今日の闇市取り締まりのシーンで、米俵を回収していこうとする警官を突き飛ばして怒りをぶちまけた め以子のセリフにはパンチ力があった。このパンチを引き出したのが昨日の復員して来た泰介にしみじみと語っため以子の言葉だった。すごく含蓄のあるものだった。
夜、木箱で作った畑に野菜の苗を植えているめ以子に泰介が「僕が行ったあと、あっこでどうしてたん?」と問いかけることから始まる。
め以子は しみじみと語り始める。 「どうしてたて 畑やっとたよ」
(略)
「一人で 畑して」 「一人で御飯食べてた」
「畑てなあ 世の中 なんよ」
「普通に 手入れしているつもりでも 何で?という事 起こるんよ」
「お母ちゃんの 世話なんか 大きいとこでは 関係ないんや 無力やな~って」
「せやけど ほな どないしたら よかったんやろうって」
「どないしたら こんなふうに ならんかったやろか そんな事ばかり 考えてた」
泰介がめ以子の傍に来て「答は出たん? どうしたら よかったかて」 と優しく問うと め以子はゆっくり考えながら語る。
「笑われても 怖ぁても 恥ずかしゅうても 言わなあかんことは 言わなあかん」
「おかしい思うたら 言わなあかん」
「これは 無力な大人の責任や」
「偉い人は それを 言わせなあかん。 山のように言わせて 聞く耳を 持たなあかん」
「多分 どっちも 無責任やったんや」
自然や社会、組織を前にして個人の無力を感じることはよくあったし、これからも生きている限りはあるだろう。何度も書いたがそういう時に支えてきてくれたのが山本周五郎が赤ひげこと新出去定に言わせた「徒労に賭ける」である。こういうくだりである。 《・・・人間のすることにはいろいろな面がある。暇に見えて効果のある仕事もあり、徒労のようにみえながら、それを持続し積み重ねることによって効果のあらわれる仕事もある。おれの考えること、して来たことは徒労かもしれないが、おれは自分の一生を徒労にうちこんでもいいと信じている。・・・》 これと同様にめ以子のセリフは心に残るだろう。
新たに 「無力な大人の責任」という言葉が引き出しに加わったのである。
ドラマ「ごちそうさん」もゴールに向かってまっしぐらである。いたるところで次週のあらすじや最終週の情報が流されている。それらをシャットアウトして、話の展開を純粋に楽しみたいと願っている。今の世の中情報を遮断することはなかなか容易ではない。
夜、木箱で作った畑に野菜の苗を植えているめ以子に泰介が「僕が行ったあと、あっこでどうしてたん?」と問いかけることから始まる。
め以子は しみじみと語り始める。 「どうしてたて 畑やっとたよ」
(略)
「一人で 畑して」 「一人で御飯食べてた」
「畑てなあ 世の中 なんよ」
「普通に 手入れしているつもりでも 何で?という事 起こるんよ」
「お母ちゃんの 世話なんか 大きいとこでは 関係ないんや 無力やな~って」
「せやけど ほな どないしたら よかったんやろうって」
「どないしたら こんなふうに ならんかったやろか そんな事ばかり 考えてた」
泰介がめ以子の傍に来て「答は出たん? どうしたら よかったかて」 と優しく問うと め以子はゆっくり考えながら語る。
「笑われても 怖ぁても 恥ずかしゅうても 言わなあかんことは 言わなあかん」
「おかしい思うたら 言わなあかん」
「これは 無力な大人の責任や」
「偉い人は それを 言わせなあかん。 山のように言わせて 聞く耳を 持たなあかん」
「多分 どっちも 無責任やったんや」
自然や社会、組織を前にして個人の無力を感じることはよくあったし、これからも生きている限りはあるだろう。何度も書いたがそういう時に支えてきてくれたのが山本周五郎が赤ひげこと新出去定に言わせた「徒労に賭ける」である。こういうくだりである。 《・・・人間のすることにはいろいろな面がある。暇に見えて効果のある仕事もあり、徒労のようにみえながら、それを持続し積み重ねることによって効果のあらわれる仕事もある。おれの考えること、して来たことは徒労かもしれないが、おれは自分の一生を徒労にうちこんでもいいと信じている。・・・》 これと同様にめ以子のセリフは心に残るだろう。
新たに 「無力な大人の責任」という言葉が引き出しに加わったのである。
ドラマ「ごちそうさん」もゴールに向かってまっしぐらである。いたるところで次週のあらすじや最終週の情報が流されている。それらをシャットアウトして、話の展開を純粋に楽しみたいと願っている。今の世の中情報を遮断することはなかなか容易ではない。