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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

初めて通った「回らない寿司店」 東所沢『鮨みつ』

2024年12月04日 | 定食、食堂
日本人のくせにナマモノが苦手で、お寿司にもさほど興味はなく、たまに回転寿司店に行ったとしても、
ハンバーグ寿司やグラタン寿司、そしてラーメン、パフェ、プリンなど、お子ちゃまメニューしか頼まない私。  ※詳細はスシロー編くら寿司編を参照

そんな私だが、実は一軒だけ、お気に入りの「回らない寿司店」がある。
そのお店とは、東所沢の『鮨みつ』で、お店ブログが開設された2017年で創業45年目だそうなので、今年で52年目となる老舗店だ。


初訪問は今年の夏で、その後も何度か足を運んだ。行きつけの寿司店があるなんて、なんだか食通になった気分である(笑)。

入店すると、ネタの入ったガラスケースがあるカウンター席があり、店主らしき男性職人から「いらっしゃい!」と声がかかる。
すぐに、奥様らしき女性店員がやってきて、「2階席とカウンター、どちらになさいますか?」とたずねられ、
よせばいいのにカウンター席を選択。ちなみに私は、いまだに2階席は利用したことがない。
その後、注文をたずねられた私が、緊張気味に告げたのが「ふ、フライ付きハンバーグください」であった。
実は、ここ鮨みつさんは、寿司と洋食の双方が食べられるお店なのである。

先述したお店ブログでは、「父が44年続けてきた寿司屋で息子が一緒に洋食を始めました!」と説明。
元々は、お父さん店主が44年前に寿司屋を開業し、45年目の2017年から、シェフを務めていた息子さんが一緒に働くようになり、
店舗をリニューアルし、寿司と洋食の二刀流にメニュー変更。ついでに、ブログを開設した娘さんも、お店も手伝うようになったそうだ。
お父さんは、カウンター内で寿司を握り、客の相手もするが、息子さんは仕込みなどもあり、奥の厨房から出てくることは少ない。
私が頼んだフライ付きハンバーグも、本来ならデミグラスソース仕立てなのだが、どうやらデミソースがまだ仕込み途中だったようで、
お母さんが「トマトソースならばすぐ出せますよ」と仰るので、変更してもらった。
数分後、フォークなどの一式が届けられたのち、特製トマトソースで覆われた「フライ付イタリアンハンバーグ」が、ライスと一緒に登場。


あとからカップスープも提供されたが、こちらは和の味噌汁であった。


ハンバーグは120グラムで、エビフライ&かにクリームコロッケ、スパゲティと生野菜に、ライスと味噌汁が付く。


通常価格は1189円だが、会計では、私が希望した普通のデミハンバーグ価格の1068円にオマケしてもらった模様。
寿司ネタケースを眺めながらの洋食は、やや違和感があったものの、温かいうちにいただくことにする。


まずはハンバーグにハシを入れると、ほど良い弾力とともに、ブシャーと肉汁があふれ出す。
肉汁が混ざったトマトソースは、酸味が効いた本格的な味わい。トマトをふんだんに使用しているのだろう。
ソースの下には、とろけるチーズも敷いてあり、まさに「イタリア~ン」で「ヴォーノ!」である(←書いてて恥ずかしい)。


脇を固めるエビとカニコロも、ブリブリ食感&とろ~りクリーミーで、主役級のクオリティ。


付属のタルタルソースだけでなく。ハンバーグのトマトソースを付けても美味しい。
また、お寿司屋さんだけあって、良質なお米を仕入れているのか、ライスがウマい!
一般的な洋食店より多めなのに、すぐたいらげてしまったが、まだハンバーグやスパゲティなどが残っている。
ライスお替わりと迷った挙句、順番がおかしいが「生ビール」680円を追加。
ホール担当のお母さんが不在だったので、お父さんにお願いしたところ、カウンター内から出て自らビールサーバーに向かい、
キンキンに冷えたジョッキに、生ビールを注いでくれた。ありがとうございます!


ハンバーグやコロッケを食べ終え、トマトソースも残さぬようスパゲティと絡め、ビールで一気に流し込み、「ごちそうさまです」。
会計後、基本はお寿司屋さんなのに、洋食しか食べなかった私に対しても、お父さんは笑顔で「またよろしくお願いします」と声掛けしてくれた。
料理の味だけでなく、お父さんの人柄も良く、個人的な誤解も解けたので、鮨みつさんには、その後も通わせていただいている。

個人的な誤解とは、【回らない寿司屋のオヤジは怖い】である。
今から40年ほど前、漫画「美味しんぼ」の連載開始直後、“客の注文を怒鳴りつける寿司屋のオヤジ”というエピソードがあった。
そういうオヤジが実際にいたのかはさておき、当時ウブだった(笑)私は、寿司職人を畏怖したもので、鮨みつさんでもハンバーグを頼んだら、
「ナニ、寿司屋に来てハンバーグだと!? てめえみてえな素人は出ていけ!」などと怒られるかも…と入店前は少し不安だったが、
お父さんが最初に発した、温かみのある「いらっしゃい!」で、ああ、この人なら大丈夫だな、と安心したものである。

2度目の訪問では、初回は雨天のため出していなかった、「街の洋食屋さん」のノボリがあった。


このときは、最初からアルコールを注文。「瓶ビール大」は800円で、銘柄はキリン。
一緒にお通しも提供される。チェーン居酒屋のものとは一線を画す、手の込んだ料理が3種で、価格はたぶん500円。


