伝統構法を長期優良住宅に応用する作業を行っています。
在来工法の耐震、耐久性を高めた長期優良住宅が主流となっていますが、伝統構法と在来工法、長期優良住宅の違いについておさらいをしておきましょう。
在来(軸組)工法
明治時代から西洋より輸入された簡易工法。
プレハブ等、短期間に仕上げる家屋用に高度経済成長期に普及した。
金物によって接合部を補強。耐久性は金物に左右される。
(いままでの耐久年数は平均35年)
プレカットにより加工の手間がはぶけることでコストダウンが図れる。
長期優良住宅
住宅性能表示の最高レベルを要求する耐震、耐久性、省エネルギー性に優れた住宅。
耐久年数は60年。
在来工法を住宅性能表示で最高レベルに上げれば長期優良住宅になります。
超長期優良住宅
長期優良住宅の耐久性を更に高めた超寿命住宅。
建設と同時に長期間の管理、保守の計画の必要あり。
福田内閣の時期に「200年住宅構想」が打ち立てられたのがはじまり。
実際の耐久性は100年が限度。(管理は60年以上)
伝統構法
日本古来からある建築物の構法。
長年の経験により、地震国日本に合わせた構法に進化しています。
(雪国では、耐雪住宅の特徴も併せ持っています)
金物を使わず、木を組み合わせた建物の耐久性は100年以上。
(築200年や300年の古民家もあります)
地元にある山の木を巧みに活かすことができる。
高度な技術が必要。
番外
伝統的軸組工法
在来工法に伝統構法の要素を取り入れたもの?
瑕疵担保履行法をクリアしなければならないため、通常の設計レベルでは金物を使う。(耐久性は金物に左右されるため在来工法と同じ?)
国交省や住木センターで、データを集めている最中なので実際の導入には、まだ時期が早いようです。
長期優良住宅の場合、構造的にクリアしなければならないのは住宅性能表示の耐震等級3、耐風等級2です。
通常、建築基準法をクリアする建物でなければ、確認申請は降りません。
住宅性能表示の「耐震等級1」は建築基準法と同等のレベルです。
よって、「耐震等級2、3」は建築基準法よりも強い建物の構造でなければなりません。
耐震等級といっても、2種類あります。
・構造躯体の倒壊防止
・構造躯体の損傷防止
です。
構造躯体の倒壊防止の耐震等級の定義は・・
「耐震等級1」(建築基準法程度)
極めて稀に発生する地震よる力に対して倒壊、崩壊等をしない程度。
気象庁の震度階で震度6強~7程度
(関東大震災において東京で発生した地震の揺れに相当)
「耐震等級2」
極めて稀に発生する地震の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等をしない程度。
「耐震等級3」
極めて稀に発生する地震の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等をしない程度。
構造躯体の損傷防止の耐震等級の定義は
「耐震等級1」(建築基準法程度)
稀に発生する地震よる力に対して構造躯体に大規模な工事を伴う修復が必要となる著しい損傷が生じないこと。(構造上の強度に影響の無い軽微なひび割れの発生などは損傷に含まれません)
稀に発生する地震は気象庁の震度階で震度5強に相当
「耐震等級2」
稀に発生する地震の1.25倍の力に対して損傷を生じない程度。
「耐震等級3」
稀に発生する地震の1.5倍の力に対して損傷を生じない程度。
実際の構造チェックは、倒壊防止と損傷防止を同時に行うので、等級の表示は同じになります。
以上をふまえて、長期優良住宅の設計を行っていきます。
今までの長期優良住宅は在来工法を強化した形となっていますが、ここで検討していくのは、伝統構法を応用した長期優良住宅です。
伝統構法自体、超寿命住宅なのですが、数値的に見ると基準法をクリアする程度でしか建設は不可能です。(金物を使わないため)
伝統構法+金物による補強
により住宅性能表示を示すことが出来、数値化することが可能となりますが、できるだけ金物を使わずに、木を傷めずに実現したいところです。
また、金物を使う場合でも、どのように入れるべきか・・在来工法とは全く違った方向から長期優良住宅をとらえていこうと思います。
関連記事
通し柱と梁、桁の仕口 傾木大入短ホゾ差しの検討
長期優良住宅へ・・・
もくじへ・・
在来工法の耐震、耐久性を高めた長期優良住宅が主流となっていますが、伝統構法と在来工法、長期優良住宅の違いについておさらいをしておきましょう。
在来(軸組)工法
明治時代から西洋より輸入された簡易工法。
プレハブ等、短期間に仕上げる家屋用に高度経済成長期に普及した。
金物によって接合部を補強。耐久性は金物に左右される。
(いままでの耐久年数は平均35年)
プレカットにより加工の手間がはぶけることでコストダウンが図れる。
長期優良住宅
住宅性能表示の最高レベルを要求する耐震、耐久性、省エネルギー性に優れた住宅。
耐久年数は60年。
在来工法を住宅性能表示で最高レベルに上げれば長期優良住宅になります。
超長期優良住宅
長期優良住宅の耐久性を更に高めた超寿命住宅。
建設と同時に長期間の管理、保守の計画の必要あり。
福田内閣の時期に「200年住宅構想」が打ち立てられたのがはじまり。
実際の耐久性は100年が限度。(管理は60年以上)
伝統構法
日本古来からある建築物の構法。
長年の経験により、地震国日本に合わせた構法に進化しています。
(雪国では、耐雪住宅の特徴も併せ持っています)
金物を使わず、木を組み合わせた建物の耐久性は100年以上。
(築200年や300年の古民家もあります)
地元にある山の木を巧みに活かすことができる。
高度な技術が必要。
番外
伝統的軸組工法
在来工法に伝統構法の要素を取り入れたもの?
瑕疵担保履行法をクリアしなければならないため、通常の設計レベルでは金物を使う。(耐久性は金物に左右されるため在来工法と同じ?)
国交省や住木センターで、データを集めている最中なので実際の導入には、まだ時期が早いようです。
長期優良住宅の場合、構造的にクリアしなければならないのは住宅性能表示の耐震等級3、耐風等級2です。
通常、建築基準法をクリアする建物でなければ、確認申請は降りません。
住宅性能表示の「耐震等級1」は建築基準法と同等のレベルです。
よって、「耐震等級2、3」は建築基準法よりも強い建物の構造でなければなりません。
耐震等級といっても、2種類あります。
・構造躯体の倒壊防止
・構造躯体の損傷防止
です。
構造躯体の倒壊防止の耐震等級の定義は・・
「耐震等級1」(建築基準法程度)
極めて稀に発生する地震よる力に対して倒壊、崩壊等をしない程度。
気象庁の震度階で震度6強~7程度
(関東大震災において東京で発生した地震の揺れに相当)
「耐震等級2」
極めて稀に発生する地震の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等をしない程度。
「耐震等級3」
極めて稀に発生する地震の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等をしない程度。
構造躯体の損傷防止の耐震等級の定義は
「耐震等級1」(建築基準法程度)
稀に発生する地震よる力に対して構造躯体に大規模な工事を伴う修復が必要となる著しい損傷が生じないこと。(構造上の強度に影響の無い軽微なひび割れの発生などは損傷に含まれません)
稀に発生する地震は気象庁の震度階で震度5強に相当
「耐震等級2」
稀に発生する地震の1.25倍の力に対して損傷を生じない程度。
「耐震等級3」
稀に発生する地震の1.5倍の力に対して損傷を生じない程度。
実際の構造チェックは、倒壊防止と損傷防止を同時に行うので、等級の表示は同じになります。
以上をふまえて、長期優良住宅の設計を行っていきます。
今までの長期優良住宅は在来工法を強化した形となっていますが、ここで検討していくのは、伝統構法を応用した長期優良住宅です。
伝統構法自体、超寿命住宅なのですが、数値的に見ると基準法をクリアする程度でしか建設は不可能です。(金物を使わないため)
伝統構法+金物による補強
により住宅性能表示を示すことが出来、数値化することが可能となりますが、できるだけ金物を使わずに、木を傷めずに実現したいところです。
また、金物を使う場合でも、どのように入れるべきか・・在来工法とは全く違った方向から長期優良住宅をとらえていこうと思います。
関連記事
通し柱と梁、桁の仕口 傾木大入短ホゾ差しの検討
長期優良住宅へ・・・
もくじへ・・