以前も書いたが、江戸時代の寿司や天ぷらは、庶民が屋台で軽くつまむような、安価な食べ物だったそうで。
現代ではどちらも高級店のイメージの方が強く、特に天ぷらは、『てんや』のような天丼チェーンこそあるものの、
串カツ屋のように、揚げ立ての天ぷらだけをツマミに、お手頃価格で飲める店は、かなり少ない。
甘辛いソースをつける串カツも好きだが、お出汁のきいたツユで食べる天ぷらも、私は同じくらい好きなのだ。
そんなある日、三鷹駅南口をプラプラ歩いていたら、ちょっと気になる店を発見。
店外に貼ってあったメニュー表を見ると、天ぷらをウリにしているようで、店内カウンターはお客さんで埋まっている。
その、気になるお店の名前は『すーさんち』。
帰宅し、「三鷹 すーさんち」でネット検索してみたところ、ほとんど情報がなく、食べログにもまだ投稿がない。
前回の立川『竹や』でも書いたように、食べロガーが来ない店はイイ店という持論に従い、
数日後、さっそく入ってみることにした。
店内はカウンター席のほか、奥にはテーブル席もあるようだ。
お店を切り盛りするのは、若い男性店主のすーさんと、バイトの女の子。
まずはドリンクを注文しようとメニューを見れば、飲み物も食べ物も、立ち飲み屋レベルの安さ。
こちらが主なドリンクメニュー。サワー類は個人店とは思えない安さ。
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こちらはフードメニューの右側。120円の天ぷらや100円台の一品料理がそろう。
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一応、左側に行くほど値段が上がっていくが、それでも海老天180円、たこぶつ300円と破格。
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これらのメニューの他、日替わりメニューとして、店主のきまぐれ料理や、季節の天ぷらなどが黒板に記されている。
この日はまず、白ホッピーセットと天ぷら各種、それにすぐ出てきそうな煮込みをオーダー。
すぐにホッピーが提供され、続いて「もつ煮」250円と一緒に、生姜と大根おろし入りの天ツユが運ばれてきた。
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臭みのない煮込みをつまんでいると、メインの揚げ立て天ぷら4種が登場。
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右から「ぴーまん」「玉ねぎ」「まいたけ」「半熟卵」、どれも120円。串カツみたいに安いね。
続いて、180円の上等ネタ(?)である、「えび」と「きす」が揚がった。
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断っておくが、私は高級店の天ぷらは食べたことはないし、天ぷらへの知識はさほどない。
それでもあえて言うが、ここの天ぷら、美味しいよ。
120~180円という価格を考えると、失礼ながら、油も食材もごく普通のものを使っていると思うんだけど、
油切れはよく、衣はサクッと揚がっていて、中の天タネも、野菜は野菜の味、海老は海老の味がちゃんとする。
悪いけど、某天丼チェーン(さっき名前出したな…)の海老なんて、海老の味がしないよね。
その後もすーさんちには足繁く通い、片っ端から天ぷらを食べていった。こちらは「豆ふ」と「鶏ささみ」。
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豆腐の天ぷらは珍しいね。なおこちらでは、山梨直産の替わり豆腐も、各種350円で提供している。
続いては「えのき」、「長いも」、日替わりメニューの「春菊」に、「いか」。
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長いもは1個食べちゃったので、実際は2個。春菊は揚げるとクセがなくなり、お子ちゃまな私でも美味しく食べられた。
こちらは「かぼちゃ」と、すでにひと口かじった(失礼)「ブロッコリー」。緑黄色野菜も食べなきゃね。
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最後は、「魚肉ソーセージ」と「えび」「ぴーまん」。
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私のおススメ上位三傑は、えび、ぴーまん、春菊かな。えびは毎回頼んでいる気がする。
天ぷら以外でのおススメは、下の「きゃべつ・塩ダレ」120円。味付けは「みそ」や「ソース」も可能。
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他では、日替わりメニューだがいつもある気がする「自家製鶏ハム」。値段は200円か、250円だった。
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どちらもサッパリしているので、天ぷらの合い間につまむのに適している。
食事類は「白飯」と「もつ煮飯」と「たぬき飯」の3種があり、先日はたぬき飯350円を選択。
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白飯に、たぬき=揚げ玉と、ネギ、おかか、生姜を盛り付け、天ツユをかけて完成。
「よ~く混ぜて食べてください」と指南されたので、言われた通りグチャグチャに混ぜて食べた。
おおっ、生姜とネギがいい仕事している。たぬきうどんのうどんをライスに替えたような、面白い味だ。
今度『はなまるうどん』で、似たようなモノを作ってみようかな。
何度か通い、顔も覚えてもらったようなので、ある日、まだ忙しくなる前の時間帯に、店主すーさんと話してみた。
以下でインタビュー形式で会話を再現する。Qが私で「」内がすーさんね。
Q ここの天ぷらは美味しいんですけど、どこかの名店で修行を?
「イヤイヤ、学校出て居酒屋で働いて、こうしてお店を持てるようになったけど、自己流ですよ」
Q 自己流なんですか! それにしても、天ぷらもお酒も、安すぎるのでは?
「以前、日野駅の近くで立ち飲み屋の店長をやっていて、その時の値段をほぼ維持しているんで」
Q 今は立ち飲みではないし、三鷹という土地柄、もう少し値上げしてもいいのでは?
「これでも酒類は上げたんですよ…50円くらい。まあ確かに安いと思うけど、日野時代のお客さんも来てくれるので」
ハナシは逸れるが、吉祥駅北口出てすぐの場所にも、立ち飲みの天ぷら屋が今年開店した。
やはり、「天ぷら飲み」の需要はあるようだが、ここは酒も天ぷらも、だいたいすーさんちの倍か、それ以上しやがる。
生ビール600円に海老天300円。立ち飲みのくせに暴利だねえ。
結構マスコミにも取り上げられているようだけど、みんな、行っちゃダメだよ。
さて、ここからはまた、さっきの続きに戻る。
Q 日野から来る方もいるようですが、そういえばこちらのお客さんは、マナーの悪い人はいませんね。
「それは…やっぱり三鷹という土地柄でしょうね」
なるほど。このお店は、安さにつられてくるような若者客は少なく、むしろご高齢のお客さんが多い気がする。
ただし彼らは、ギャンブル場にいるようなダメ人間タイプではなく(笑)、分別をわきまえた紳士淑女である。
三鷹は確かに、隣りの吉祥寺や、日野・立川あたりと比較すると、落ち着いた印象のある町で、
もちろん貧しい人が住むエリアでもなく、常連客の大半はそこそこお金持ってそうな雰囲気だし、
彼らは「安く飲めるから」ではなく、「こちらのお店が好きだから」飲みに来るのだろう。
すーさん自身は、おそらくまだ20代の若者だが、この若さで人生の先輩たちを引き寄せるのは、
彼自身に魅力があることの証明に他ならない。
すーさんち
東京都三鷹市下連雀3-19-16
三鷹駅南口から徒歩約7分
営業時間 月~金16時~23時、土・祝日15~22時
定休日 日曜
※ドリンクのお替わりは、同じジョッキならば10円引き
現代ではどちらも高級店のイメージの方が強く、特に天ぷらは、『てんや』のような天丼チェーンこそあるものの、
串カツ屋のように、揚げ立ての天ぷらだけをツマミに、お手頃価格で飲める店は、かなり少ない。
甘辛いソースをつける串カツも好きだが、お出汁のきいたツユで食べる天ぷらも、私は同じくらい好きなのだ。
そんなある日、三鷹駅南口をプラプラ歩いていたら、ちょっと気になる店を発見。
店外に貼ってあったメニュー表を見ると、天ぷらをウリにしているようで、店内カウンターはお客さんで埋まっている。
その、気になるお店の名前は『すーさんち』。
帰宅し、「三鷹 すーさんち」でネット検索してみたところ、ほとんど情報がなく、食べログにもまだ投稿がない。
前回の立川『竹や』でも書いたように、食べロガーが来ない店はイイ店という持論に従い、
数日後、さっそく入ってみることにした。
店内はカウンター席のほか、奥にはテーブル席もあるようだ。
お店を切り盛りするのは、若い男性店主のすーさんと、バイトの女の子。
まずはドリンクを注文しようとメニューを見れば、飲み物も食べ物も、立ち飲み屋レベルの安さ。
こちらが主なドリンクメニュー。サワー類は個人店とは思えない安さ。
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こちらはフードメニューの右側。120円の天ぷらや100円台の一品料理がそろう。
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一応、左側に行くほど値段が上がっていくが、それでも海老天180円、たこぶつ300円と破格。
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これらのメニューの他、日替わりメニューとして、店主のきまぐれ料理や、季節の天ぷらなどが黒板に記されている。
この日はまず、白ホッピーセットと天ぷら各種、それにすぐ出てきそうな煮込みをオーダー。
すぐにホッピーが提供され、続いて「もつ煮」250円と一緒に、生姜と大根おろし入りの天ツユが運ばれてきた。
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臭みのない煮込みをつまんでいると、メインの揚げ立て天ぷら4種が登場。
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右から「ぴーまん」「玉ねぎ」「まいたけ」「半熟卵」、どれも120円。串カツみたいに安いね。
続いて、180円の上等ネタ(?)である、「えび」と「きす」が揚がった。
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断っておくが、私は高級店の天ぷらは食べたことはないし、天ぷらへの知識はさほどない。
それでもあえて言うが、ここの天ぷら、美味しいよ。
