知ってる方もいると思うが、私は『週間レース』という雑誌で、コラムと称する拙文を連載している。
タイトルは、このブログの旧名と同じ、「日が沈む前に飲む酒はウマい」だ。
内容は、昼酒とギャンブルを愛し、ロクに仕事もせずダラダラと過ごしている主人公=私の日常をつづったもの。
このブログとほぼ同様だが、週間レースが競馬、競輪、ボートにオートといった、公営競技の専門誌であるため、
どうしても、私の大好きな競輪について語るケースが多くなる。
なので、競輪を知らない人が読んでも、意味がわからない部分が多く、正直面白くはないと思う。
※競輪を知っていても、たいして面白くないとの説もあり
連載を始めてから5年ほどたったが、先日、「その文章を読んでみたい」とおっしゃってくれた方が、
通算でようやく10人を超えた(5年間でこの少なさ!)ので、このブログで紹介してみることにした。
ちょうど最新号のヤツは、競輪を知らなくてもほぼ理解できそうな内容なので、
こちらをコピペ(一部、加筆&修正)し、数ヶ所の注釈(青文字)をつけたものを掲載する。
なお、文中での主人公の一人称は「オレ」であり、顔はこんなかんじ。
※パソコン画面のカットを撮影&編集、以下同
イラスト担当で、競輪漫画「ギャンブルレーサー」の作者である、田中誠先生が描いたいくつかの候補の中から、
週間レース編集部が「これにしよう」と推した顔が採用された。
オレ…じゃなくて私は、実際はもっとイイ男なのだが(?)、最近は自分でも、この顔に似てきた気がする…。
タイトルロゴがこちら。ペンネームも、編集部の意向で、「正田ユージ」となった。
個人的には、本名の正田祐司か、「タイガー・ジェット・正田」などにしたかったのだが。
以下から本文である。実際のレイアウトは、1行14文字×125行=文字数は1750文字くらい。
途中で小見出しが2本と、田中先生のカット2枚が入る。
日が沈む前に飲む酒はウマい
第130回 オレの競輪の師匠
【男なら競輪をやれ!?】
競輪業界の長年の課題である、新規客の開拓・獲得。
これは主催者側だけでなく、我々ファンも考えなくてはならない問題であろう。
たとえば中央競馬の場合、職場などのグループ内には必ず愛好者がいて、
初心者には競馬の基本情報などをレクチャーしてくれ、頼めば競馬場にも連れて行ってくれるはず。
一方の競輪は、職場や仲間内にあまり愛好者がいなそうだし、
そもそも、会社勤めをしている競輪ファンが少ない(笑)、ってのは言い過ぎか。
つい数年前まで、競輪場は危険な雰囲気が漂っており、若者やシロウトには入り辛い空間であった。
ただ、オレの場合は、一緒に競輪場に同行し、レースや選手などについて解説してくれる指南役がいたため、
競輪という競技の理解が早まり、場内への抵抗もなくなった。
オレが立派な(?)競輪ファンになれたのは、その指南役、というか師匠がいたからなのだ。
そのお方は、競輪歴60年を超えるベテランで、オレと同じ名字で、恥ずかしながら血もつながっていて…
要するにオレの師匠とは、実の父親であった。
誰でもそうだと思うが、年頃になると親をうっとうしく感じ、避ける傾向にある。
高校時代のオレも、父とは普段、ほとんど会話してなかったのだが、あるとき向こうから、
「お前、未成年のくせに、最近競馬やってるらしいな」と、珍しく話しかけてきた。
※注 今も昔も、高校生は馬券を買ってはいけません
うるせえな、文句あるのかよ、と反論したところ、
「バカヤロー、男なら競輪をやれ!」という、予想外の言葉が返ってきた。
自分がファンだからとはいえ、どこの世界に、息子の競馬を叱るどころか、
競輪への鞍替えを勧める親がいるんだよ(苦笑)。
父の助言(?)は無視したが、漫画「ギャンブルレーサー」の影響で興味を抱き、
グランプリだけは買いに行ってみたものの、場内の濃い~雰囲気にビビってしまった。
だが、それから数年後、成人したオレは競馬に飽きてきて、なんとなく競輪のヒラ開催にも足を運ぶようになると、
※注 ヒラ開催とは、スター選手が出場しない地味な開催のこと。基本、コアな客しか来ない
案の定、とある日の立川競輪場で父と遭遇。
その日も、そしてそれ以降も一緒に打つようになり、
ふたりでヤジってスッてヤケ酒を飲む、奇妙な師弟関係が始まった。
父に車券仲間も大勢紹介してもらったため、どの競輪場にも必ず顔見知りがいるようになり、現場へも行きやすくなった。
実生活でも、それまでは相変わらず接点のなかった親子だったが、
内容はほとんど競輪とはいえ、家庭内での会話が増えた。
信じられないだろうが、ウチの家族は、競輪のお陰で円満になったのである(笑)。
【オレも打ち続けるぜ!】
父をマークし、時にはガードした親子連係も、今年で23年目。
※注 マークもガードも競輪の追込み選手の戦法。本来の意味とほぼ同じ…かな
先述の通り、キャリア60年超の父は、年齢を重ねるとともに、競輪場に通う回数が減ってきた。
最近は、急激に体調が悪くなり、歩行や会話もしんどそうで、時折、意識もモウロウとするようになってきた。
そんな父に対し、「来年は東京五輪もあるし、年末には立川グランプリもある。死ぬのはまだ早いぜ」
と励ましたところ、父は弱々しい視線をオレに向けながら、何かをつぶやいた。
聞き取れなかったので、もう一度言ってくれよと頼んだら、「今月は…競輪祭だ…」だって。
※注 11月に、小倉競輪祭というビッグレース(特別競輪)があったんです
絞り出すような小さな声ではあったが、特別競輪の日程は忘れてねえのかよ、と呆れつつも、ちょっと安心した。
まさか、それから数時間後に、あの世へ旅立っちゃうとは思ってもいなかったよ。
今でも立川競輪場に行けば、いつもの場所でクダを巻く父に、会えそうな気がしてならない。
世間的にはロクデナシかもしれないが、亡くなる直前まで開催を気にかけていた、我が父親の競輪愛には脱帽である。
今頃はあの世の競輪場で、車券仲間や往年の名選手たちと、再会していることだろう。
愚息のオレは、あと60年くらいしか生きないが(←図々しい)、師である父の遺志を継ぎ、
「死ぬまで競輪を続けるぞ!」
とこの場で決意表明しておく。
とりあえずは、生前の父が楽しみにしていた、小倉競輪祭で打ちまくるとするか!
※注 小倉競輪祭、見事にヤラれました
連載文は以上です。よかったら、感想などをお聞かせください。
週間レース、毎月5日と20日に発売中!
タイトルは、このブログの旧名と同じ、「日が沈む前に飲む酒はウマい」だ。
内容は、昼酒とギャンブルを愛し、ロクに仕事もせずダラダラと過ごしている主人公=私の日常をつづったもの。
このブログとほぼ同様だが、週間レースが競馬、競輪、ボートにオートといった、公営競技の専門誌であるため、
どうしても、私の大好きな競輪について語るケースが多くなる。
なので、競輪を知らない人が読んでも、意味がわからない部分が多く、正直面白くはないと思う。
※競輪を知っていても、たいして面白くないとの説もあり
連載を始めてから5年ほどたったが、先日、「その文章を読んでみたい」とおっしゃってくれた方が、
通算でようやく10人を超えた(5年間でこの少なさ!)ので、このブログで紹介してみることにした。
ちょうど最新号のヤツは、競輪を知らなくてもほぼ理解できそうな内容なので、
こちらをコピペ(一部、加筆&修正)し、数ヶ所の注釈(青文字)をつけたものを掲載する。
なお、文中での主人公の一人称は「オレ」であり、顔はこんなかんじ。
※パソコン画面のカットを撮影&編集、以下同
イラスト担当で、競輪漫画「ギャンブルレーサー」の作者である、田中誠先生が描いたいくつかの候補の中から、
週間レース編集部が「これにしよう」と推した顔が採用された。
オレ…じゃなくて私は、実際はもっとイイ男なのだが(?)、最近は自分でも、この顔に似てきた気がする…。
タイトルロゴがこちら。ペンネームも、編集部の意向で、「正田ユージ」となった。
個人的には、本名の正田祐司か、「タイガー・ジェット・正田」などにしたかったのだが。
以下から本文である。実際のレイアウトは、1行14文字×125行=文字数は1750文字くらい。
途中で小見出しが2本と、田中先生のカット2枚が入る。
日が沈む前に飲む酒はウマい
第130回 オレの競輪の師匠
【男なら競輪をやれ!?】
競輪業界の長年の課題である、新規客の開拓・獲得。
これは主催者側だけでなく、我々ファンも考えなくてはならない問題であろう。
たとえば中央競馬の場合、職場などのグループ内には必ず愛好者がいて、
初心者には競馬の基本情報などをレクチャーしてくれ、頼めば競馬場にも連れて行ってくれるはず。
一方の競輪は、職場や仲間内にあまり愛好者がいなそうだし、
そもそも、会社勤めをしている競輪ファンが少ない(笑)、ってのは言い過ぎか。
つい数年前まで、競輪場は危険な雰囲気が漂っており、若者やシロウトには入り辛い空間であった。
ただ、オレの場合は、一緒に競輪場に同行し、レースや選手などについて解説してくれる指南役がいたため、
競輪という競技の理解が早まり、場内への抵抗もなくなった。
オレが立派な(?)競輪ファンになれたのは、その指南役、というか師匠がいたからなのだ。
そのお方は、競輪歴60年を超えるベテランで、オレと同じ名字で、恥ずかしながら血もつながっていて…
要するにオレの師匠とは、実の父親であった。
誰でもそうだと思うが、年頃になると親をうっとうしく感じ、避ける傾向にある。
高校時代のオレも、父とは普段、ほとんど会話してなかったのだが、あるとき向こうから、
「お前、未成年のくせに、最近競馬やってるらしいな」と、珍しく話しかけてきた。
※注 今も昔も、高校生は馬券を買ってはいけません
うるせえな、文句あるのかよ、と反論したところ、
「バカヤロー、男なら競輪をやれ!」という、予想外の言葉が返ってきた。
自分がファンだからとはいえ、どこの世界に、息子の競馬を叱るどころか、
競輪への鞍替えを勧める親がいるんだよ(苦笑)。
父の助言(?)は無視したが、漫画「ギャンブルレーサー」の影響で興味を抱き、
グランプリだけは買いに行ってみたものの、場内の濃い~雰囲気にビビってしまった。
だが、それから数年後、成人したオレは競馬に飽きてきて、なんとなく競輪のヒラ開催にも足を運ぶようになると、
※注 ヒラ開催とは、スター選手が出場しない地味な開催のこと。基本、コアな客しか来ない
案の定、とある日の立川競輪場で父と遭遇。
その日も、そしてそれ以降も一緒に打つようになり、
ふたりでヤジってスッてヤケ酒を飲む、奇妙な師弟関係が始まった。
父に車券仲間も大勢紹介してもらったため、どの競輪場にも必ず顔見知りがいるようになり、現場へも行きやすくなった。
実生活でも、それまでは相変わらず接点のなかった親子だったが、
内容はほとんど競輪とはいえ、家庭内での会話が増えた。
信じられないだろうが、ウチの家族は、競輪のお陰で円満になったのである(笑)。
【オレも打ち続けるぜ!】
父をマークし、時にはガードした親子連係も、今年で23年目。
※注 マークもガードも競輪の追込み選手の戦法。本来の意味とほぼ同じ…かな
先述の通り、キャリア60年超の父は、年齢を重ねるとともに、競輪場に通う回数が減ってきた。
最近は、急激に体調が悪くなり、歩行や会話もしんどそうで、時折、意識もモウロウとするようになってきた。
そんな父に対し、「来年は東京五輪もあるし、年末には立川グランプリもある。死ぬのはまだ早いぜ」
と励ましたところ、父は弱々しい視線をオレに向けながら、何かをつぶやいた。
聞き取れなかったので、もう一度言ってくれよと頼んだら、「今月は…競輪祭だ…」だって。
※注 11月に、小倉競輪祭というビッグレース(特別競輪)があったんです
絞り出すような小さな声ではあったが、特別競輪の日程は忘れてねえのかよ、と呆れつつも、ちょっと安心した。
まさか、それから数時間後に、あの世へ旅立っちゃうとは思ってもいなかったよ。
今でも立川競輪場に行けば、いつもの場所でクダを巻く父に、会えそうな気がしてならない。
世間的にはロクデナシかもしれないが、亡くなる直前まで開催を気にかけていた、我が父親の競輪愛には脱帽である。
今頃はあの世の競輪場で、車券仲間や往年の名選手たちと、再会していることだろう。
愚息のオレは、あと60年くらいしか生きないが(←図々しい)、師である父の遺志を継ぎ、
「死ぬまで競輪を続けるぞ!」
とこの場で決意表明しておく。
とりあえずは、生前の父が楽しみにしていた、小倉競輪祭で打ちまくるとするか!
※注 小倉競輪祭、見事にヤラれました
連載文は以上です。よかったら、感想などをお聞かせください。
週間レース、毎月5日と20日に発売中!
オヤジさんの競輪愛、
お2人のエピソード、
泣けました。
僕は競艇に身銭を切って楽しんでいますが、
元競輪実況をしていた同僚がいて、
彼からレースの妙を教えてもらっています。
ちょうど高知で全日本選抜が開催中。
彼は明日の決勝を予想している頃です。
貴君も車券を買う予定でしょうか?
ならば健闘と🎯を祈ります。
では、また。
コメントありがとうございます。
出張版、読んでいただき感謝いたします。
父子揃っての競輪場通いなんて、
近所からは相当ヒンシュクを買っているはずです。
明日の決勝は、私が狙っていた選手が早々と脱落したため、
大金はぶち込まず、遊ぶつもりです。