goo

ケンブリッジは大学の街

2012-07-26 12:00:52 | イギリス一周 花の旅

 ケンブリッジ植物園を出て、大学を見に行くことにしました。

  

  

  どんな街かと、好奇心で視覚や聴覚がピチピチと音を立てるような気分です。

 道路の混雑はかなりのものでした。

  

  

 市街の片側一車線の道は渋滞で車が動きません。

 路肩にパーキングスペースさえ見当たりません。

 諦めて並んでいると、車列の先頭はパーキングセンターに繋がっていました。

    

   

 そう言うことだったの! と、地下の駐車場に車を停めて、エレベーターで地上へ上がって行くと「グランドアーケード」という、ショッピングセンターになっていました。

   

 

   

 これで安心して、市内観光を楽しめます。

   

 ガイドブックで確認すると、ケンブリッジ大学は幾つかのカレッジがケム川に沿って並んでいるようです。

 ケム川のほとりに立つと、パントという小舟が川に並んでいました。

   

   

 このパントに乗ってケンブリッジの街を、水上から観光することもできるそうです。

 パントは多くの客で賑わっていました。

 下の写真のケム川に掛かっている木造の橋が有名な数学橋です。

   

   

 パント乗り場はクイーンズ・カレッジの横に位置していました。

 このカレッジは、ウエールズのペンブルク城でヘンリー七世を育てたマーガレット・ポーフォートが創設しました。

 雨の中のペンブルク城を思い出していました。

 何か遠い昔を想い出すような、感慨深いものが私の胸に去来していました。

   

   

 そして、その隣りにキングス・カレッジがあります。

 キングス・カレッジは1441年にヘンリー6世によって創設されたケンブリッジ最大のカレッジで、その創設時の頃に日本では、室町幕府が執政を行っていました。

     

 ところで、この頃のカレッジのカリキュラムは、一体どんな内容だったのでしょう。

   

 私はそれに関する知識を持ち合わせていませんが、「知識」という概念が既に存在し、それに対する一定の価値観が確立されていたことだけは、確かなようです。

   

 大学という組織に「知識」を集約し、議論を尽くし、更に新しい「知識」を構築していく。

 そんな、作業の繰り返しをここで行なっていたのでしょうか。 

 

 特に人文科学系での方法として、最近では合理的に物事を考えること自体に疑問を投げる意見を目にします。

 しかし、日本ではオウム事件など、知識エリートが何故こんなことをしたのかと驚くような事件が起きるたびに、「知識」を構築する方法として、確からしく思える事象を仮説として、繰り返し「疑って、疑って」根気良く真理を導き出すという、西洋で確立された、オーソドックスな手法が今でも一番確からしいと、私には思えるのです。

 

 「疑って、疑って」の方法論は最終的には「真理を信じて、神のご加護を授かる」とは相容れないものと考えています。

 しかし、そんな孤独な作業に耐えうる人々はそう多くはないでしょう。

 孤独な作業に疲れ果てた時に、人々は庭に花を育て、心休めることに勤しむのかもしれません。

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ケンブリッジ植物園を訪ねる

2012-07-25 20:53:40 | イギリス一周 花の旅

 デナビー(Denaby)という町は、マンチェスター(Manchester)から東へ70kmほどの所に位置しています。

 今日はここからケンブリッジ(Cambridge)を目指します。

   

 ケンブリッジまでは200km程ですが、高速道路が整備されていますので、そんなに時間は掛からないはずです。

    

 ケンブリッジ植物園の開園前に着いてもしょうがないので、ゆっくり出発しました。

   

 朝の通勤列車が踏切を通過して行きます。

    

    

 何時ものように朝食はコンビニエンスストアで野菜サンドを買って済ませました。

    

 過去二回イギリスに来た経験から、イギリスは食べ物が不味いと認識していました。

 また、人にもそのように話してきましたが、今回の旅で考えが少し変わりました。 

    

 私の認識を変えたのはラナークのフィッシュ&チップスヒトロッホリーのステーキですが、常食にした、ありふれたストアで買う野菜サンドも結構美味しかったのです。

   

 イギリスの野菜サンドは日本のコンビニの三倍ぐらいのボリュームがあり、褐色のパンが日本のコンビニのサンドのように柔らか過ぎず、風味があります。しかも野菜が何時も新鮮でした。

    

 日本のコンビニのサンドは食べた後で、パンに歯型が残るほど柔らかですが、イギリスはそうではありませんでした。

 

 日本はどうして、全てのコンビニのサンドや、あの代表的なバーガー屋さんのパンが風味が無くて、柔らかいのでしょうか?

 

 私はあれをパンとは認めませんが、誰も何も言わないのが不思議です。

 

 ということで、私は今朝も、飽きることなく野菜サンドで朝食です。

    

     

 今朝は昨日と違って、とても良いお天気です。

     

    

 ルートは全てナビ任せ、余計な神経を使わない快適なドライブが続きます。

         

    

 ケンブリッジ植物園には開園10分前に到着しました。

     

 運よく、植物園前の路上パーキングに車を停めることもできました。

     

 ペイ&ディスプレー方式の路上パーキングは日本とほとんど同じです。

    

 車を停めたら、駐車予定時間に応じた料金を、道路に設置された精算機に投入します。

 コインを入れた精算機の緑色のボタンを押すと、駐車予定時間をプリントした紙が出てきますので、それをフロントガラスに貼っておくだけです。

    

 結構監視が厳しいので、料金は多めに払ったほうが安心です。

   

 ケンブリッジ植物園の門には開園前から人が集まっていました。

    

    

 さすがに、大学の植物園らしく、入口に気温や雨量などに関する情報が掲示されていました。

    

    

 温室にはオーストラリアの植物も収集展示されていました。

  

