素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

♪京都男声合唱団 50周年記念演奏会♪が京都コンサートホールで

2014年03月08日 | 日記
♪京都男声合唱団 50周年記念演奏会♪のチラシは枚方市民会館で偶然目にした。いろいろな演奏会に行っているが男声合唱団はほとんどない。唯一交野市の合唱祭で市内10近くあるグループの中で孤軍奮闘している姿を見る。人数も10名ほどで合唱団としてはギリギリである。私の中では男声合唱団は絶滅危惧種である。その男声合唱団が50周年を迎えたということで興味をそそられた。

 そして第Ⅰステージ、第Ⅱステージの演目を見た瞬間、行こう!と決めた。
  ♪草野心平の詩から♪ 何を選んで組曲にしているのだろうか?どういう表現なのか?どんな感じ?好奇心でいっぱいになった。

第二ステージの男声合唱のための組曲『蔵王』、もともとは混声合唱の名曲であるが、合唱団の50周年を記念して男声合唱で歌いたいという発案が出て作曲の佐藤眞さんに委嘱して男声用に作り直されたもの。したがって初演となる。

 「初演・蔵王という題材・思い出深い♪大地讃頌♪の作曲者佐藤眞さん」この3つがそろったら行かずにはおれない。


 大ホールは満員であった。草野心平の詩は5つであった。①石家荘にて ②天 ➂金魚 ④雨 ⑤さくら散る
「天」と「雨」が好きな詩だったので楽しめた。雰囲気が出ていた。
                             
出臍のやうな。
五センチの富士。                         
海はどこまでもの青ブリキ。
あんまりまぶしくて却ってくらく。
満天に黒と紫との微塵がきしむ。
寒波の縞は大日輪をめがけて迫り。
シャシャシャシャ音たてて氷の雲は風に流れる。
人間も見えない。
鳥も樹木も。
出臍のやうな五センチの富士。

 
志度平温泉第五号の番傘に。
音をたてる。
何千メートルの天の奥から並んでくる雨が。
地上すれすれの番傘に音をたてる。
林檎畑にはさまれた道に。
さうして堕ちて沁みる。
点。
点。
天の音信。
靄が生れひろがり空にのぼる。


第二ステージの♪蔵王♪は圧巻。蔵王の四季の移り変わりを描いているが冬が中心になるのは必然。男声合唱のための組曲として初演ということで作曲家の佐藤さんも客席におられ、演奏後ステージに呼ばれて話をうかがうことができた。76歳になられているが、混声合唱のための組曲『蔵王』を作曲されたのは1961年、佐藤さんが東京芸術大学専攻科(現在の大学院)に在籍していた時だった。以来、混声合唱の名曲として50余年歌い継がれてきて、ここに新たな男声合唱の曲として披露されたことに、部外者の私でも感慨深いものがあった。関係されてきた人にとっては時の重みとともに心にズシリと来るものがあったろう。熱いものがステージから伝わって来た。

 プログラムの入った冊子の最後に「京都合唱団50年の歩み」ということで、昭和39年(1964年)から平成26年(2014年)までの年表が掲載されていた。合唱団の歩みとともに社会の出来事もあり、東京オリンピック、米軍ベトナム北爆からソチオリンピックまで休憩時間に目を通していると自分史もだぶってきてタイムトラベルも楽しめた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする