goo

雨のセブンシスターズ

2012-07-02 17:58:44 | イギリス一周 花の旅

 先程のセブンシスターズ・カントリーパークの駐車場に戻って来ました。

 

 今度は、駐車場の隅にセブンシスターズ・カントリー・パークの案内図を見出しました。

 

 その案内図で、セブンシスターズの断崖へと向かうトレイルを確認しました。 

 

 そしてその時、ポツリと小雨が落ちてきたので、レインコートを片手に歩き始めました。

 

 

 周囲は牛の放牧地のようです。

 

 カックミア川が草原の中を緩やかに蛇行しています。

 

 私は昔訪ねた、北海道の暑寒別岳の中腹に広がる雨龍湿原を思い出しました。

 

 

 しばらく進むと、草原の中に羊を見出しました。

 

 先程、車から見た羊の放牧場と同じエリアです。

 

 

 歩む先には、幾つもの沼が現れます。

 

 水が澄んでいるのは、腐敗する有機物が少ないからでしょう。

 

 

 カックミア川の河口に近づくと、小石の重なる海岸のあちらこちらに、ツノゲシが黄色い花を咲かせていました。

 

 

 

 雨具なしでは歩けない程になりましたが、私は雨の中の散策も嫌いではありません。

 

 雨に歩けばこその情緒も楽しいものです。

 

 ガイドブックなどで紹介されるセブンシスターズを、写真で見慣れた光景で望む為には、川を対岸に渡らなければなりませんが、河口付近は見た目以上に深そうで、靴を履いたまま渡れる場所は見当たりませんでした。

 

 ガイドブックの写真を追体験する旅でもないので、靴を脱いでまで、川を渡ることはせずに、ピュアな黄色い花を咲かせるツノゲシの海岸を、白い断崖の頂きに向かって歩き始めました。

  

 

 白い断崖を登る途中で振り返ると、湿原に浅瀬のような沼が横たわっていました。

 

 足元を見ると、白亜の地層を草が薄く覆い、有機物の堆積は殆どありません。

 

 

 断崖の縁では、碧い海を背に、黄色い花を咲かせるツノゲシが根を張っていました。

 

 みごとに強く逞しい花です。

 

 

 もう一度振り返ると、増水した川から溢れ出た水が、丘の裾の海を白く濁していました。

 

 あの丘の上から、セブンシスターズの、白い断崖の連なりが見えているはずです。

 

 

 私の立ち位置から見下ろすと、白亜の壁が海に面して並び、白いドレスのレディが、舞踏会の音楽に合わせ、青い海の絨毯へと踊り出そうとするかのようです。

 

 

 人気のないセブンシスターズの丘から下る時に振り返ると、取り残された道標が緑のベールにポツリ突き刺さっていました。

 

 

 帰りはカックミア川の堤防を歩きました。

 

 

 駐車場に戻る途中で、雨の川に色とりどりのカヌーを浮かべる子供達の姿を認めました。

 

 

 みんなツノゲシのように、厳しい自然の中で、逞しく育ってゆくのでしょう。

  

 ※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。 

 

 イギリス一周 花の旅  index1 イギリス一周 花の旅  index2

 

筆者のホームページ「PAPYRUS」

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

セブンシスターズもどきに感動

2012-07-02 15:28:22 | イギリス一周 花の旅

 ドライブの途中で見かける建物の、石組みの配色が面白くて、手首にデジカメの紐を通したままの運転となりました。

 

  

 車を停めて写真を撮りたいのですが、前後に並走する車のスピードが結構早くて、しかも片側一車線の道には安全に駐車する場所が見当たりません。

 

 

 車窓の景色を楽しみながらA259を走っていると、やがて道路は緩やかに下りはじめました。

 左手に放羊地が広がっています。

 

       

 

 坂を下りきった場所に広い駐車スペースがありました。

 駐車場の片側は川に接しています。

 

 反対側には遊歩道への出入口があり、丁度数人のグループが戻って来たところでした。

 

 川でカヌーを楽しむ少年少女達の姿をみかけました。

 遊歩道は森林トレイルの類なのかもしれません。

 

 

 

 ここにも、パーキングチケットの自販機が設置されています。

 永く停めていると咎められそうなので、先を急ぐことにしました。

 

 時計を見ると13時を過ぎていました。

 

 この時刻であれば、今日中に、白亜の海岸線が続く、有名なセブンシスターズ(Seven Sisters)を見ておけるはずです。

 

 何かの地図で、セブンシスターズの海岸まで道が通じているのを確認した記憶があります。

 

 もう少し先へ走れば、きっと案内板が見つかるでしょう。

 

 そうこうする内に、車は小さな町に入りました。

 

 

 進行方向にはフラットな空が広がり、丘を構成するような地形に続くとは思えません。

 小さな町を抜ける出る前に、適当に、海岸の方向へハンドルを切りました。

 車は程無く、長い砂浜が続く海水浴場に出ました。

 

  

 

 海水浴場にはシャワールームのような、色とりどりの小屋が並んでいました。

 

 少し寂びれた江ノ島の雰囲気ですね、これは。

 

 そして振り向くと、海岸の左手に白亜の断崖が聳えていました。

 オォッ、 これがセブンシスターズか !!!

