素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

NHKスペシャル「里海・瀬戸内海」にはひきこまれた

2014年03月23日 | 日記
 里山という言葉はなじみがあったが、里海という言葉は今一つピンとこなかった。里山保全の大切さについては方々で言われている。私も何度か里山の間伐作業に参加したが、地道な活動をされている方には頭が下がる。里山文化の衰退が生態系に大きな影響を与え、猿、鹿、イノシシなどの動物と人間との共存が喫緊の課題となっている。微力ながら協力してゆきたいと考えている。

 瀬戸内海も同じような課題を抱えていたことを番組を見るまでは知らなかった。冷静に考えれば瀬戸内海沿岸には大きな工業地帯が多くある。高度経済成長期には赤潮が頻発した「瀕死の海」であったということもうなづける。その瀬戸内海の環境がここ数年、劇的に良くなってきたという。研究者や漁師の話や取り組みを通じてなぜよみがえったのか。ということを多角的に伝えてくれた。

 そのキーワードが「里海」である。発想の源にあるのは『人も海の一員と考え、自然のお世話をしながら命のサイクルを活性化させる』ということである。排出規制などの対処療法ではなく、海の自然治癒力を最大限に引き出すことによって瀬戸内海を多様な生態系を持つ豊かな海へと回復させた。その地道な取り組みを四季折々の瀬戸内海の海中の映像美とともに届けてくれた。

 沖合いでカキを養殖するカキ筏で繰り広げられる自然の大スペクタクル。カキとは縁のある所で生まれ育ち、今でも冬にはその美味を堪能しているが実際の養殖については深く知らなかった。こんなにも豊かさをもたらしていたのかと感動した。海の世界は想像していたよりも豊かで美しい。

「海のゆりかご」アマモの種を植え続けてきた漁師の心にもふれることができた。アマモの林の中で営まれる生物の姿に微笑みが出た。絶滅寸前からよみがえった「生きている化石」カブトガニや、イルカの仲間スナメリの映像も見ごたえがあった。

この日本独特のやり方は今、“SATOUMI”として世界に注目されていて、汚染や海洋資源の枯渇に悩む世界中の海の解決策として、導入が始まっていることに喜びを感じた。クジラやイルカ漁で叩かれている日本だが、海洋資源に対する考え方は決して自己本位ではないと思う。「里海」思想を含め世界のリーダーとしての役割りを果たしていけたらいいのにと素直に思った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする