思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

川上弘美『大きな鳥にさらわれないよう』

2020-06-16 10:28:48 | 日記
『十字軍物語』を高テンションでガツガツ読みつつ、
川上弘美『大きな鳥にさらわれないよう』を
オヤツのようにつまんでおりました。

遠い未来を舞台にした短編集です。

一本目の「形見」は、元々は、
岸本佐知子編集の『変愛小説集 日本作家編』のために
書かれたものだそうです。

その独立した短編から世界を膨らませて、
一冊分の連作を綴ったそうで。

その割には、一冊の小説として構成ができているというか、
お話しの環がキレイになっているというか。
すごいなあと思います。

短編ひとつひとつも、どれもこれも良い感じ。
さらさらとして、淡くて、ちょっと沁みる。

中盤のお話しは個人的にちょっと好みに合わないものも
あったのだけど、おしまいまで読んで、お話しの環が完成して、
やっぱり必要だったんだなあと思い直す。

一冊を読了して、読者の感想も完成するんだなと。
良い本です。

個人的には冒頭の「形見」が一番好き。
最終章「なぜなのあたしのかみさま」のエリとレマは
エリエリレマサバクタニですかね。

第44回 泉鏡花文学賞受賞作。
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塩野七生『十字軍物語 第四巻』 読了!ごっつぁんです!

2020-06-15 10:37:39 | 日記

『十字軍物語 第四巻 十字軍の黄昏』
これにて、『十字軍物語』全4巻、読了〜。
さみしい!!!

サブタイトルの通りで、
最終巻は落日の物語ですよ。
終始、一抹の寂しさを抱えながら
しみじみと読まずにはいられません。
十字軍が主題である以上、この黄昏は避けられないですから、
しっかり噛み締めながら読了しました。

この『十字軍物語』に魅了された人間としての感想を言うと、
ふたつですね。

まずフランス王は有罪な。
特に聖王とか言われて勘違いしてるルイと
美男王とか言われて調子乗ってるお前!
火あぶりな。

あと、聖職者は全員、政治に口出すの禁止。
「せ」の字でも言ったら即火あぶりな。

まあ、なにはともあれ、
あ〜、読んでよかった!!勉強になりました!
文庫4冊、まるごとずーっと楽しく読みました!!
誰かとフランス王の悪口言いながらお酒飲みたいですね!
第一世代の話しもしたいし、
癩王とリチャードとフリードリッヒの話しもしたい!
めちゃくちゃに飲み過ぎそうである。

 

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【読書メモ】2013年4月① 『ああ言えばこう食う』

2020-06-12 10:12:10 | 【読書メモ】2013年
<読書メモ 2013年4月①>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『ああ言えばこう食う』阿川佐和子, 檀ふみ

あとがき対談の話しもおもしろかった。
近代文学が確立するまで、
本は「対話」で構成されていたという。
聖書も、ソクラテスも、孔子も、トルストイ書簡集も。


(阿川佐和子と檀ふみの才女コンビによる名作エッセイ、
 記念すべき第1作です。
 このお二人のやりとり、ほんと好き!

 第15回講談社エッセイ賞(1999)受賞。
 この続編が『ああ言えばこう行く』(集英社)で、
 新潮社からは同コンビで『太ったんでないのッ!?』というのも出ています。

 往復書簡風のリレーエッセイ。
 最初は「食」がテーマだったはずなのに、
 フリーダムな感じでどんどん話題が広がっていき
 最高に楽しいです。

 余談ですが、檀一雄の『火宅の人』を読んだ際(2017)にも言及した
 名コンビの名作エッセイです。

 ちなみに私が記憶内で「檀流クッキング一等兵」と思っていた
 檀ふみさんですが、「檀流クッキング二等兵」だそうです。
 まあ、隊長(父親)が
 「奥様方もたまには丸一日かけて豚の角煮
 でもつくるがよろしい。むずかしくはない」
 (レアな部位の買い出しから、焼く、蒸す、煮るまでする鬼畜レシピ…)
 と言うような人なので、私なら脱走兵になってます。

 ほんと、生まれ変われるなら檀一雄がいいな笑)
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塩野七生『十字軍物語 第三巻』リチャードかっこいい!

2020-06-11 09:27:21 | 日記
『十字軍物語 第三巻 獅子心王リチャード』です。

みんな大好き獅子心王リチャード!!!
超絶かっこいい!!!の巻、です。

イスラムの英雄サラディンと、
第三次十字軍を率いた英国・獅子心王リチャードの胸熱な戦い!
がメイン。です。超かっこいい。

とはいえリチャードの十字軍物語は前半のみ。
文庫後半は、リチャードの帰国後のエピソード
(フィリップ!!お前なあ!!!)、
なぜかビザンチンを攻める第4次十字軍、
まったく無意味な第5次十字軍のお話しです。

まあ、実質は、リチャードかっこいい!の巻です。

英国にはいまだにファンクラブがあるそうで。
イギリスには文句しか言わないフランス人も
「リチャードは、まあ、良し!」となるエピソードとか、
笑えて楽しい。

他にも、イスラム側でサラディンの後を継いだアラディールの
心痛を思うと切ない。
ヴェネツィアの元首ダンドロのビジネスライクな
エジプト不侵攻の講和とかは、現代の感覚では凄くよくわかる。
法王代理ペラーヨとか聖フランチェスコは何やってんの?
聖職者って邪魔しかしないの?
って感じで第三巻もおもしろかった!

ちなみに、
塩野先生が愛読している歴史家ランシマンは
リチャードに対して冷静で厳しめの評価をしているようですが、
一方で、塩野氏はリチャード好きなんだろなあ、という筆致。
そんな十字軍物語を楽しんでいる私も当然
リチャード好きになっちゃいますし、
フィリップなんか長生きくらいしか良いとこないな!
と思ってしまうけど、まあ、歴史を学業としているわけではないので、
いいじゃないか。

リチャードかっこいい!
ああ楽しい!
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【読書メモ】2013年3月⑦ その他4冊

2020-06-10 12:50:40 | 【読書メモ】2013年
<読書メモ 2013年3月⑦>
在宅仕事で読書時間が全然とれていないので、
過去の読書メモばかり更新されてるな…。
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『これでよろしくて?』川上弘美
いい同好会だなあ。
いつも機嫌が良い男って、怖い。という話しとか、
議題から発展するそれぞれの意見がおもしろかった。

(「これでよろしくて?同好会」という謎の会合に
 参加することになった主婦のお話し。
 様々な年代や職業の女性たちの
 めちゃくちゃちっちゃいような、
 意外と深いような「話題」を中心にして
 納得できるようなできないようなお話しが展開します。

 自分でも何言ってんだかよくわかりませんが。
 安定の川上弘美ワールドなので、大丈夫です!)



『ふふふ』井上ひさし
野球と政治の話し以外は、おもしろかった。

(講談社の『小説現代』に連載されていたエッセイ集。
 続編の『ふふふふ』も出ています。
 各エッセイのタイトルをちょっと書き出すと、
 「世界一長い名」「秘伝」「初めての外国語」
 「ベッド・トリック」「歴史偽造家」…
 おもしろそうな感じでしょ?
 おもしろいんですよ。
 ちょっと辛口で、ユーモアがあって、うんちくにもなりそう。

 とはいえ、井上センセイは野球がお好きだからね、野球の話題が多いんですよね。
 私、セリーグとパリーグの違いもわからないからなあ…)


『ささやく河』藤沢 周平
(メモなし。
 正式タイトルは『ささやく河 彫師伊之助捕物覚え』
 というわけで、シリーズものです。

 主人公の伊之助は、元岡っ引きで、今は浮世絵の版木彫りが生業。
 って、転職が豪快すぎて、あらすじで「なぜ?」となりますね。
 私もなりましたが、ちょっとハードボイルド風味の伊之助には
 色々と事情があるようです。

 シリーズというか三部作で
 「消えた女」「漆黒の霧の中で」「ささやく河」
 の順番だそうです。
 また、完結編を先に読んでしまった…)


『桜さがし』柴田よしき
浅い。キャラも、事件も、総論(ポエム?)も。
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