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グラスゴー植物園で 何故?

2012-07-23 18:12:42 | イギリス一周 花の旅

 幸運なことに、グラスゴー植物園の裏手に路上駐車が可能な場所を見つけたので、安心して車を停めて、三脚を肩に、ザックを担いで植物園へと向かいました。

   

 入場は無料です。

   

   

 煉瓦作りの正門が北大植物園を思い出させます。

   

 雨が降っていて、光量不足なので、フィルムカメラの花の撮影は期待できません。

   

 早々に温室へ入りました。

   

 

 イギリスに来てまで、熱帯植物の写真を撮っても、あまり意味がないので、ザックリと見て帰ろうと考えました。

   

   

 結構大きな温室です。

 食虫植物やベゴニアなどを集めた部屋があります。

   

   

 各々の部屋に展示された植物は、特に珍しいものではなく、私の目を引くようなものはなかったのですが、

   

  スコットランドの荒野を見てきた目に、この温室の植物の多様性は、とてつもなく刺激的でした。

   

 

   

 イギリス人がこれ程までに、各都市に植物園を設け、世界中から多種多様な植物を収集した思いを、実感を伴って理解することができたのです。

   

 私は水と空の青一色に彩られた海や、雪景色などの白一色の風景に魅力を感じますので、色相のないヒースやムーアの景色を大いに楽しむことができました。

   

 しかし、荒涼たるスコットランドの曠野を走り続けたその後で、こうして豊穣な熱帯の植物の前に立つと、曠野に住む人々にとって、このような多彩な植物達がどれ程魅力的に見えるかを、理屈ではなくて、感覚として理解することができたのです。

   

 田を耕して稲を育てる民が水墨画を描き、草原に羊を追う民が色彩豊かな油絵を描くことは・・・ などと考えたくなります。 

   

 いずれにしても、山河や気候などの生活環境が、人々の考え方や嗜好に大きく影響を及ぼすことに間違いはなさそうです。 

   

   

    

 更に、温室に掲示してあったパネルに、

 この絵は何を描いた絵でしょうか?という問いかけがありました。

   

 

   

 隣のパネルには、

 「あなたはこの絵の主題が猿だと思いますか?

 植物はどうです? この絵から植物をなくせば砂漠となり、動物も住めなくなります。

 動物には植物が必要で、この絵から植物を取り去ることはできません。」

   

 と解説されていました。 

   

   

 更には、作物の品種改良の解説、等等

 幾つものパネルが掲示されていました。

    

    

 イギリス人が大航海時代から、何を考えて、世界中から植物を集めてきたのかを理路整然と理解することができました。

   

 温室に展示されていた熱帯植物は、今では日本の植物園の温室でも普通に見られる類のものです。

   

 しかし、植物を収集、育成することは、「好きだから」だけで、やっている訳ではないことも十分に理解することができました。

   

   

 グラスゴー植物園で私は、イギリス人の植物好きに共感を覚え、世界中に出て行って、植物を集めてきたイギリス人の哲学を見せてもらうことができました。

   

   

 そもそも、寛ぎや、植物鑑賞の機能だけではない植物園(Botanical garden)の概念はイギリスが発祥ではなかったでしょうか。

   

 

   

 グラスゴー植物園も、私にとって本当に収穫の多い訪問となりました。

 はるばるやって来た甲斐がありました。

  

  

 

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スコットランド最大の都市へ

2012-07-23 15:48:47 | イギリス一周 花の旅

 幹線道路A83を走りつづけ、やがて建物の密集する街の橋を渡ると、水面に沢山のボートが浮かんでいました。

   

   

 昨日、今日と見てきた光景と趣が異なり、濃密な人の気配に溢れています。

 昨日のスコットランドの山と湖の夢から目覚めていない私の目には、全くの別世界のように映ります。

 

 そして、ボートが繋留されている横には鉄道の駅があり、電車が停っていました。

 簡単にホームに入ることができたので、まるで鉄道少年のように電車の前に廻ってパチリ、ついでに車内に入り込んでパチリ。

  

 一度ぐらい電車にも乗ってみたかったのですが、 オオッ! これって無賃乗車ですか?

