住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

タタミと和

2017-09-12 01:33:38 | 建築設計

私が住宅を設計する時、畳のある和のスペースを取り入れることが多いです。設計するにあたり、敷地や建築可能な空間、はたまた可能な資金を潤沢に持つというケースは少なく、敷地、建築可能範囲や、建築資金と、何らかの制限がある場合がほとんど。

空間に関しては、限られた空間を大きく使おうと、一つ大きなまとまった空間にするのも一つであるが、むしろそういう時こそ、一角に小さくてもタタミスペースの起用をおすすめしてます。

家族団欒の居間であり、食堂にもなる。タタミがムシロなどを「タタム」事が語源であるとすれば、(移動可能な)寝具の延長として寝室にもなる、そして何より、ごろごろできる~本も読める~瞑想もできる!? もちろん柔らかく仕切った襖や障子を開ければ大きな一つの空間にもなる。

畳スペースの空間がもっている多機能性が、限られた空間の中では生きると思うのです。

「どうも和っぽいイメージは我が家には合わないな~」そう考える人も多いと思います。

しいて言えば、和室だから和風という考えは古いと思います。洋風化したといわれる住空間にあったタタミスペースがあると思うのです。

 

リビングとの仕切りは雪見障子を折戸にしました。畳とフローリングの間には板の間があります。そこに椅子のように腰かけられたり、寝転がれたり出来る中間領域の濡れ縁のイメージ「     有楽の家」

 襖は明るくポップな金色の蜜蜂柄です。引手は同じく金色に塗られたもの。蜜がしたたるお花畑のイメージです。この壁紙は外側の壁紙と同じ、イギリスの職人の手作業によるもの

 

コルクタイルの上で靴の生活をする空間にとって、この小上がりな空間こそが「土間と縁側」(吉谷さん談)

空間の関係性で和と洋の融合をこころみました。(2004年設計の吉谷桂子邸 )

(写真は雑誌「ミセス」2006年 NO.622号)

こちらは近代建築を支えたコンクリートという素材と和の融合。このタタミ自体が縁側的なコンセプトで、部屋にいながら外の一部にいるような、庭と一体化した空間を表現しました。(2002年竣工の戸田邸)

尚、冒頭に紹介しました「有楽の家」が、下記URLに紹介されてます。

https://www.homify.jp/ideabooks/3846503/%E3%81%B5%E3%81%99%E3%81%BE%E3%82%82%E9%83%A8%E5%B1%8B%E3%81%AE%E3%83%87%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%EF%BC%81