 つい最近の20世紀前半までイギリスは、オーストラリア、ニュージーランド、インド、南アフリカ、ケニアなどなどで、幾らでも自由に植物を集められる状況にあったわけですから、オーストラリア由来の植物専用の温室があっても、別に不思議ではありません。  

  

    

 宿根植物や水生植物などがエリアに分けて植裁育成されていました。

   

   

 私は何時ものように、フィルムカメラと三脚を背負って園内を巡り歩きました。

   

 岩で囲んだ窪地に、上質な木製のベンチが置いてあります。

 実用性は乏しいでしょが、見る者に想像力を喚起させる演出効果は抜群です。

   

 至るところに、ちょっとした工夫があり、心地よくイマジネーションが刺激されて、とっても贅沢な気分に浸ることができました

   

 

   

 広い園内には樹木が大きく育っていました。

   

   

 針葉樹などの種類も多く、丁寧に見ていたら日が暮れそうです。

 今私は、木造の小屋に興味があるので、デザインや構造などが気になります。

   

 

   

 ここでも水鳥がゆったりと池に羽を休めていました。

 コウホネが黄色い花を咲かせていました。

 コウホネは、異国の地でも夏の始まりを感じさせてくれます。

   

 

   

 気付くと3時間弱があっと言う間に過ぎていました、時間内に車へ戻らないと、駐車違反となり、余計な手間の掛かることになりそうです。

   

 3時間では、足りなかったのですが、予定を5時間に設定しても、そのつもりで園内を歩けば結局は時間不足になっていたと思います。

   

 東京で小石川植物園を訪ねる時だって、シーズン中は毎週行っても、一日では足りないのですから。

   

  

  

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

命懸のドライブ(大袈裟です)

2012-07-25 16:48:45 | イギリス一周 花の旅

 雨の中、ハーロウ・カーの庭を一時間程歩き回って、靴もズボンもグチョグチョになってエントランスに帰って来ると、受付にいた男性が非常に丁重な口ぶりで「サンキュー ベリー マッチ」と挨拶をくれました。

 「いいえ、どういたしまして」 

  

 雨は相変わらず降り続いています。

   

 昨日考えた大筋のプランでは、次の目的地はケンブリッジ大学植物園ですが、既に15時を過ぎていますので、移動している間に閉園となってしまいます。

   

 そこで、予定とは逆方向ですが、ここから北に向かい、ヨークシャー・ディルズ国立公園を走るセトル・カーライル鉄道沿線の町を訪問してみることにしました。 

    

 ガイドブックには「ヨークシャー・ディルズは非常に交通の便が悪いのでレンタカーの移動が理想的」と書かれています。 正にぴったしカンカンです。

   

 雨の荒野を、まずはセトル(Settle)を目指しました。

 

   

 牧草地と雨雲しかみえません。

 雨の中を淡々と走り続けました。

 約2時間後にセトル・カーライル鉄道のセトル駅へ到着しました。

    

   

 小さな駅で駐車場スペースも4~5台分しかありません。

 しかし、駅舎の横に回り込んでみると赤く可愛い信号小屋がありました。

   

   

 そして、プラットホームには素敵な、可愛い跨線橋が掛かっていました。

   

   

 こじんまりした町に石造りの店がちらほらと。

   

    

 フムフム。

 磐越西線や五能線のような鄙びた味わいが楽しめそうです。

 この先はどうなっているのでしょうか。

 興味が膨らみ、更に北へと走ります。

    

 

    

 雨が強く降り続いていますが、何時ものように「こんな経験はめったにできるもんじゃない」と、全く意にも介せず、「理由のわからないことで~♪、悩んでいるうち~♪、老いぼれてしまうから~ ♪」などと、暢気に「襟裳岬」を口ずさみながら、ドライブを続けていますと、

     

 あれれ・・・

   

 道に水が溜まって、赤い車が反対車線の路肩に停っています。

 いや、待避していました。

   

   

 オーッ!  これって、もしかして、尋常じゃない事態なの?

   

 

 

 道路には川のように水が流れ始めました。

 ちょっと、これってやばいかもしれない!

 そう言えば、昨晩のテレビで、大雨に注意て言ってたよね。

   

 どうも、鼻歌歌ってる場合じゃなさそうです。

 戻ろ、戻ろ。

 ここで慌ててUターンしました。

    

   

 そうする間にも雨はますます強くなってきました。

 右手に見える水面は、さっきまでは牧草地だった所です。

 牛が水の中に取り残されている光景も目にしました。

   

   

 あちこちの牧草地で冠水が始まっていました。

    

   

 道路も冠水して、さっきは何事もなく通過して来た場所で、片側通行を余儀なくされていました。

   

    

    

 結論から申しますと、

     

 今こうして、無事に日本で、何事もなくブログを書いている私がおりますので、まぁ、良かった、良かったという結果ではありました。

     

 しかしこの日はこの後、写真を撮る余裕もなかったことは事実です。

    

    

 ホット一息付ける場所まで戻ってから、ナビに「ケンブリッジ」と入力して高速道路に入りましたが、走る途中で気力をなくし、デナビー(Denaby)という田舎町で適当に寝所を見つけて、夜を過ごすことに致しました。

    

 

6月22日の位置

   

  

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

  

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

英国庭園で庭作りのヒント

2012-07-25 14:58:07 | イギリス一周 花の旅

 ウィットビー(Whitby)は大変興味深い街でした。

 こんな小さな町から世界へ翔いていった人物もいたのかと思うと、感慨深いものがありました。

  

  

 町を出ると、周囲に広がる牧草地は、見事なまでに樹木で仕切られていました。

   

  

 町を離れ、山岳地帯へ進みますと、また雨が降り始めました。

   

  

 次の目的地はノースヨークシャー州ハロギットにあるハーロウ・カー(Harlow Carr)という庭園です。

  

