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うまくまとまってます『死命』by薬丸岳

2020年04月29日 | 小説レビュー

『死命』by薬丸岳

 

死へのカウントダウンは彼らの運命を――

余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。

若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。

死を恐れぬ罪人に報いを与えられるのか! もっとも注目される乱歩賞作家がおくる渾身の傑作ミステリー「BOOK」データベースより

 

 コロナウイルス感染症拡大防止の為、図書館が閉鎖されており、予約している本が留まったままで・・・。仕方なくブックオフで2冊買い求めてきました。

薬丸岳氏の作品は、『天使のナイフ』、『友罪』、『蒼色の大地』に次いで四作目です。文章がとても読みやすくサラッと描かれています。

今作も、もっと残酷に、もっとシリアスに描けたとも思いますが、良くも悪くも薬丸氏の筆なんでしょうね。

快楽殺人犯と敏腕刑事という構図はよく見られるパターンですが、その二人が全く同じ病に侵され、余命いくばくもない中で、自分の人生を全うしようというストーリーです。

物語の設定は中々おもしろいし、薬丸氏の読みやすい文章と相まって、一気に読み終えましたが、残念ながらキャラクターの造形がイマイチ浅薄で、強く心に訴えかけてくるものはあまりありませんでした。

「うまくまとめたよね」というの率直な感想です。

★★★3つです。