昨日、11月10日はリメンブランス・サンデー Remembrance Sundayでした。
毎年、第一次世界大戦が終結した11月11日(1918年)に一番近い日曜日、レッド・ポピー・デイ Red Poppy Day とも言われます。午前中に英国全土とコモンウェルス、旧植民地の第一次、第二次大戦その他の紛争の戦没者を追悼する厳粛な式典があります。
軍関係者、王室メンバー、政府の要人、退役軍人などなどのものすごい数の人々が軍礼装や黒服でロンドン・セニタフ(戦没者慰霊塔)に集まって、赤いポピーの花輪をささげ、11時の黙とう、礼拝、長い長いパレードがあります。一部始終がテレビ放送されます。
これが終わると、「さあっ、クリスマスだ」と国中が公然と浮かれ立ちます。いえまだ1カ月半以上先なのですが...
ほんの10年ほど前までは、この日が終わるまではクリスマス気分で浮かれ立つのは不謹慎...みたいな雰囲気が確実にあったのですが...
今はもう、10月31日のハロウィーンが終わり次第「クリスマス商戦(日本的表現!)」のスイッチが入ってしまいます。
先週のストックポート、タウンセンターのショッピング・センター、マージー・ウェイ Merseyway のクリスマス飾りです。
浮かれ切った、クリスマスツリーと記念写真用のサンタクロースの帽子をかぶったクマさんベンチ、天井から下がるプレゼント(いずれも日暮れをすぎれば電飾できらめくはずです)の脇では...
リメンブランス・サンデーにむけて、レッド・ポピー募金のキャンペーンが展開されています。勲章をいっぱいつけた退役軍人が素朴な紙製やピンバッジの赤いポピーを販売して戦没軍人の遺族や、傷痍軍人を支援する基金を募っています。
毎年この時期になるとストックポート日報で記事にしている戦没者追悼行事に関して、私はあまり興味はありません。ただ、季節感を重んじる日本人の私にとって英国の季節の節目として意味があります。
ショーウィンドウのハロウィーンの飾りつけを見て深まる秋を、ボンファイヤ・ナイト(11月5日)の花火の音で夜の長い冬がもうそこまで来ていることを、10月の半ばごろから始まるレッド・ポピーのキャンペーンはリメンブランス・デイが近いことを、リメンブランス・デイが終われば、もう冬だ、クリスマス!!(うんざり)...を実感できます。
マージーウェイの入り口です。
...生木のクリスマスツリーは12月の最初の週末前にそえ付けられることが多いですね。伐ってきた木は早すぎると1月6日のエピファニー(クリスマス飾りをかたづける日)まで保たないのでしょう。
いちばん最初の写真は、マージーウェイ名物の、やはり記念撮影用の季節に合わせて飾り付けられるスイング・ベンチ(ブランコ)です。すわってセルフィーを撮るのがはばかられる重々しさです。
シルエットのモチーフは、有名な絵画からとった戦友の墓に黙とうをささげる第一次大戦の従軍兵士です。戦没兵士への追悼のシンボルになっているイメージです。(重い...)
スイング・ベンチの後ろの書店のショーウィンドウに本棚のイラストがプリントされた白い覆いがかかっていますね。追悼の思いに敬意を表して右隣のウィンドウのような浮かれたクリスマス・ディスプレイを隠しているのでしょう。
先月、家族でマンチェスターに行った時に撮った写真です。
松葉づえの将校に導かれ列になって堤防の上を歩く、ドイツ軍のマスタード・ガス(世界初の化学兵器)で失明した英軍兵士のブロンズ群像です。これも有名な絵画からの題材です。
2,019年の第一次大戦終結100周年を記念してマンチェスター・ピカディリー駅正面に設置された永久展示です。春夏秋冬1年中、マンチェスターを訪れる人々の気分をドンと重くしてくれる重厚なメッセージ...。「反戦」ではありません。何だろう?「犠牲の尊さをかみしめる」ようなことでしょうか。ここになくてもいいような気がするのですが...
この時期、赤いポピーの花輪でも首からかけられているのではないでしょうか。