鮨みつさんは、寿司と洋食の他、限定メニューも揃っており、こちらは訪問時の「7月おすすめメニュー」。


この他にも、ホワイトボードや別メニューもあり、さらに、お父さんが育てたトマトやナスなど、夏野菜の料理もオール330円で提供。
その中から、「甘長とうがらし塩焼き」を注文してみた。


シシトウのように辛い部分はなく、収穫したお父さんも「甘くて美味しいでしょ?」と自画自賛。
そこから、お父さんとお話しさせていただいたのだが、ひとまず、自分がナマモノが苦手なことを告白し、お寿司を頼まなくてごめんなさいと謝罪。
お父さんは当然怒ったりはせず、「洋食(目当て)のお客さんも多いので、気にしないでください」と許してくださった。
私との会話の合間にも、お父さんは刺し盛りや握りの注文をこなしていくが、ベテラン職人の仕事を間近で見られるのは、
回転寿司では不可能な、正統派寿司店、しかもカウンター席の特権である。

ビールから「ウーロンハイ」530円に変更し、目の前で調理してくれる商品ということで、


「煮穴子」880円を追加注文。私が食べられる、数少ない寿司ネタのひとつだ。


柔らかい穴子は、甘辛タレはもちろんのこと、個人的には苦手なワサビとの相性も良かった。

ウーハイは焼酎が乙類であったので、どうせならば、お店推奨の乙類銘柄にしようと、ウーハイを飲み干したあとは、


上記メニュー右上の八丈島産焼酎、「情け嶋」550円のロックをチョイス。


煮穴子を肴に焼酎をあおるなんて、なんだか食通になった気分である(←今回2度目)。

いい気分になったところで、シメのお食事を、洋食メニューから選択。
初回に食べたハンバーグ各種や、「焼肉」や「生姜焼き」とライスのセットの他、下記のような商品もある。


「オリエンタルライス」や「インディアンライス」でわかった方もいるだろうが、
息子さんは豊島区の老舗洋食店『キッチンABC』の出身で、支店長も務めたようだ。  ※「黒カレー」提供している
この日の私は、インディアンライス単品715円と「チキンカツ」206円のお得なセット、「インディアンフライC」880円を選択。
あまり待つことなく、味噌汁と一緒にBセットがやってきた。


インディアンライスは、メニュー説明では“豚バラと玉ねぎの特製卵とじ丼”で、なぜインディアンなのかは不明。


こちらはチキンカツ。中身の画像はないが、揚げる技術が優れているのか、全然油っこくなかった。


さっき紹介した、ハンバーグのライスと同様、インディアン~もご飯が多い。


最近胃が小さくなり、焼酎で酩酊気味の状態では厳しい量だったが、なんとか食べ切り、お腹パンパン状態で退散。

3度目の訪問は、洋食メニューから「スタミナ焼き」の単品をオーダー。定食だと887円だが、単品は-100円かな。
現在のABCでは、レギュラーメニューではないようだが、かつては江古田店で販売していたらしい。
メニュー表の“特製豚バラ野菜炒め”の説明どおり、豚肉とキャベツ、人参、ニラなどを炒めたもので、


しょっぱいタレと絡む肉野菜の歯応えがクセになり、酒が進んでしまう一品である。
和食メニューからも、「茶碗蒸し」640円をオーダー。当然、注文後にお父さんが仕上げている。


海老や銀杏の他、鶏肉やカマボコも入っており、玉子のふわふわ感と出汁の風味を楽しんだ。


この日も、焼酎ロックやお湯割りを飲み、結構酔ってきたのでシメにする。
寿司が苦手とはいえ、せっかくなので一度はお父さんに握ってほしくなり、「玉子」と「海老」を注文した。  ※穴子は品切れ
お寿司を乗せる「下駄」と呼ばれる台を用意していただき、2カンずつとガリが添えられ、提供された。


この地で52年間、大勢のお客さんに親しまれてきた、お父さんの握った寿司を味わうことができて、大変光栄であった。

会計直前、洋食との二刀流について、息子さんたちに提案されたとき、どう思ったのかたずねてみた。
頑固な職人だったら、「洋食と一緒なんて冗談じゃねえ!」と怒ってもおかしくないはずだが、お父さんは穏やかな表情で、
「息子たちが、一緒にお店やるって言ってくれたんだから、嬉しかったですよ」と即答。ああ、自分の下種の勘繰りが恥ずかしい…。
奥さんと息子さん娘さんだけでなく、お店インスタグラムはお孫さんが協力したようだし、
この日はたまたまだろうが、娘さんの旦那さんがお店にいて、車でのお客送迎もやっていた模様。
ちょっと酔っていた私にも、お父さんが「よかったらお送りしましょうか」と気遣っていただいたが、
「大丈夫です、健康のために駅まで歩きます」と告げ、お店を出た途端すっころんだ(苦笑)。
お父さんが店外まで見に来てくださり、「やっぱり車で送迎しましょうか?」と再び声掛けしてくれたが、
倒れたとき、両方の手の平を思い切り打ったが、特にケガはしていないので、ご厚意を固辞させていただき徒歩で帰った。
「あのときはご心配かけてすみませんでした」という謝罪も兼ねて、鮨みつさんには近日中に訪問するつもりだ。

おまけ
ご夫妻のお孫さんも協力している、お店インスタグラムに投稿された、今月のおすすめメニュー。



鮨みつ
埼玉県所沢市下安松1020-4
JR東所沢駅から徒歩約14分、新秋津駅からは徒歩約22分、西武線秋津駅も同程度
営業時間 11時~22時 ラストオーダーは30分前、洋食は1時間前
定休日 水曜、その他不定休あり、臨時休業や詳しいメニューなどは、お店インスタグラムでご確認を
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