120~180円という価格を考えると、失礼ながら、油も食材もごく普通のものを使っていると思うんだけど、
油切れはよく、衣はサクッと揚がっていて、中の天タネも、野菜は野菜の味、海老は海老の味がちゃんとする。
悪いけど、某天丼チェーン(さっき名前出したな…)の海老なんて、海老の味がしないよね。
その後もすーさんちには足繁く通い、片っ端から天ぷらを食べていった。こちらは「豆ふ」と「鶏ささみ」。
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豆腐の天ぷらは珍しいね。なおこちらでは、山梨直産の替わり豆腐も、各種350円で提供している。
続いては「えのき」、「長いも」、日替わりメニューの「春菊」に、「いか」。
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長いもは1個食べちゃったので、実際は2個。春菊は揚げるとクセがなくなり、お子ちゃまな私でも美味しく食べられた。
こちらは「かぼちゃ」と、すでにひと口かじった(失礼)「ブロッコリー」。緑黄色野菜も食べなきゃね。
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最後は、「魚肉ソーセージ」と「えび」「ぴーまん」。
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私のおススメ上位三傑は、えび、ぴーまん、春菊かな。えびは毎回頼んでいる気がする。
天ぷら以外でのおススメは、下の「きゃべつ・塩ダレ」120円。味付けは「みそ」や「ソース」も可能。
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他では、日替わりメニューだがいつもある気がする「自家製鶏ハム」。値段は200円か、250円だった。
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どちらもサッパリしているので、天ぷらの合い間につまむのに適している。
食事類は「白飯」と「もつ煮飯」と「たぬき飯」の3種があり、先日はたぬき飯350円を選択。
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白飯に、たぬき=揚げ玉と、ネギ、おかか、生姜を盛り付け、天ツユをかけて完成。
「よ~く混ぜて食べてください」と指南されたので、言われた通りグチャグチャに混ぜて食べた。
おおっ、生姜とネギがいい仕事している。たぬきうどんのうどんをライスに替えたような、面白い味だ。
今度『はなまるうどん』で、似たようなモノを作ってみようかな。
何度か通い、顔も覚えてもらったようなので、ある日、まだ忙しくなる前の時間帯に、店主すーさんと話してみた。
以下でインタビュー形式で会話を再現する。Qが私で「」内がすーさんね。
Q ここの天ぷらは美味しいんですけど、どこかの名店で修行を?
「イヤイヤ、学校出て居酒屋で働いて、こうしてお店を持てるようになったけど、自己流ですよ」
Q 自己流なんですか! それにしても、天ぷらもお酒も、安すぎるのでは?
「以前、日野駅の近くで立ち飲み屋の店長をやっていて、その時の値段をほぼ維持しているんで」
Q 今は立ち飲みではないし、三鷹という土地柄、もう少し値上げしてもいいのでは?
「これでも酒類は上げたんですよ…50円くらい。まあ確かに安いと思うけど、日野時代のお客さんも来てくれるので」
ハナシは逸れるが、吉祥駅北口出てすぐの場所にも、立ち飲みの天ぷら屋が今年開店した。
やはり、「天ぷら飲み」の需要はあるようだが、ここは酒も天ぷらも、だいたいすーさんちの倍か、それ以上しやがる。
生ビール600円に海老天300円。立ち飲みのくせに暴利だねえ。
結構マスコミにも取り上げられているようだけど、みんな、行っちゃダメだよ。
さて、ここからはまた、さっきの続きに戻る。
Q 日野から来る方もいるようですが、そういえばこちらのお客さんは、マナーの悪い人はいませんね。
「それは…やっぱり三鷹という土地柄でしょうね」
なるほど。このお店は、安さにつられてくるような若者客は少なく、むしろご高齢のお客さんが多い気がする。
ただし彼らは、ギャンブル場にいるようなダメ人間タイプではなく(笑)、分別をわきまえた紳士淑女である。
三鷹は確かに、隣りの吉祥寺や、日野・立川あたりと比較すると、落ち着いた印象のある町で、
もちろん貧しい人が住むエリアでもなく、常連客の大半はそこそこお金持ってそうな雰囲気だし、
彼らは「安く飲めるから」ではなく、「こちらのお店が好きだから」飲みに来るのだろう。
すーさん自身は、おそらくまだ20代の若者だが、この若さで人生の先輩たちを引き寄せるのは、
彼自身に魅力があることの証明に他ならない。
すーさんち
東京都三鷹市下連雀3-19-16
三鷹駅南口から徒歩約7分
営業時間 月~金16時~23時、土・祝日15~22時
定休日 日曜
※ドリンクのお替わりは、同じジョッキならば10円引き