湖水地方で「ハイ・アドベンチャー」を体験し、私はすっかり満足していました。
ワーズワースやピーター・ラビットに関する施設を見たかった訳ではなく、それらの作品の背景となった、木や花や湖など、湖水地方の自然に触れて見たかっただけなのです。
短時間でしたが、湖水地方を車で廻り、イギリスという国の中で、この地方ならではの、柔らかく、湿潤な自然を肌で感じることができました。
ガイドブックに、湖水地方の見所としてアンプルサイドの北のグラスミア湖が記されていました。
湖水地方を去るに際して、その湖を経るルートを選定しました。
既に20時30分を過ぎ、昼間の明るさは失われていました。
西の山に陽が沈み始めていました。
真正面から照らす夕日の中で、グラスミア湖畔の朽ち果てた城跡が、ドラマのエンディングシーンのような姿で、北へと走り進む私に別れを告げていました。
茜色に染まった雲を見ながらスコットランドとの国境の町、カーライル(Carlisle)を目指します。
光が少しでもあるうちに前へ進んでおこう。
動けるうちに少しでも先へ、距離を稼いでおこう。
それだけを考えていました。
イギリスに上陸してから5日目の夜、旅の枕を得たのは23時過ぎのカーライル郊外。
朝5時半にウエールズのクリクキエフ(Criccieth)を出発してから17時間半後のことでした。
6月17日の位置
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