以前も、この場でご紹介しました「マツダ セレクトスイッチ電気時計」が入荷。
見てくれは、やはり80年近い経年のため決して宜しくない・・・。
木製外箱の状態も所々の欠けやクリアーニスの劣化、各金属部の腐食に凸面風防ガラスの内側の汚れと・・・。
そんな朽ちた外観より何より、時計としても動かないことが最大の難点。
早速、裏蓋を開けて内部の構造を診てみる。
配線は生きているようですが被膜の劣化と共に、配線が違うような気がするためこの際、配線を引き直すことに。
配線を切断する内、ご覧の通りの劣化具合。(この状態では大変危険だったことが分る)
新たに配線を引き直し、電源ケーブルも新しい物に交換後に通電テスト。
すると、「ジー」っと言う音はするものの針は動こうとしない。
正確には「動こうとはしているものの動かない」と言った方が分り易い。
こう言う場合、先ずモーターが怪しい。経年により内部の油が固着しているかコイルが断線しているかのどちらか。
モーター部を取り出しギアを動かそうとするもビクともしない。これは間違いなく油の固着が原因。
取り外したモーターの突起部分にあるハンダは唯一のモーター内部に繋がる穴を塞いだもので、
それを外し内部にCRCを充填する。
暫く、暖房器具の前でモーターを温めながらギアに力を加え固着を解く作業。
すると、逆さにしたモーターから黄色い油がポタポタと溶けて漏れ出し固着が解かれる。
ギアも無事、動くようになった段階で組み込み再度、通電テスト。
クリーングされた風防の中の文字盤の上を秒針が時を刻みだし蘇る。
そして、お次はセレクトタイマースイッチの動作確認。
スイッチを「手動」から「自動」に切り替え、通電したい時間帯のピンを引っ張る。
気を付けなければいけないのが、一つのピンが「0分~15分」を担当するということ。
下の写真で少し見辛いですが、6時30分から7時までのピン3本を引っ張り設定すると
「30分間」の通電ではなく「45分間」の通電になるということ。つまり、この場合は「6時30分」から
「7時15分」までタイマースイッチで通電するということになります。
セレクトタイマー機能も無事、確認したところで、後は朽ちた木製外箱の再生。(次回、この場でご紹介します)