修理も無事に終わり、この場でご紹介出来るようになった「白井度量衡器製作所製:精密化学天秤」。
先ずは「上皿の持ち手欠損」の修理。
片方の持ち手から型を取り、樹脂で再生して行きます。ここで注意しなければいけないのは
天秤を観察された方はご存じかと思いますが、実は受け皿と上皿は左右の指示がございます。
(理屈からいえば上皿については左右同じ質量、重さだと思うのですが・・・)
この天秤の場合は左が「1番」で右が「2番」。つまり、左右どちらでも良いわけではなく位置は
固定となり必ずしも左右同じ質量、重さではないということ。
樹脂で再生した後に上皿が左右釣り合うように再生した樹脂を削って行きます。
確実に重さが揃ったところで完成です。
次は「前面ガラス扉用ロック金物」の再生。
今回はゼンマイ式柱時計の振り竿を使って再生して行きます。
形的には前扉右側枠のノコギリ形状に合わせます。
そして装着。当然、マイナスビスにて固定です。
通常、精密化学天秤の場合、前扉は全開にはせず写真のように上皿のみを受け皿に載せたり
取り出したりする作業が常ですので、このロック機能は必需です。
この精密化学天秤の専用分銅は珍しく全て揃っているようです。
各所のディテールは非常に精密で出来が素晴らしいです。
当然、医療用秤としての使命があった「精密化学天秤」。今では「薬博物館」などでしか目にすることが出来ません。
しかし、今では「秤」自体の人気が高く、お部屋の片隅に何気なしにインテリアとして飾られる方も目にします。
その中でも「木枠ガラスケース」のものは小さな木製家具的な趣もあり人気が高いですね。
白井度量衡器製作所製:精密化学天秤(年代不明)/¥25,000-(送料別)
※上皿について、鼈甲かセルロイドかの判別は出来ませんでしたが、いずれかの物だと思います。