素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

映画『じんじん』交野市上映会へ

2015年01月17日 | 日記
 映画館が地方都市から姿を消し、都市と地方の格差が進んでいるいま、映画『じんじん』は劇場公開だけに頼らず、ひとつひとつの県・市・町・村などで実行委員会を立ち上げ、数年をかけてゆっくりと各地のホールや公共施設で地域上映会を行っていく“スローシネマ”という公開方式をとっている。

 「スクリーンを前に大勢で観る映画文化を守りたい」という映画人の想い、そして「本当に観たい映画を自分たちの手で上映したい」、「上映会を通して人と人がつながり、地域を元気にしたい」という地域の人々の想いが込められた新しい試みである。

 他市であった映画会で『じんじん』を観た前市長が是非交野市でも上映会を持とうということで、教育委員会が中心になって「映画『じんじん』を交野で見よう会」がつくられた。ちょうど交野市教育委員会は「本の森プロジェクト」の取り組みもすすめておりタイムリーな企画となった。

 ただ、初めての取り組みで要領も得ず苦労したみたいだが、呼びかけ人の知恵を寄せ合って、当日は400人近くの参加が得られた。また隣の多目的ホールでは交野市立図書館、おはなしぐるーぷKIRARA、sakuらーにんぐ、PAの会などによる「えっほん村」も開かれ親子連れで賑わった。
 「どんな映画?」「北海道で本当にあった話をもとにした映画だって」「怖い?」「そんなことないと思うよ」親子連れが楽しそうに会話しながら会場に向かっていた。小学生には「じんじん」というタイトルがピンとこず、妖怪かなんかに思えたみたいである。
  舞台になった、北海道の剣淵町は地図で見ると旭川市より北へ約50kmの所にある人口3500人足らずの町である。ホームページにある早坂純夫町長のあいさつで町の概要がよくわかる。

 「北海道中央部の都市「旭川市」から、国道40号線を北に向かって50㎞程のところに、道の駅「絵本の里けんぶち」があります。ここが剣淵町の玄関口です。剣淵町は、明治32年に屯田兵によって拓かれた、豊かな自然と素晴らしい沃野が広がる純農村の町です。
 
 昭和63年、まちの若者たちが「けんぶち絵本の里を創ろう会」を結成、絵本を題材にまちづくりを始めました。その取り組みのユニークさが、マスコミで取り上げられ、「絵本の里けんぶち」としてその名が全国に広がっていきました。
 
 平成16年に、新しくオープンした「絵本の館」が、絵本の里づくり活動の拠点施設です。ここには、世界中の絵本、約45,000冊を収蔵し、全国への貸し出しも行っています。また「絵本の館」では、絵本原画展、読み聞かせ、絵本づくり、親子教室など様々な活動のほか、メインイベントとして「絵本の里大賞」を行っています。これは、前年度に全国で出版された絵本を対象にして、絵本作家や出版社から応募のあった絵本を「絵本の館」に展示し、来館した人たちの投票により大賞候補の絵本を選びます。大賞に選ばれた作家には、副賞として剣淵町産の安心安全な農産物を3年間にわたりお贈りします。
 
 絵本の里づくりは、このような活動を通して、町にある知的障がい者施設との関わりや、安心安全な農産物を生産する農家との結びつきを大切にしています。絵本と福祉と農業が一体となった文化を創造し、町では住民の皆さんが、絵本の持つ「温もりと優しさ」に触れ、「思いやりのある豊かな心」を育んでいます。
 
 その他、剣淵町には、温泉ホテル「レークサイド桜岡」や道北一の素晴らしいパークゴルフ場があります。ぜひ、皆様のお越しをお待ちしています。」


 昭和62(1987)年に発足した竹下登内閣の「ふるさと創生1億円」の使い道の論議が「けんぶち絵本の里を創ろう会」の結成につながったと聞いた。以来20年余の積み上げが実をむすんでいるように思える。この時消費税も導入された。今また地方創生と消費増税が大きな政治課題となっている。歴史は繰り返すというが、剣淵町の地道な取り組みには学ぶべきことがある。

 この地を訪れた俳優の大地康雄さんは強く心を揺さぶられ、映画製作を企画されたと『じんじん』公式サイトのIntroductionにある。

 監督の山田大樹さんがあいさつ文の中でふれているように、教育的な要素や道徳的なテーマを押し付けられることもなくクスッと笑って楽しめ、心に残るものがある映画だったと思う。

 ゆっくりと全国に広がっていけばいいな。
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