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小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

オチなき物語『空中庭園』by角田光代

2019年04月02日 | 小説レビュー
『空中庭園』by角田光代

~東京郊外のニュータウンで暮らす京橋家のモットーは、「何ごともつつみかくさず」。
タブーを作らず、出来るだけすべてのことを分かち合おうとする。
でも、タブーのないはずの家族の間で本当はみんなが秘密を持っており、一見すると明るく平凡な家庭は、実際はとうに壊れてしまっている。
もう何年も複数の愛人を持つ夫、女手一つで育ててくれた母親の影響から逃れるために計画的に妊娠・結婚へと持ち込んだ妻……
異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影の向こうに覗くのは乾いた絶望か。
ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた、連作家族小説。第3回婦人公論文芸賞受賞 「内容紹介」より


小泉今日子の主演で2005年に映画化されており、第3回婦人公論文芸賞受賞作品であり、直木賞の選考でも多数の票を集めたが、反対派の意見も強く、その年の直木賞受賞作は該当作なしになったという曰く付きの作品です。

角田光代さんの作品は、対岸の彼女以来の二作目です。

今作は、家族5人(祖母、父、母、娘、息子)と、父の愛人達の連作短編集です。

家族全員が誰にも言えない何らかの秘密を抱えていながら、家の中では普通の家族として朗らかに生活しているという、一種のサスペンス的な要素を含んだ物語です。

それぞれの話が短編なので、人物紹介的に話が進んでいって、その秘密が明らかになっていきます。

しかしながら、それぞれのストーリーにオチはなく、「じゃあ最後にドーンと来るんやろ!?」と期待しましたが、全然でした。

みんながみんな中途半端に終わっていって、最後までつかみどころのない小説です。
何故、直木賞候補に最後まで挙がったのかわかりません。

しかしながら、実際の家族といのは、案外、オチもなく淡々と、そして小さな秘密を抱えながら過ごしていくものかも知れませんね。

★★☆2.5です。

ちなみに映画の方の『空中庭園』は、愛人役で永作博美が好演しているようですので、観てみたい気もしますね。