 ノース・ヨーク・ムーアズ国立公園を横切り、ピカリング(Pickering)、モルトン(Malton)等、ヨーク市の北を経由して南西へ向かいます。

 ナビがハロギット(Harrogate)到着予定時間を12時57分と標示していました。

  

    

  雨の道をひたすらに走って、ハロギットにはほぼ予定どおりの時間に到着しました。

   

   

 イギリスに来てから植物園を幾つか訪問しましたが、庭園を訪問するのは始めてのことです。

 時間を惜しみ、ハロギット市内のストアで買ったサンドイッチで昼食を済ませ、ハロギット郊外の庭園、ハーロウ・カーの入口に立ったのはおおよそ14時でした。

   

 

  

 雨の中で、カッパを着て園内へ向かいました。

    

   

 雨の中で緑がとても綺麗です。

   

 姿の美しい木には「Quercus canariensis」の名札が付いていました。

 ブナの仲間で「アルジェリアン・オーク」(アルジェリア楢)という名で呼ばれているそうです。

 ウツギが赤い花を咲かせています。

   

 

   

 花と木を見ていると本当に楽しいですね。ロングドライブの疲れも忘れます。

    

 そうか、こうすれば狭い場所でもロック・ガーデンが作れるんですね。

   

 

   

 今、富良野に遊び小屋を作り、木と花を植えようと考えていますので、今まで気付かなかった、植物を育てる工夫などにも目が向きます。

   

 ヤナギを等間隔に植裁し、生木を織り込んで生垣を作っていました。 

   

   

 旅がテーマのブログですから、花と木の説明はほどほどに致しますが、

 その他にも、本当に沢山のアイデアを見せて貰うことができました。

     

   

     

 更に、今回の旅で密かに期待していたことがありました。

   

 今作ろうとしているログの遊び小屋に応用するヒントを、今回の旅で見つけようと考えていました。

 しかし、残念でした、イギリスの家は99%石造りで、殆ど参考になりません。

  

 しかし、かろうじて、この庭園に木の小屋があったので、折角ですからパチリパチリ。

   

 

   

 ハーロウ・カーの庭園には花と木が溢れていましたが、私はイギリスを旅行している間に、石造りの建物に挑戦したい気持ちになり始めていました。

 

 我ながら困ったものですね。

 

  

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ドラキュラとキャプテン・クック

2012-07-25 13:09:33 | イギリス一周 花の旅

 ウィットビーの丘へ登ってみました。

 流れる川を挟んで、対岸の丘の上に廃墟となった教会が見えています。

   

   

 目の前には北海が広がっていました。

   

   

 入江の奥に、漁港があり、その奥に赤い煉瓦造りの家並みが広がっています。

   

   

 私が立つ丘の白い建物はホテルのようです。

   

   

 銅像が建っていたので、近づいてプレートを見てみました。

   

 

   

 オオ!  キャプテン ジェームス・クック 1728-1779と記されています。

 思いがけない場所で、思いがけない人に巡り会ったような気分です。

   

 台座には「クックはウィットビーシップを作った」(who built the whitby ships)と書いてあります。調べてみると、クックはウィットビーで初めて見習い水夫となり、海の仕事に就いたことが、後に偉業を成すきっかけとなったようです。

   

 クックは三度の探検航海を行い、オーストラリア、ニュージーランドなどを発見したことが刻まれてありました。

  

 その横に鯨の骨で造られたアーチが見えます。

 小学生が町を説明するビデオでも作っているのでしょうか、撮影されながら、周囲の情景を解説していました。 

  

 

  

 この町は、北海捕鯨や石炭の積み出し港として栄えた歴史があるようです。

 丘の上に素敵な家々を見かけました。

  

   

 港にヨットが並び、今は観光と寛ぎの町となっているようです。

  

  

 

 気になる教会の廃墟を見に行きました。

  

  

 この廃墟もなかなかに雰囲気があります。

 重苦しい雲を背にして建つ姿に、低い音でジョン、ジョン、ジョンとでも効果音を入れれば、そのまま何かのストーリーが始まりそうです。

  

 実は、この光景から何かを感じるのは私だけではないようです。

  

 1897年にはブラム・ストーカーという作家がこの廃墟の墓場からヒントを得て、この町で小説「吸血鬼ドラキュラ」を書いているそうです。

  

  

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ドラマの舞台のような街

2012-07-24 21:55:22 | イギリス一周 花の旅

 ノース・ヨーク・ムーアズ国立公園内を走行中です。

 目的地はウィットビー(Whitby)。

  

  

 雨が少し小降りになってきました。

   

 右手に山岳地帯が見えます、きっとその峰々が雨を遮ってくれているのでしょう。

   

   

 オ! 突然港町に出ました。

   

 

   

 街はなかなかに活気があります。

 小さな街ですが、商店街に人の行き来が多く、ショーウインドウに商品が溢れていました。

   

  

   

 路上に駐車スペースを見つけたので、車を停め、歩いてみることにしました。

   

 いつの間にか雨も止んでいました。

   

 街の中央を川が流れ、海へ注いでいます。

 その河口に突堤が伸び、先端に灯台が据えられていました。

   

   

 突堤の左側に美しい砂浜が広がっています。

 絵になる、洋館のイメージそのままの建物が浜を見下ろしていました。

   

   

 突堤の端の灯台から振り返れば、丘の上に白い大きな建物が見えます。

 雲が空を流れ、これから始まるドラマを暗示する、映画の一シーンを見ているような趣です。

    

   

 いいですねー、この街。 雰囲気があります。すっかり気に入ってしまいました。

   

 突堤から振り返った河口の中には漁港があります。

   

   

 その漁港の対岸の丘の上に、廃墟となった教会が、かなりの存在感で街を見下ろしていました。

   