   

   

 そして、この辺りで、名残惜しくも、スコットランドのハイランド地方とはお別れです。 

   

    

 今から真直ぐにグラスゴー(Glasgow)へ向かうと、植物園の開園時間前に着いてしまうので、時間調整を兼ねて、ペイズリー(Paisley)へ寄ってみることにしました。

   

 ペイズリーはペイズリー柄で有名な工業都市です。

  

   

 小雨が降っていましたが、街の中心部はそれ程広くなさそうだったのでコインパーキングに車を停めて、歩いて街を巡ってみました。

   

 

   

 ここの博物館は世界最大のペイズリー織のコレクションがあるとガイドブックに記載されていたのですが、残念、開館前でした。

     

 

   

  博物館と同じ建物の横が図書館で、扉が開いていましたので、何かあるかもしれないと思い、入ってみましたが、

   

 

   

 普通に本が並んでいるだけでした。

   

 しかし、天井が高い為か、二階まで書架が積み上がっている様子は日本では見かけない光景です。

   

   

   

 今こうして、旅の写真を見直してみると、花の旅とは言いながら、

 何だか、好奇心のままに「手当たり次第に」歩き回っているのがバレバレです。

    

   

 ペイズリーの町からグラスゴーは目と鼻の先です。

   

 私はてっきり、エジンバラがスコットランドで最大の都市だと思っていましたが、グラスゴーは人口75万5千人を擁し、スコットランドで最大なのだそうです。

   

 そして、いよいよ、そのグラスゴーの街へ入ってきました。

   

  

  

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スコットランドの風と雲と

2012-07-23 12:36:40 | イギリス一周 花の旅

 インヴァレリー(Inveraray)から再びA83でグラスゴー(Glasgow)を目指します。

 街を離れ、道は山の中へ入って行きます。

  

     

 山肌には針葉樹が植林されていました。

 

 日本では、全国に植林が及んでいますが、イギリスでは稀に見かける程度です。

 イギリスの住居が99%石造りであることと、関連するのでしょうか。

 

 推論ですが、多くの農民が羊を飼うことを生業としたことが、草地を広げる為に森林の伐採を促し、それが、木材の不足と価格の高騰を呼び、石造りの街を導く遠因になったと考えたら如何でしょうか。

 

 石の住居が当たり前になれば、木材の需要が低下するので、林業が衰退し、イギリス全土から森林面積が減少したとすれば、今まで見てきた光景が矛盾なく説明できます。

 

 森は水を供給しますが、イギリスではメキシコ湾流が豊かな雨をもたらすので、森林の減少が深刻な水不足を招かなかったと考えます。

 

 こんなふうに、車窓からの風景を、パズルを一つ一つ解くように見る、面白い旅となりました。

 

 

    

 道路の脇に小さな湖がありました。

 ヤマゼリに似た白い花とキンポウゲに似た黄色い花が咲いていました。

   

   

 ジギタリスが陽の当たる斜面に花を咲かせていました。

   

   

 山から流れ出た清水が滝を作っています。

 すぐ傍の谷の底では、風を避けるようにして建つ、一軒の農家が見えます。

   

 

   

 道はやがて大きな湖の畔へ出てきました。

 しかし実は、これがクライド湾から20km以上も内陸へ切れ込んだ入江の最奥部で、正面がアロッチャー(Arrochar)の街です。

     

   

 ナビを確認すると、アロッチャーの先の鞍部を越えてローモンド湖畔(Loch Lomond)へ出るようです。

   

     

 ローモンド湖畔に出ると、湖上を強い風が吹き抜け、湖面は波打っていました。

    

   

 人間という動物は(自分のことですが)本当にわがままなのだと思います。

   

 昨日、晴天の下で、あんなに気持ち良くイギリス本島最北部をドライブして、とても幸せな一日だったのですが、スコットランドの「暗く立ち込める雲と、草を払うような風の中で黒いマントで立ち尽くす男」みたいなイメージも味わってみたいな~ と思っていたのです。

   

 今のローモンド湖はそんなイメージにピッタリ。

   

   

  風はビュンビュンですし、波は音を立てて渚に打ち寄せますし、小雨混じりの空はドラキュラでも出てきそうな雰囲気です。

   

 いいですね~。

 こんなチャンスを逃す手はないと、雨の中を傘も差さずに湖畔を歩いてみました。

   

 白いバラが咲いていました。園芸種ではなく、原種のように見えます。

   

  

 鴨が草の中に蹲っていました。

 イギリスの野鳥は人間を全く警戒しません。驚く程の距離まで近づくことができます。

   

   

 そして、ここでも小川に掛かる橋は石でできていました。

 

 人が手をかける全てのものが石造りです。

 

 「風が吹くと桶屋が儲かるように、イギリス本島へ吹きつける風と雲がもたらす雨が、過不足のない牧草を育て、それが巡り巡って石の文化を育んできたのではないか」と、一人納得する東洋からの旅行者を尻目に、鴨君は「一人で頷いていれば」と、全く相手にもしてくれませんでした。

  

  

 

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