タイガー計算機(第四期)が入荷。
外観についての欠品はなく、数値入力レバーあたりの剥げ程度で状態はまずまず。
簡単な入力計算をしてみると、入力数値窓のリセットレバーの感触が悪いぐらいで後は問題ない。
但し、いつものように半世紀前の機械、動きが鈍い。
早速、外装を全て剥がし内部チェック。
油に埃が付着し、油切れ状態のため動きが鈍いことが分る。
内部のクリーニングと注油そして、リセットレバーの感触が悪かった原因がスプリングバネの固定フックの欠損と分り
それを修理の後、スケルトン状態で各部のチェックを終える。
そして、外装の組み付け。
真鍮製外板塗装の部分や樹脂の部分も出来る限り磨きあげ、取り付け用マイナス頭の小さなボルトも
一本一本錆を落とし磨きあげながら組み付けて行く。
各数値窓の樹脂製桁表示(白い部分)も2ケ×3か所、合計6ケ。この個体は珍しく揃っています。
背面の状態。流石に裏面ゴム足には劣化が観られますが機能や状態は良い部類です。
ダイヤル桁数:10×11×20、俗に言う20桁新連乗式20号。
1960年当時の販売価格¥35,000円に対し、1972年に登場したカシオミニ(6桁)が¥12,800円。
機能性や価格の問題から1972年以降、姿を消して行った手動計算機。
現在、これで計算をしようとは思いませんがインテリアとしては十分趣があり、簡単な足し算引き算ぐらいは
レバーを回しながら、たまにしたいような気になります。
タイガー計算機第四期 その2: SOLD OUT
時計ばかり続いて恐縮ですが本来、時計修理屋でもないただの古物商。
でも、たまに時計の修理依頼が紛れ込んだりもします。
先日の「イングラハム八角時計/USA製」の件もあり、当店の商品なら未だしも人様のモノとなると
気を使います。
しかし、今回も依頼主から「どうしても」と頼まれ、現物を見せられると「何とかしてあげたい」と
思ってしまうのは古い機械モノ好きの性でしょうか・・・。
さて、今回の不動時計は「明治時計製丸型17インチ/OCUPIED JAPAN」
風防ガラスは割れて欠品、振り子無し、巻き鍵無し。
ムーブメントは完全固着、風切車破損、等々・・・。
ご覧の通り、油は青くなり固体化し完全に固着状態です。(あっ!モノクロ写真で分りませんよね)
いつものルーティンで固着は改善され、時計側は問題なく蘇るも時打ち側は色んな問題に突き当たる。
時打ちはするものの「風切車」の破損を修理後も上手く調子が出ない。
増してや、正時や半時の位置で時を打たないという、たまにある症状を持つ。
何とかそれらを改善し、テスト用振り子からいよいよ本振り子を装着し直しロングランテストへとステップアップ。
その間に風防ガラスを新調する。
通常、当時のガラス風防は2mm厚以下を使用されているものが多い。
現在の流通ガラスは3mm以上が普通で、2mmガラスとなると希少となります。
今回は何とか2mmガラスを探し当て新調出来ました。
先ずベニヤ板でフレームから型をとりガラスに移し替えカットして行きます。
そして、修理が終わった「明治時計製丸型17インチ/OCUPIED JAPAN(1945~1952製)」
修理依頼者の希望により木枠は蜜蝋磨きにとどめ手を加えず、風防フレームもあえて磨いておりません。
文字盤の状態は元から良かったためクリーング程度で見事に蘇ったため、剣は再塗装を施す。
しかし、人様の時計の修理は気を使います・・・。