   

 突堤から街へ戻る途中に、観光客用の商店が軒を並べていました。

   

 

   

 こんな場所の土産物屋は、世界中何処でも同じような店構えなのが、不思議です。

     

 街角に、ウィットビーの地図が掲示されていました。

 更によく見ると、その横にガイドマップの自動販売機が設置されています。

 気が付くと自販機にコインを入れて、私はガイドマップを購入していました。

     

 

   

 ガイドマップの内容は掲示物とほとんど同じでしたが、街の地図が手書きで、なかなかに味わいがあります。 大きな額に入れて部屋にでも飾っておいたら、お洒落かもしれません。

 とても良い記念になりました。

   

 丘の上にも、街が広がっている様子なので、次はそちらへ行ってみることにしました。

  

  

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

聖者が治めた町で給油

2012-07-24 19:34:43 | イギリス一周 花の旅

 ニューキャッスル(Newcastle upon Tyne)を出て南下します。

 

    

 天気は良くありません。

 昨晩のテレビで、今日は大雨との予報が出ていましたが、どうなることでしょうか。

    

 30分も走らぬうちにダラム(Durham)に到着しました。

 ダラムは、10世紀に教会が建てられて以後、司教が地域を治めてきた町です。

   

 イギリスの歴史の中でも極めて稀なことで、独自の軍隊、裁判所、硬貨を持ち、その制度は19世紀まで続きました。

   

 

   

 街の中に緩やかな坂が続き、その先にダラム大聖堂が聳えていました。

   

  

 大聖堂と並んで、ダラム城が建ち、この城の主は歴代の司教でした。

  

   

  大聖堂と城が建つ丘の裾を、ウィアー川が流れ、石畳の道が続く丘は上品で穏やかな雰囲気に包まれています。

  

  

    

   

  ダラムでお手頃価格のガソリンスタンドを見つけたので、給油しておきました。

  

 [イギリスでの給油方法]

 もしかして、このブログを読み、イギリスをドライブしたいと思う方がいるかもしれませんので、簡単に給油方法を説明しますと、

 

 ガソリンスタンドはイギリスではぺトロール・ステーションと呼んでいます。

 ほとんどのスタンドは下の写真のようにガソリン(ぺトロール)の価格を1リットル当りのペンスで標示しています。

 

 この価格は2012年6月現在で、スタンド毎に1リットル当り140~130ペンス程度で、場所によって10ペンス程の価格差があり、この場合50リットルで5ポンド(675円程度)の差が生じます。

   

   

 イギリスでは、給油はセルフ方式なので、全ての作業を自分で行います。

 通常は無鉛ガソリン(unleaded)、ジーゼル車は軽油(Diesel)のポンプを選びます。

   

 車の燃料タンクの蓋を開け、給油口にノズルを差し込み、ノズルの爪を引いて給油を開始します。満タンになると自動的に止まりますので(ここまでは日本のセルフスタンドと同じ)、給油が完了したら、店内のレジへ行って給油機の番号を告げて精算します。

 自分の使った給油機が1番なら 「No1 Pump check pleasa.」 などと言えば店員が料金を告げますので、現金かクレジットカードで精算することになります。

   

 一度経験すれば、作業は簡単ですから直ぐに慣れます。

 案ずるよりも産むが易しです。

 貴方も日本と同じ左側通行のイギリスで、ドライブに挑戦してみては如何ですか。

   

 

   

 さて、ダラムで給油した後、自分にも朝食を補給して、更に南下を続けました。

   

   

 雨は本降りです。

   

   

 丘陵地帯に進むと、雲がダイナミックに流れ動いて行きます。

   

 

 周囲には獏たる荒野が広がっていました。

  

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

  

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

川の街 ニューキャッスル

2012-07-24 17:37:40 | イギリス一周 花の旅

 今朝はゆっくりと起床して、ホステルをチェックアウトしました。

 と言っても、まだ7時前ですからホステルの同室者は就寝中です。

 音を立てないように注意して、そっと部屋を抜け出しました。 

   

 

  

 駅の駐車場へ行くと、駅の構内は明々と灯りが点り、人影もありません。

  

  

 ニューキャッスル(Newcastle upon Tyne)の人口は26万でイングランド北部最大の町です。

 2000年前のローマ時代には既に、街を流れるタイン川には橋が掛けられていたそうです。

  

 ニューキャッスルの見所は、そのタイン川に掛かる橋ですから、最初に橋を見に行きました。

 まず目につくのがミレニアム・ブリッジです。

 個性的なデザインのこの橋は歩道が上下する跳ね橋で、一週間に1~2度、船を通す時に稼働するそうです。

  

  

 その下流に掛かっているのがタイン・ブリッジで、1925から1928年にかけて建設され、完成当時は世界最長のアーチ橋で、タイン川に掛かる橋の中で最も美しいと評されています。

 一ヶ月後に行われる、オリンピックの五輪マークが掲示されていました。 

  

    

 ミレニアム・ブリッジの横にはセイジ・ミュージックセンターがモダンなデザインで輝いていました。

  

  

  早朝のニューキャッスルを一巡りして街を離れる時、高台から見下ろすと、タイン川の岸辺に向かって、赤い煉瓦作りの家々の建ち並ぶ姿が、イングランドへ入ったことを実感させてくれました。

   

 

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ニューキャッスルのホステル

2012-07-24 14:14:07 | イギリス一周 花の旅

 ラナーク(Lanark)からニューキャッスル・アポン・タイン(Newcastle upon Tyne)を目指しました。

 いよいよ、スコットランドともお別れです。

  

 雨の中を3時間半ほど走り、国境を越えて、イングランドのニューキャッスルへは19時頃に到着しました。

 今日はホステルを利用する予定です。

  

  

 目的のホステル「アルバトロス・バックパッカーズ・イン」は駅前通りに面していました。

 受付で確認すると、車は駅の有料駐車場に置いて下さいとのことでした。

 一晩の駐車料金は15ポンドで宿泊代とほぼ同じですが、それでも安いものです。

  

 車を駅の駐車場に持って行きました。

  

  

 駐車場のすぐ横がプラットホームになっていました。

  

  

 駅は風情に満ちて、旅愁を感じさせます。鉄道の旅もいいものですよね。

 駐車場に車を停め、ブロンズの像を眺めながら、雨の中を5分程も歩いてホステルに戻り、チェックインを済ませました。

  

 

  

 このホステルはインターネットがフリーで繋がり、キッチンやラウンジなども充実しています。

  

 ガイドブックには、毎年ホステルの評価機関の賞を受賞していると記載されていましたが、駅から至近距離にあり、館内は綺麗で清潔ですので、私もお勧めします。

 

  

  

 何時ものように、まずシャワーを浴び、着替えてから、雨の中を街へ、食事処を探しに出ました。

  

  

 しかし、ファーストフードやパブは見かけるのですが、どうも今ひとつピンとくる店が見つかりません。

  

 時間も遅くなってきて、グズグズしていると夕食を食べそこないますので、外食は諦め、ストアで野菜たっぷりのサンドイッチとワインを一本買って、ホステルのラウンジへ戻りました。

  

 ワインを飲みながら、日本から持って来たノートPCを広げて、メールを確認し、自分のHPの四季の花を更新して、フェースブックにメッセージを書き込みました。

  

 全部を終える頃にはワインの瓶も空いて、ホロホロとすっかり心地よくなっていました。

  

 勿論、ベッドに横になった途端、白川夜舟でした。

  

 6月21日の位置

 

 

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

絶品 フィッシュ&チップス

2012-07-24 10:56:30 | イギリス一周 花の旅

 グラスゴー植物園の訪問を終えて、市内を観光しました。

   

 まずは、植物園近くのケルヴィングローブ公園へ向かいます。

   

   

 公園エリアにはグラスゴー大学、ケルヴィングローブ美術、博物館などがあります。

   

 

   

 街の東側のエリアではグラスゴー大聖堂を見ることができました。

 イギリスでは何処の都市でも、その都市の名を冠した大聖堂に出会うことができました。

   

 正直な話、私はこの手の建造物に興味が薄いので、見には行きましたが、少々飽きてきていました。

 写真も大聖堂が傾いており、撮り方も雑です。

 こんなところにも態度や気持ちが表れてしまうようですね。

   

 

   

 雨の中に車を走らせて、街の様子を見て廻りました。

   

   

 市内を流れるクライド川に蒸気船クルーズがあるそうなので、行ってみましたが、そこに船の姿はありませんでした。

 天気が良くない為か、観光施設はどこも閑散としていました。

    

      

 グラスゴー市内を車で一通り走ってみて、さて、次はどうしょう。

   

 実は当初から、スコットランド周遊後に経由するルートは決めていませんでした。

 旅の後半は、そこへ至るまでに不確定要素が多いので、その場で判断することにしていたからです。

   

  

 残された日数を数え、キュー植物園やその他の植物園、庭園、コッツウォルズ、可能であればロンドン市内やオリンピック施設などもちょこっと見てみたい。

 優先順位を付けて必要な時間を引き算してみました。

    

 結論としては、「そろそろロンドンへ近づこう」、でした。

 南下するルートとして、まだ足を踏み入れていない東部海岸を選択することにしました。

   

 基本構想が決まれば、早速スタート。

 最初の目的地はニューラナーク(New Lanark)です。

   

 グラスゴー市内から高速道路M74に入り、しばらくしてA72へ入ります。

 ラナークが近づくと、いかにもイギリスらしい、バラに飾られた民家を目にしました。

     

   

 そしてこの頃にまだ、大事なことが残っていました。

 実は、お昼を食べていなかったのです。

 グラスゴーのような都会では車を停める場所が制約され、食事が疎かになります。

   

 ラナークの街へ入りますと、鉄道の駅前に広い駐車場付きのマクドナルドとフィッシュ&チップスの店を見付けました。

   

   

 私はファーストフードが嫌いですが、雨も降っていますし、この場合は致し方ありません。

   

 フィッシュ&チップスへ入って行きました。

   

 もう、10年以上も前ですが、仕事でバーミンガムへ来た時、地下鉄のキオスクで食べたフィッシュ&チップスは、小麦粉の衣が5ミリ以上はあり、新聞紙に包まれたそれは、ふてぶてしい褐色の顔をしていました。

   

 もう、二度とこんなものは食べないぞと、その時は思ったのですが、今の状況では、致し方ありません。

   

 ところが、オーダーを受けているカウンターの少女がとても別嬪さんでした。

   

 しかし、「写真を撮らせて下さい」と言うと、泣いちゃいそうなので、言い出せませんでした。

   

 気丈な雰囲気のアメリカの超美人ポリスには言えたのですけどね。

   

 オーダーカウンターでメニューを見ましたが、後ろに人が待っていたので、内容も見ないで、一番上のHaddockを注文しました。

   

 

   

 この店はセルフサービスではないので、テーブルに座って待っていると、さっきの別嬪さんが、お皿に盛り付けたフィッシュ&チップスを運んできて、ナイフとフォークをセットしてくれました。

   

   

 オオー、これなの! 

   

 フィッシュ&チップスにフォークを添えてナイフを入れると、サクッ、と音がしました。

 衣の中から新鮮な白身魚がホッコリと姿を見せました。

 白身から湯気が上がりました。

 食べる前に、期待で胸が膨らみます。

   

 一口食べて ヴ~ン 美味い! これは美味い!

 これがフィッシュ&チップスなんだ!!