 とうとう、実物を見たぞ!この目で。

 

 

 

 海岸を歩き廻り、位置を変えながら、白亜の壁を何枚も写真に収めました。

 

 しかし・・、ちょっとナ~

 

 写真での記憶の、セブンシスターズの断崖はもっと長いはずだけど?

 

 目の前の景色はガイドブックの写真とも違う気がするし ・・・

 

 怪訝な思いで車に戻り、もう一度ガイドブックを読み直しました。

 

 「‐‐‐ バスが到着するのは、セブンシスターズ・カントリー・パークの駐車場付近、 ‐‐‐ ここから断崖へはさらに30分ほど歩かなければならない。」

 

 エーッ ! それって、もしかして、さっきの駐車場のことじゃないの! 

 あ"ぁ 、 歩いてた人達はきっとセブンシスターズを見に行ってきたんだ。

 

 ヒェ~~ 戻ろ、戻ろ。

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。 

 

 イギリス一周 花の旅  index1 イギリス一周 花の旅  index2

 

筆者のホームページ「PAPYRUS」

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ヘイスティングズの丘に登れば

2012-07-02 13:37:57 | イギリス一周 花の旅

 以前のページで、イギリスの道路事情を簡単に説明しましたが、ドーヴァーからA20を西へ走り、しばらくして、三桁の番号が付されたA259に入りました。

 

 この道路は制限時速が、A20の60マイル(96キロ)から50~30マイルに規制され、道幅は片側一車線です。

 

 周囲の風景も長閑な雰囲気に満ちて、交通量は減少し、ストレスが少ない、鼻歌混じりのドライブを続けました。

 

 ライを出てから、A259を30分程も西へ走り、ヘイスティングズ(Hastings)という町に着きました。

 

 

 

 この町は1066年のヘイスティングズの戦いで、フランスのノルマンディー公ウイリアムがアングロサクソン軍を破り、イングランドを制服し、英国王ウイリアムⅠ世として即位した地です。

 

 現在はウイリアムが建てたヘイスティングズ城の廃墟が町の背後の小高い丘に残ります。

 

  

 

 街を見下ろす丘に登ると、芝山の頂に、白いリゾートホテルが建っていました。

 

 

 眼下のリゾートタウンが砂浜に広がり、町を見下ろす斜面には、本格的なシーズンを前にしたカフェが旗をなびかせていました。

 

 

 

 私はこの丘で、海風を胸いっぱいに満たしました。

 

 人類の歴史は、地球上の至る所で、血に染まる物語に溢れます。

 

 千年や二千年の歳月で、人間の本質が変わる筈はないだろうと思います。

 

 私は千年の時を忘れ、静かに寛ぐヘイスティングズの丘を下ってA259に戻り、一人旅の先を急ぐことにしました。

 

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。 

 

 イギリス一周 花の旅  index1 イギリス一周 花の旅  index2

 

筆者のホームページ「PAPYRUS」

  

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ライは中世の町

2012-07-02 11:03:02 | イギリス一周 花の旅

 幹線道A20から、番号三桁のA259に入り、のどかな道を西へ走りました。

 車窓の両側に羊の牧場が広がり、風車が風を受けていました。

 

 そんなホワイトクリフ上の牧草地を走っていると、ドーヴァーから50km程の場所で道は標高を落とし始め、木々が茂り、小川流れる街へと入って行きます。

 

 イギリスで最も美しい町の一つと言われるライ(Rye)に到着しました。

 

 ガイドブックには、「街の中央のハイ・ストリートからライオン・ストリートへ入ると正面に聖メアリー教会が見えてくる」と記載されます。

 

 

 路上に駐車スペースを得ることができました。

 パーキングチケットを購入してフロントガラスに貼り、散策を始めました。

  

 ガイドブックには、「教会の裏側のチャーチ・スクエアやマーメイド・ストリートのしっくい壁の木造家屋は、落ち着いたテューダー朝様式と、イタリア建築の流れを汲む優美なジョージ王朝様式が程よく混じり、見事な調和を見せる」と記されます。

 

 

 

 ガイドブックを片手に、小さな町を気ままに歩き廻ります。

 

 聖メアリー教会の一番古い部分は1150年頃のものだそうです。

 大きく枝を広げた、名も知らぬ樹の下に、苔むす墓石が並んでいました。

 

 

    

 お年を召した観光客がのんびりと街の風情を楽しんでおられます。

 あぁ・・そうだった!  私も同類なのをすっかり忘れていました。

 

 教会の周囲に、可愛いホテルやアンティク店などが軒を並べていました。

 

 

 

  家々の庭は花に溢れ

 

 

   

 

 街角の壁や僅かなスペースに、バラやウツギの花が咲いています。

 

 

 

 町の表通りには、お洒落なパブやチョコレート屋さんが並んでいました。

 

 

 昔は大陸からの侵略に怯えた時期もあったようですが、今は長閑で、こじんまりと可愛い雰囲気の街が、訪れる人の心を和ませてくれます。

 

 私もすっかり寛いだ気分になって、イギリスの田舎町を満喫しました。

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。 

 

 イギリス一周 花の旅  index1 イギリス一周 花の旅  index2

 

筆者のホームページ「PAPYRUS」

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ユーロトンネルが作った公園で

2012-07-02 07:56:06 | イギリス一周 花の旅

 ドーヴァーを離れ、幹線道路A20を西へ進むと、道路の左手に、白亜の壁を突き抜けて、海の方角へ下る奇妙なトンネルを見かけました。

 トンネルの入り口は、秘密の軍事基地に通じそうな雰囲気を漂わせていました。

 私はそのトンネルに、素通りにはできない何かを感じたので、掲示物に注意しながら、車一台ほどの幅の、傾斜の強いトンネルを恐る恐る降って行きました。

 何だかドキドキしましたが、軍事基地から守衛が出て来て、何か聞かれたら、訳が分からずに迷い込んだことにしようと決めていました。

 

 トンネルを出て振り返った様子が下の写真です。

 無機質で機械的な印象を受けます。

 

 

 

 しかし予想に反し、トンネルの先には「サムファイア ホエー(Samphire Hoe)」と名付けられた公園が、河岸段丘の海辺に広がっていました。

 

 見学を終えて、断崖の上から、この「サムファイア ホエー」を見下ろしたのが下の写真です。

 視界の先に、ドーヴァー港が見えています。

 

 

 帰国してから調べると、この公園は、1987年に掘削を始めたユーロトンネルからの土砂を埋め立てて作られたのだそうです。

 

 「サムファイア ホエー」にはトイレとキオスクを備えた小さな管理棟がありました。

 

 

 丁度、お昼時だったので、私はキオスクでサンドイッチとジュースを買って、海を見ながら早目のランチを摂ることにしました。

 

 爽やかな青空にすじ雲が浮かび、その下でホワイトクリフが左右に連なります。

 

 

 海岸にサムファイア タワーと名付けられた青い塔が建っていました。

 中は伽藍堂ですから、モニュメントなのでしょうが、絵になる光景です。

 

 

 さて、下の写真は駐車場に停めた私の相棒、日産クァシュカイです。

 

 

 私はこの駐車場で、車の後部座席が、前方に折り畳めることを発見しました。

 そして後部座席がトランク部分と一体となり、殆ど平らになることを見出したのです。

 

 「オオ! ラッキー!」 これは予期せぬことでした。

 

 実は今回、昨年のアメリカ横断旅行のような廉価なモーテルが使えません。

 

 イギリスで安価な旅を想定すると、一般的にB&Bと呼ばれる民宿を利用します。しかし、B&Bであっても一泊約50ポンド、日本円に換算すれば6500円程の費用がかかり、二週間だと宿泊費だけで9万円程の費用がかかります。

 

 ガイドブックによれば、B&Bを利用する場合は、遅くとも16時ぐらいまでにチェックインしたほうが無難だとか、B&Bは個人経営でクレジットカードが使えない所が多いので現金を用意すべきとか、田舎ではシングルルームを探すのに苦労するのだそうです。

 

 更には、ボリュームたっぷりの朝食が用意されて、それを1時間以上かけて食べる、とも記されていました。

 特に、私のように気の弱い性格だと、親切を断りきれないでしょうから、そんなことをしていたら、間違いなく、出発は9時を過ぎます。 

 

 9時に出発して、16時にチェックインしてたら、どう考えたってイギリスを二週間で一周するのは無理です。

 

 そこで今回、私はキャリングケースの中にテントと寝袋を持参していました。

 日本で入手したイギリスのロードマップを見ると、ほぼ50Kmに一ヶ所程度のキャンプサイトを認めたので、キャンプを主体にユースホステルを組み合わせれば何とかなると考えました。

 

 それがダメならB&Bを利用し、いざとなればホテルへ飛び込めば良いのです。

 

 もしも宿泊に費用が掛かって現金が足りなくなれば、カードを使ってATMからキャッシュを引き出せることも確認していました。

 

 二重、三重の安全策を準備し、キャリングケースに寝袋と携帯用コンロまで詰めて日本を出発してきたのです。

 

 しかし車の後部座席に就寝できれば、雨露を凌げる場所が、最低限確保できたことになります。

 

 私は「サムファイア ホエー」の駐車場で、すっかり気が楽になりました。

 「よーしこれで、本当に何とかなる!」

 

 最大の不安を解消できた視線の先で、暖かな陽射しを浴びたクサイチゴが、ホワイトクリフに負けぬ白さで花を咲かせていました。

 

 

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。 

 

 イギリス一周 花の旅  index1 イギリス一周 花の旅  index2

 

筆者のホームページ「PAPYRUS」

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )