ベスゲレート(Beddgelert)の村を出て、A498を北東へ走ります。
右手にグラスリン湖(Glaslyn)が見えてきました。
湖面が鈍色に輝きます。
雲が山稜を被っていました。
細波が湖面を刻んでいました。
峠に向かって、道路が徐々に登って行くと、左手にグウィナント湖(Gwynant)が見えてきました。
注意して見れば、山腹の草原の中に、石の壁が稜線に向かって伸びています。
この石壁は牧羊地を区切る牧柵です。
以前のページでジギタリスの話を記しましたが、道路の周囲に広がる牧羊地にもジギタリスが咲いています。
山の斜面の崖下の際まで、石壁が施されていました。
段々畑のように「耕して天に至る」と同様に、石積んで天に至る光景が見られます。
人間の生きる力の逞しさを印象付けます。
道路はグウィナント湖辺りから斜度を増してきました。
標高を上げて振り返ると、眼下にグウィナント湖が湖面を光らせていました。
谷の中に、一軒の農家がポツンと見えていました。
その横へ、滝を連ねた渓流が流れ込んでいます。
渓流の周囲を、営々と積み重ねた石壁が、牧羊地を区切っていました。
ペン・イ・パス(Pen Y)の峠に至ると、ウエールズで最も標高が高いスノードン山(Snowdon)に向かって、前方の山容を説明する掲示板が設えられていました。
しかし、残念ながらスノードン山は雲の中です。
世界最高峰エベレストに初登頂したエドモンド・ヒラリーがリーダーを務める英国隊が訓練を積んだのがこのスノードン山です。
道の横に、ヒラリーがベースキャンプとした建物「P・Y・G(Pen Y Gwyrd)」が見えていました。
そのスノードン山へ、ラック式の山岳鉄道が、起点となるスランベリス(Llanberis)から1065mの山頂駅まで通じています。
今回天気が良ければ、私はペン・イ・パスからスランベリスに廻って、スノードン山に登ることも考えたのですが、山が雲に覆われていたので、登頂は諦めました。
ペン・イ・パス峠からスノードン山へと向かう登山道周囲のあちらこちらで、草を食む羊の姿を見かけました。
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