   

 だったら、バーミンガムのあれは一体、何だったのでしょうか。

   

 メニューをもう一度確認しますと、有名なフィッシュ&チップス 創業1932年  と書いてありました。  大納得です。

   

    

 さて、さて、ラナークに来た本来の目的はと言えば、

 ラナークの隣のニューラナークに産業革命時に社会主義者ロバート・オーウェンが自らの理想を求めて建てた、紡績工場と労働者住宅の複合施設があります。

 この工場は世界遺産に登録されていますので、そこを見ることが主旨でした。

   

 

    

 しかし、どうなんでしょう。 この施設の価値はロバート・オーウェンの業績にあるのであって、建物にあるわけではないので、見ていても、「ああ、そうなんですね」 という感想が正直なところでした。

   

  

  

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

   

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

グラスゴー植物園で 何故?

2012-07-23 18:12:42 | イギリス一周 花の旅

 幸運なことに、グラスゴー植物園の裏手に路上駐車が可能な場所を見つけたので、安心して車を停めて、三脚を肩に、ザックを担いで植物園へと向かいました。

   

 入場は無料です。

   

   

 煉瓦作りの正門が北大植物園を思い出させます。

   

 雨が降っていて、光量不足なので、フィルムカメラの花の撮影は期待できません。

   

 早々に温室へ入りました。

   

 

 イギリスに来てまで、熱帯植物の写真を撮っても、あまり意味がないので、ザックリと見て帰ろうと考えました。

   

   

 結構大きな温室です。

 食虫植物やベゴニアなどを集めた部屋があります。

   

   

 各々の部屋に展示された植物は、特に珍しいものではなく、私の目を引くようなものはなかったのですが、

   

  スコットランドの荒野を見てきた目に、この温室の植物の多様性は、とてつもなく刺激的でした。

   

 

   

 イギリス人がこれ程までに、各都市に植物園を設け、世界中から多種多様な植物を収集した思いを、実感を伴って理解することができたのです。

   

 私は水と空の青一色に彩られた海や、雪景色などの白一色の風景に魅力を感じますので、色相のないヒースやムーアの景色を大いに楽しむことができました。

   

 しかし、荒涼たるスコットランドの曠野を走り続けたその後で、こうして豊穣な熱帯の植物の前に立つと、曠野に住む人々にとって、このような多彩な植物達がどれ程魅力的に見えるかを、理屈ではなくて、感覚として理解することができたのです。

   

 田を耕して稲を育てる民が水墨画を描き、草原に羊を追う民が色彩豊かな油絵を描くことは・・・ などと考えたくなります。 

   

 いずれにしても、山河や気候などの生活環境が、人々の考え方や嗜好に大きく影響を及ぼすことに間違いはなさそうです。 

   

   

    

 更に、温室に掲示してあったパネルに、

 この絵は何を描いた絵でしょうか?という問いかけがありました。

   

 

   

 隣のパネルには、

 「あなたはこの絵の主題が猿だと思いますか?

 植物はどうです? この絵から植物をなくせば砂漠となり、動物も住めなくなります。

 動物には植物が必要で、この絵から植物を取り去ることはできません。」

   

 と解説されていました。 

   

   

 更には、作物の品種改良の解説、等等

 幾つものパネルが掲示されていました。

    

    

 イギリス人が大航海時代から、何を考えて、世界中から植物を集めてきたのかを理路整然と理解することができました。

   

 温室に展示されていた熱帯植物は、今では日本の植物園の温室でも普通に見られる類のものです。

   

 しかし、植物を収集、育成することは、「好きだから」だけで、やっている訳ではないことも十分に理解することができました。

   

   

 グラスゴー植物園で私は、イギリス人の植物好きに共感を覚え、世界中に出て行って、植物を集めてきたイギリス人の哲学を見せてもらうことができました。

   

   

 そもそも、寛ぎや、植物鑑賞の機能だけではない植物園(Botanical garden)の概念はイギリスが発祥ではなかったでしょうか。

   

 

   

 グラスゴー植物園も、私にとって本当に収穫の多い訪問となりました。

 はるばるやって来た甲斐がありました。

  

  

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

スコットランド最大の都市へ

2012-07-23 15:48:47 | イギリス一周 花の旅

 幹線道路A83を走りつづけ、やがて建物の密集する街の橋を渡ると、水面に沢山のボートが浮かんでいました。

   

   

 昨日、今日と見てきた光景と趣が異なり、濃密な人の気配に溢れています。

 昨日のスコットランドの山と湖の夢から目覚めていない私の目には、全くの別世界のように映ります。

 

 そして、ボートが繋留されている横には鉄道の駅があり、電車が停っていました。

 簡単にホームに入ることができたので、まるで鉄道少年のように電車の前に廻ってパチリ、ついでに車内に入り込んでパチリ。

  

 一度ぐらい電車にも乗ってみたかったのですが、 オオッ! これって無賃乗車ですか?

   

   

 そして、この辺りで、名残惜しくも、スコットランドのハイランド地方とはお別れです。 

   

    

 今から真直ぐにグラスゴー(Glasgow)へ向かうと、植物園の開園時間前に着いてしまうので、時間調整を兼ねて、ペイズリー(Paisley)へ寄ってみることにしました。

   

 ペイズリーはペイズリー柄で有名な工業都市です。

  

   

 小雨が降っていましたが、街の中心部はそれ程広くなさそうだったのでコインパーキングに車を停めて、歩いて街を巡ってみました。

   

 

   

 ここの博物館は世界最大のペイズリー織のコレクションがあるとガイドブックに記載されていたのですが、残念、開館前でした。

     

 

   

  博物館と同じ建物の横が図書館で、扉が開いていましたので、何かあるかもしれないと思い、入ってみましたが、

   

 

   

 普通に本が並んでいるだけでした。

   

 しかし、天井が高い為か、二階まで書架が積み上がっている様子は日本では見かけない光景です。

   

   

   

 今こうして、旅の写真を見直してみると、花の旅とは言いながら、

 何だか、好奇心のままに「手当たり次第に」歩き回っているのがバレバレです。

    

   

 ペイズリーの町からグラスゴーは目と鼻の先です。

   

 私はてっきり、エジンバラがスコットランドで最大の都市だと思っていましたが、グラスゴーは人口75万5千人を擁し、スコットランドで最大なのだそうです。

   

 そして、いよいよ、そのグラスゴーの街へ入ってきました。

   

  

  

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

   

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

スコットランドの風と雲と

2012-07-23 12:36:40 | イギリス一周 花の旅

 インヴァレリー(Inveraray)から再びA83でグラスゴー(Glasgow)を目指します。

 街を離れ、道は山の中へ入って行きます。

  

     

 山肌には針葉樹が植林されていました。

 

 日本では、全国に植林が及んでいますが、イギリスでは稀に見かける程度です。

 イギリスの住居が99%石造りであることと、関連するのでしょうか。

 

 推論ですが、多くの農民が羊を飼うことを生業としたことが、草地を広げる為に森林の伐採を促し、それが、木材の不足と価格の高騰を呼び、石造りの街を導く遠因になったと考えたら如何でしょうか。

 

 石の住居が当たり前になれば、木材の需要が低下するので、林業が衰退し、イギリス全土から森林面積が減少したとすれば、今まで見てきた光景が矛盾なく説明できます。

 

 森は水を供給しますが、イギリスではメキシコ湾流が豊かな雨をもたらすので、森林の減少が深刻な水不足を招かなかったと考えます。

 

 こんなふうに、車窓からの風景を、パズルを一つ一つ解くように見る、面白い旅となりました。

 

 

    

 道路の脇に小さな湖がありました。

 ヤマゼリに似た白い花とキンポウゲに似た黄色い花が咲いていました。

   

   

 ジギタリスが陽の当たる斜面に花を咲かせていました。

   

   

 山から流れ出た清水が滝を作っています。

 すぐ傍の谷の底では、風を避けるようにして建つ、一軒の農家が見えます。

   

 

   

 道はやがて大きな湖の畔へ出てきました。

 しかし実は、これがクライド湾から20km以上も内陸へ切れ込んだ入江の最奥部で、正面がアロッチャー(Arrochar)の街です。

     

   

 ナビを確認すると、アロッチャーの先の鞍部を越えてローモンド湖畔(Loch Lomond)へ出るようです。

   

     

 ローモンド湖畔に出ると、湖上を強い風が吹き抜け、湖面は波打っていました。

    

   

 人間という動物は(自分のことですが)本当にわがままなのだと思います。

   

 昨日、晴天の下で、あんなに気持ち良くイギリス本島最北部をドライブして、とても幸せな一日だったのですが、スコットランドの「暗く立ち込める雲と、草を払うような風の中で黒いマントで立ち尽くす男」みたいなイメージも味わってみたいな~ と思っていたのです。

   

 今のローモンド湖はそんなイメージにピッタリ。

   

   

  風はビュンビュンですし、波は音を立てて渚に打ち寄せますし、小雨混じりの空はドラキュラでも出てきそうな雰囲気です。

   

 いいですね~。

 こんなチャンスを逃す手はないと、雨の中を傘も差さずに湖畔を歩いてみました。

   

 白いバラが咲いていました。園芸種ではなく、原種のように見えます。

   

  

 鴨が草の中に蹲っていました。

 イギリスの野鳥は人間を全く警戒しません。驚く程の距離まで近づくことができます。

   

   

 そして、ここでも小川に掛かる橋は石でできていました。

 

 人が手をかける全てのものが石造りです。

 

 「風が吹くと桶屋が儲かるように、イギリス本島へ吹きつける風と雲がもたらす雨が、過不足のない牧草を育て、それが巡り巡って石の文化を育んできたのではないか」と、一人納得する東洋からの旅行者を尻目に、鴨君は「一人で頷いていれば」と、全く相手にもしてくれませんでした。

  

  

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

貴婦人の町のデェービスさん

2012-07-22 21:35:11 | イギリス一周 花の旅

 今回の旅は全行程を車で移動しますので、計画の当初から、できるだけ車の特性を生かしたいと考えていました。

    

 複数の選択肢がある場合は、公共交通機関では行き難いルートを選択しました。

    

     

 グラスゴーに植物園があるので、今日は、そこは外せませんが、途中経路として公共交通機関で行き難い場所を探すと、インヴァレリー(Inveraray)という町が面白そうです。

     

 ナビにインヴァレリーと入力してスタートしましたが、幹線道路A82を走る途中で、ナビは右折して一般道B8074へ入るようにアナウンスしました。

   

   

 四桁の番号が付いた道路は初めてで、しかも道は砂利道です。

   

 ちょっと、戸惑いました。しかし、山の稜線が進行方向に向かって下がっています。

 目的地は海に面した町ですから、地形に矛盾はありません。

   

 道の轍はある程度の交通量があることを示しています。

   

 車のガソリンメーターも数百キロは走れることを保証しています。

   

 判断はGO。

 見通しが良くないので、対向車に注意してスピードを落します。

   

 誰か個人の庭へでも入って行きそうな雰囲気の道です。

   

   

 途中から右手に、道路に平行して川が流れ始めました。

 岩の露出した場所を、鉄分を含んだような色の水が流れていました。

   

   

 流れは穏やかで、小さな関を見かけました。

   

 鱒が岩影に潜んでいそうな雰囲気です。

   

   

 小さな川は、直ぐに幅を広げて川原を見せていました。

   

   

 対岸の山裾は放牧地です。

   

 こんな長閑な道を走っていると、肩から力が抜けていくような、寛ぎに満たされます。

 やっぱりドライブは、信号も標識もない田舎道が楽しい。

   

   

 牧草地に包まれた池の畔に古城跡を見かけました。

 いいな~、こんな景色 !

   

   

 15分程度だったでしょか、案ずるようなことも無く、また幹線道路A85に合流しました。

   

 こんな些細なことが、不思議と記憶に残ります。

   

   

 目的地のインヴァレリーの街はガイドブックに「ファイン湖畔の貴婦人」と紹介されています。

   

   

 確かに気品ある街並みでした。

  

 港の帆船アークティック・ペンギン号が船底を見せていました。

   

 干満の差がこんなにあるんですね、驚きです。

   

 この船は1911年から1965年まで灯台船として、その後は観光帆船として使われていたそうです。今は船上博物館となっています。

   

   

 まだ、朝が早いので、人気のない港は静寂に包まれていました。

   

   

 この町の鐘楼は第一次世界大戦で戦死した町民を追悼して、町の創設者が建てたもので、この鐘楼の鐘は8トンもあって、世界で二番目に重いそうです。

   

   

 私は今朝4時半から動き始めましたので、今はまだ7時半。街の商店は全て閉まっていました。

 たまたま一軒だけシャッターを開け始めたパン屋さんがあったので、朝食を求めて中に入りました。

   

    

 30代と思える店主の左腕に、日本語で「デェービス」と刺青が彫られていました。

 「おお、デェービスさん」と私が声を上げると、店主は「何で分かったの?」といった怪訝な顔をします。

   

 私が「何で日本語で彫ったの?」と聞くと、彼は「これは私の名前です」と答えました。

 (それは分かってますよ)

 しかし、会話がちぐはぐなので、私は「いいねー! (It's nice!)」と応じ、親指を立てて、笑顔で祝福してあげました。

   

 店主は、はにかんだ笑顔をみせて、「サンキュー」と嬉しそうでした。

   

 「ファイン湖畔の貴婦人」の住人は、朴訥で穏やかで、平和な日々のように見えます。

   

 このパン屋さんのサンドイッチで朝食を済ますと、私は再び次の町を目指しました。

   

   

   

 補足

  地球の歩き方の「スコットランド」にはファイン湖と記載されていますが、地図で確認すると、ファイン湖の地形は日本語では湾、ないしは入江に相当します。しかし、イギリスの地図を見ると、このような地形には、多くの場合「Loch」の名が付けられていました。

 辞書には「 Loch ; n.(スコットランド語)湖、入江 」 と記載されています。

 

   

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

  

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

スコットランドの山と谷

2012-07-22 15:37:28 | イギリス一周 花の旅

 フォート・ウイリアム(Fort William)で朝を迎えました。

     

 真っ赤な朝焼けに空が染まっています。 

 ということは、今日はあまりお天気が良くないのかもしれません。

  

   

 私は急いで出発の準備を整えると、車のエンジンをスタートさせました。

 

 フォート・ウイリアムはイギリス最高峰のベン・ネヴィス山(Ben Nevis 1355m)への登山口となっています。

   

 昨晩、通りすがりにその姿を確認したので、今朝は麓から、朝日の当たる山容をカメラで捉えようと考えていました。

   

 2~3キロ戻れば撮影ポイントが探せるだろうと考えたのですが、立木が邪魔で、思うようなポイント見つかりません。

   

 

 周囲をあたふたと走り廻っている時に、ピークが赤く染まってきました。

 

 しかし、それはほんの一瞬でした。

 次の瞬間に東の空の雲が光を遮り、瞬く間に山は平凡な表情に戻ってしまったのです。

 

 

 まあ、そんなものです。

 

 ちょこっと寄って、良い写真を撮ろうなんて、そんな都合の良いことが簡単にできるはずはありません。

 

 分かってはいるのですが、何事もチャレンジ。

 人生と同様、駄目でもともと、ダメモトです。

 

 

 再び、フォート・ウイリアムへ戻ると、港の様子や、鉄道ファン憧れのジャコバイト号という蒸気機関車が走るウエスト・ハイランド鉄道の始発駅を見学したり、もう二度と訪れることはないかもしれない街の様子を目に焼き付けました。

   

 

 

  

   

 街を離れると程なく、グレンコー(Glen Coe)渓谷へと入って行きます。

 

 この渓谷の絶景は、スコットランドの中でも3本指の中に入ると評されています。

   

   

  最初にビデアン・ナム・ビアン(Bidean nam Bian)が出迎えてくれました。

   

   

 麓に一軒の農家が見えます。

 

 

 しばらく進んで振り返れば、私は今、美しい渓谷のまただ中に居ることが確認できます。

 

 

   

 麗しい曲線が山裾をなす景観を楽しみながら、何度も路肩に車を停め、走りながらも手からカメラを放さず、シャッターを押し続けました。

   

 

 岩凌に分け入る道が、急斜面を登っています。

 

 

 渓谷の出口、曠野を目の前に見て、一軒の農家の姿を認めました。

 牧畜を生業とする人々の住処は、静かで孤独で、そして逞しくもあります。 

   

 

   

 この光景を見ていると、暖かい陽射しの中で、蛙鳴く田の傍に肩寄せ合って暮らす、陽出る國の民と、思考方法が異なるのは無理からぬことと思えてきました。

   

 美しい渓谷を抜けて、風の中に道は続き、

   

   

 ラノッホ湿原と名付けられた、湖沼の広がる光景の中へと進んできました。 

   

   

  

 そしてそこでも、ジギタリスのピンクの花群れが、静かな風の中に揺れていました。

 

 

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

 イギリス一周 花の旅  index 1 イギリス一周 花の旅  index 2

 

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )