、ナスとイモの天ぷらに、厚焼き玉子まで加わり、しかもうどんは山盛り。
噂通り気前のいい店だなあ…と感心している私の前で、店主のおじちゃんがジャンジャン天ぷらを揚げだした。
他に天ざるを頼んでいる客はいないけど、あれってまさか、全部私の分なのか…という不安がよぎる中、
まずは各種薬味とつけ汁が登場。


ネギと生姜に昆布の佃煮。ツユの中には、柑橘系果実の皮がひと欠片入り、さわやかな香りがする。
その後すぐに、冷水で締められたうどんがやってきた。まずは上からのアングル。


そしてこちらが横からのアングル。普通でもじゅうぶん大盛りだ。


まずはうどんだけをツユに浸して食べると、やや細目の麺にはしっかりコシがあり、薄口ツユとの相性も良好。
天ぷらの量だけでなく、うどん自体で満足できるな…と喜んでいたところに、天ぷらが別皿で登場!


さきほどの不安が的中する、予想以上の量に驚き、思わず苦笑いしてしまった
こちらが別のアングル。タテやらヨコやら、よくもこれだけ盛り付けたものだ。


天ぷら盛りの内訳を、あいうえお順に羅列すると、アスパラ(1本丸ごと)、海老2尾、エリンギ、カボチャ、
さつまいも、しいたけ、春菊、ズッキーニ、ナス(1個丸ごと)、ニンジン、ピーマン、レンコン、
そして巨大なししとう(万願寺唐辛子?)に、春菊に似た形状をした、謎の黒紫色の物体、以上全14種15個
各種天ぷらをうどんの上に乗せて、
 

塩やうどんツユに浸して食べてみる。


ピーマン隣の黒い固まりが、先述の謎の物体。正体がおわかりの方、ぜひ教えてください。


個々の具材がデカいので、食べても食べても減らない。これで1100円とは、「何かの間違いでは?」と疑いたくなる安価である。
そのような、大量の天ぷら軍団との格闘に、かなりの時間を費やしてしまったのだが、
その間もうどんは伸びることなく、なめらかな歯触りを保っていたのに驚いた。
店内壁の説明によれば、「当店は水、昆布、煮干し、みりん、塩などは、吟味かつ厳選した食材を仕入れ」、
「お子様からご年配の方までの健康食・美容食としてお召し上がっていただくよう努めております」とのこと。
御利益さんは量もさることながら、うどん自体の質もよい、素晴らしいお店であった

なんとか全部たいらげ、お会計をした際、おばちゃんに「おいしかったけど、ずいぶん多いですね…」と感想を述べたところ、
「少な目もお作りできますよ」というおばちゃんの返答にかぶせるように、店主が「これがウチの量だから!」と補足。
厨房内では、おばちゃんへの指示以外はほとんど声を出さず、寡黙で頑固そうな店主だが、
店の前を通る下校中の小学生に対し、「おかえりー!」「こんちはー!」と声をかけ、児童たちも返事していたのが印象的だった。
そういえば、ここの割り箸の入った紙袋には、お店の名前ではなく、店主の心意気を表すかのように、


の一文字が記してあったっけ。
私も小学生のように背筋を伸ばし、「また来ます!」とはっきりとした声で告げ、お店をあとにした。
帰路での私は「次はカレーか、肉汁か、それともざるの大盛りか…待てよ、天ぷら単品にビールもいいなあ」と、
次回訪問時に何を食べるか悩んでおり、この時点では本当に、近日閉店になるとは、思いもよらなかった。

連日、大勢のうどんマニアをうならせ、大食漢の若者たちを満足させ、地域のお子さんたちにも慕われていた、
粋で真面目なご夫婦が営むうどん店に、もう行くことができないなんて、残念で仕方がない。
最後に、失礼なのは承知の上で、この場を借りて最後の御挨拶を。
おじさん、おばさん、おいしいうどんをありがとうございました。御利益のことは一生忘れません。
どうか、いつまでもお元気で! 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ユニークな名前のうどん酒場 高円寺『でべそ』

2018年03月21日 | そば、うどん
ある日、高円寺南口をあてもなく探索していたら、一軒のうどん店を発見。
開店したばかりのようだが、店内には大勢の客がいて、なかなか繁盛している様子。
また今度、空いているときに来ようと思い、その日の入店はあきらめたが、
数日後「高円寺南口にうどん屋ができたよ」「ウマいらしいから行ってみな」と、複数の知人から連絡があった。
そんなに評判になっているのならば…と、すぐに足を運んだ。そのお店の名前は『でべそ』
自家製のうどんをメインに、おツマミや酒類も豊富に用意された、「うどん酒場」だ。

店内はカウンター席が中心で、奥にはテーブル席も。
各種サワーや日本酒、料理もたくさんあるが、とりあえず、びんビールとおでんを数個注文。
まずは赤星の中びん500円、続いておでんの「玉子」100円と「牛すじ」200円(価格は当時、以下同)がきた。


提供とほぼ同時に、店主さんが「今日はようこそいらっしゃいました」というような挨拶をしてくださった。
いかにも好青年という雰囲気の方で、この店主を目当てに来店する客もいるだろうね。
東京の西の方から来ました…と告げると、「わざわざウチにですか! ありがとうございます」と喜んでくれた。
その後、少しお話しさせていただき、店主が香川県の人気うどん店『カマ喜ri』でうどん作りを習得したと知る。
「修行先は観音寺ってところにありまして。高松と比べると有名ではないでしょうが…」と店主は語るが、
一般の知名度はともかく、観音寺という地名自体は競輪ファンなら絶対知っているぞ
「観音寺わかるよ。数年前まで競輪場があったしな。昔、観音寺の記念競輪で大儲けしてねえ…」
などと競輪バナシを展開したいところだが、いきなり悪印象を与えて、この先行きづらくなっても困るので自粛。
店主はその後、阿佐ヶ谷の立ち飲み店『風太くん』や、某うどんチェーンなど数店で修行し、
「お客さんとの接し方や、繁忙時のうどん提供の仕方など」も学び、昨年10月、高円寺に自身のお店をオープン。
お酒が飲めて、うどんでシメられるお店として、早くも人気店になった…との噂だが、
店主自身は「イヤイヤ、まだまだですよ」と謙遜する。

ビールからウーロンハイ(焼酎割り、サワー類は350円)に替え、何杯か飲み干したのち、いよいよ自家製うどんを注文。
基本のうどんはかけ、ぶっかけ、ざる、釜揚げ、おろししょうゆ、すべて400円。私は一番好きな「ざる」を選択。
注文と同時に、前もって仕込んであり、ビニール袋に入ったうどん生地が、


背後の製麺機に入れられると、数秒後、麺となってニューっと出てくる。


こちらが、完成直後のうどん。見るからにコシがありそうだ。


製麺機に入れる前に、うどん粉を伸ばしたりしたのかもしれないが、よく覚えていない。ゴメン。
つけツユは、冷たいのもあるが、店主は温かいのがおススメらしいので、それに従う。
うどんを茹でている間、ツユを入れる器に店主がお湯を注いだのを見て、
まさか、市販の麺つゆで割るのかと不安になったが(←バカ)、すぐにお湯を捨て、熱々の自家製ダシを注ぎなおす。
なるほど、器も温めていたのか。細かい気配りだね。余計な心配をして申しわけない。
茹であがった麺が冷水で締められ、ざるうどんが完成。


いつも思うけど、うどん専門店の盛り付けって、本当に美しいよね
自家製の出来たて麺は、結構噛み応えがあり、啜り具合はツルツルというよりズルズル。
ツユにつけると、小麦粉の風味をくっきりと感じる。期待通りのおいしいうどんだね。
隣席のお客さんが、「ここは釜玉もウマいよ」と教えてくれたので、次回食べることにした。

数日後、他の店で飲んだあとに再訪。店主が私のことを覚えていてくれた(多分)ようでうれしい。
こちらは食事だけの注文も可能なので、この日は「釜玉」450円のみオーダー。


付属のおろし生姜とネギ、そしてダシ醤油をかけ、ズルズルと食べていく。これは酔ったあとのシメにいいね。
その後も、何度か訪問し、天ぷらなどの揚げ物類で一杯やり、毎回うどんを食べて帰る。
こちらは「紅しょうがのかき揚げ」と「かしわ天」。


紅しょうがは値段失念。250円くらいだったかな。ジューシーなかしわ天は150円。
別の日には「鶏からあげ」250円と「コーンかき揚げ」150円をチョイス。


天ぷらは100円~で、他にもサラダや刺身、ミニちゃんこ(350円だった)など、いろいろなオツマミがある。
私は飲めないが、日本酒や焼酎のいい銘柄も揃っているそうだ。

うどんも数種類あるが、私の一番のおススメは「かけ」


ややもっちりした麺と、いりこ主体の温かいダシが、最も好相性に感じられた。
また、麺が温かいから気付いたのか、うどん自体にも意外と塩分があった(気のせいだったりして)。
他のうどんも美味しいけど、かけが一番気に入った、と店主に感想を述べたら、
「それは光栄ですね。自分が最も自信があるのもかけなので」とのことだった。

後日は、店主推奨の「かけ」+「牛肉」=700円を食べてみた。


甘く煮込まれた牛肉・玉ネギと、しょっぱいダシの組み合わせが、ウマくないわけがない。
薬味のネギと生姜が、これまたいい仕事をしている。生玉子を入れたら、さらにウマかっただろうね。
日替わり(季節替わり?)のうどんメニューもあるようなので、今後も飽きることなく通えそうだ。

最後に、気になるお店の屋号について。
初訪問時に、思い切って店主に聞いてみたところ…店主は隠そうともせず、
「実は、ボクが“でべそ”だからなんです」と笑顔でこたえてくれた。
気さくな店主が作る「でべそ」うどんのせいで、私はどんどん「でっぱら(出っ腹)」になっていく…。


うどん酒場 でべそ
東京都杉並区高円寺南4-7-1
JR高円寺駅から徒歩約3分、地下鉄新高円寺駅からも徒歩約15分
営業時間 11時半~14時半、17時半~0時くらいまで
定休日 月曜(祝日は営業、翌日休み)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本場で人気のうどんを味わえる 立川『香川一福』

2018年02月02日 | そば、うどん
ここ3回連続で、ラーメンについて語った拙ブログだが、最近の私はうどんを食べる機会の方が多い。
今年最初に食べた麺類も、吉祥寺『うどん白石』さんの季節限定メニュー「年明けうどん」だった。


赤い海老天に白い揚げモチ、そして紅白のかわいいカマボコが乗った、見た目も味も素晴らしいうどんである。
2018年の「麺はじめ」を飾るのに、ふさわしい逸品だった
…よくよく考えると、今年最初に食べた麺は「サッポロ一番塩らーめん」だった気もするが…まあいいや。

私がうどんに興味を持ち、いろんなお店を巡るようになったのは、確か昨年の6月頃。
その直後、立川市に『香川一福』という、讃岐うどんのお店がオープンした。
本場香川の人気店『一福』で修行した方が、神田に『香川一福』という店を出し、立川はその支店…になるのかな?
どうも、神田と立川ではオーナーが違うらしいのだが、その辺の詳細は知らない。
その神田店は、ミシュランのビブグルマン(要するに、高くないのにウマい店)に選ばれたらしく、
立川店の開店前には、「あのミシュランのうどん店が立川に!」のような宣伝が飛び交っており、
実際、オープン当日は長い行列ができ、閉店時間前に麺がなくなり、早じまいしたそうだ。

その翌日、夜18時過ぎくらいに、様子見で近くを通ったところ、なぜか行列はなかった。
入口では社員と思われる男性がいて、「よかったらどうぞ~」と、やさしい口調で案内してくれたので、
せっかくなので入店してみることに。店内にも客はほとんどおらず、待たされる心配もなかったからね。
券売機の前で少々悩んだが、「釜玉バター」700円と「とり天」180円(2個。現在は1個で120円)を選択。
セルフサービスなので、厨房カウンターで待っていると、うどんも天ぷらもすぐに完成。


麺をひと口すすった感想は…おっ、ウメエじゃねえか! だ。
実は私、ここのうどんは期待するどころか、「なにがミシュランだ、マズかったら承知しねえぞ…」と、
むしろ懐疑心を抱いていた。実際、提供が異様に早く、茹で立て・揚げ立てではなさそうだし。
しかし、そんな私の不安は即打ち消される、見事なうどんだった。
自家製麺は、讃岐うどんらしくしっかりとした腰があり、卵とバターとの絡みもよく、まさにカルボナーラのよう。
また、添付のダシ醤油もおいしく、とり天も冷めてはおらず、いい具合に揚がっていた。
ズルズル、ガツガツとあっという間にたいらげ、大盛りにすればよかったと後悔。
うどんには満足したが、ミシュランという権威に屈服したような気がしてシャクなので(?)、
あえて難癖をつければ、「運ぶときのお盆がすべる」。私だけでなく別の客も、お盆の上で丼がズレて驚いていたしね。
あと、これは私だけの身勝手な印象だと思うが、「ひとりだけ妙な店員がいる」。
他の店員と比べると、どうもコイツだけ表情に笑顔がなく、挨拶の声が押圧的。体格も立派なので余計に目立つ。
しかも、厨房からホールへ出てきたとき、なぜか肩を左右に揺らして歩いていた。さすがは立川の飲食店店員(笑)。
想像だけど、コイツはいまだに、中学時代ワルかった自分とかを自慢してそうだな。
この日以降は、入口から店内をのぞき、コイツが不在のときだけ入ることにしている。

しばらくして、ようやく再訪がかなったので、シンプルな「かけうどん・温・中サイズ」500円を注文。


無料の天カスを少しだけ入れて、黄金色のスープとしなやかな麺を堪能。うん、やっぱりウマい。
しかも、お盆には滑り止めシート(名称不明)が貼ってあり、丼をひっくり返す不安を解消。


やはり、何人かの客から要望があったのだろうか。すぐに対処したところに、お店の誠意を感じる。
そのまた数日後には、「カレーうどん・中」750円を食べた。


A4やら5やらの高級牛肉をふんだんに使った、都内有名洋食店のカレーソースらしく、
ひと口すすってみたところ、すんげえ濃厚
スープがドロドロで麺とよく絡むから、あまり周囲に飛び散らないのもありがたい(笑)。


途中で、付け合わせのダシを加えれば、普通のカレーうどんっぽい濃度になり、1度で2度楽しめる。


「白飯」150円を追加すれば、3度楽しめたな。可能ならば、このカレーソースをツマミに一杯やりたい。

それから数ヶ月たち、季節は夏から冬に移った頃、別の店で飲んだ後に、久々の入店。
注文したのは、期間限定の「瀬戸内レモンうどん・中」670円に、お店の推奨トッピング「豚肉」250円。


一緒にするとこんなビジュアル。言い忘れたけど、ここは生姜も無料で入れられるよ。


レモンとうどんの組み合わせは、正直あまり気に入らなかった。レモンが多すぎるのでは…が個人的な感想。
ただし、立川店にしかないという具の豚肉は、しょっぱい味付けがモロに私好み。卓上の胡椒をかけるとさらにウマい。
白飯と生卵をあわせて、「特製豚丼」にして喰ってみたい。ネギも少量もらえるとうれしいな。
以上、香川一福立川店には、これまでに4回入店。先述の理由で、入口で引き返したことも何度かある。
そのたびに感じるのが、「客がいない!」だ。
これまで散々ホメてきたのに、手の平を返すようでお店には申し訳ないけど、事実である。
ウインズ立川が近いので、土日は大勢の競馬客が利用しそうだが、平日は昼夜を問わず、混んでるのを見たことない。
前評判は良く、開店当日は大行列。その後の評判もそんなに悪くない。実際、食べてみても味に問題はまったくない。
私が嫌いな巨漢店員も、気にしない人の方が多いはずだし、接客面や衛生面も、見た限りではちゃんとしているのになぜだ。

不入りの理由は、近所に安価な『はなまるうどん』があるのと、セルフサービスが面倒なことくらいしか浮かばない。
ただ食器については、最近はセルフではなく、食前も食後もすべて店員さんが運んでくれるようになった。
理由は悲しいことに、「終始ヒマなので、他にやることがないから」だと思われる。
食べ終わって立ち上がった途端、「そのままで結構ですよー」という声とともに、女性店員が駆けつけるのにはビックリ。
食事中見張ってるのか? ま、若い女性に駆け寄られるのは、悪い気はしないけどねえ(←さみしい男)。
あと最近、お店のマイナス点をもうひとつ発見した。それは、店頭に掲示してあるメニュー表。
各商品と価格、「ミシュラン獲得」などのアピールに続く、最後のキャッチコピー。その問題作(笑)はズバリ、
“「出汁にフィネス(=雅、優雅さ)」をぜひご堪能ください!” なんじゃこりゃ!? ※食べログでの表記は“体験ください!”

そもそも文法から間違っていて、正しくは「出汁フィネス」か、せいぜい「出汁にフィネスを感じてください」だ。
「ミシュラン獲得」も当然ウザいが、何より不愉快なのが、カッコミヤビユウガサカッコトジルだ。
●一般的ではないと思われる単語や外来語は避ける ●()内で元の意味を説明するなら、素直にその単語を使うべし
「やってはいけない文章例」などによく挙げられる、上記2点が見事に当てはまっている。
美しい日本語を愛する私にとっては、実に許し難いキャッチコピーといえよう。
こんなクソコピーやめちまえ! この大バカヤロウ!!(←「美しい日本語愛」あふれる怒号) 
どうせ店員たちだって、フィネスなんて日常では使ってねえだろうし、このコピーも、おそらく誰かの入れ知恵だろう。
関係ないけど、私が敬愛する(嘲笑)食べロガーも、一人称を「小生」にしているヤツ多いよな。普段使ったこともねえくせに。
ミシュラン→フランス→そうだ、フランスの単語を使おう…という経緯で採用したのならば(推測だけど、当たってそう)、
明らかに方向性を誤っている。こういう勘違いが、店内閑古鳥の原因に繋がっているのかもしれない、
と結びつけるのは強引だろうか………とんでもなく強引だね。スマン!
それにしても、店員さんが食器も運んでくれて、並ばず待たず、ゆっくり落ち着いておいしい食事が楽しめる。
そんな、文字通りフィネス…じゃなくて優雅な空間になってしまった現在の状況は、なんとも皮肉である。

まあ、キャッチコピーなんて気にする方は少ないだろうし、これを読んだ皆さんもよかったら、
ぜひお店へ行ってみてほしい。雅か優雅かはともかく(笑)、うどんの味自体は満足してもらえるはずだから。
私は試したことないが、天ぷらやおでんなどをツマミに飲んで、シメにうどんをすするのもいいね!
とにかく、せっかくの美味しいうどんなのに、利用客が少ないのはもったいないよ。



香川一福(かがわいっぷく) 立川店
東京都立川市錦町2-2-1
立川駅南口から徒歩約4分
営業時間 11時~22時
定休日 年末年始以外は無休
※池袋にも支店あり


※22年5月31日に閉店しました
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする