学校における働き方改革に係る緊急提言
ここから http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/siryo/__icsFiles/afieldfile/2017/09/01/1395044_2.pdf
【緊急提言】
1.校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
2.全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと
3.国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること
1.校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
教員が授業や授業準備等に集中し,教育の質を高められる環境を構築することは,
21世紀を生き抜く子供たちに必要な資質・能力を高める教育を一層行っていくた
めに必要不可欠である。その際,学校運営の持続可能性を高める観点からは,教員
が疲労や心理的負担を過度に蓄積して心身の健康を損なうことのないよう,執務環
境を整備し,無制限無定量の勤務を是とするのではなく,限られた時間の中で最大
限の効果を上げられるような働き方を進める必要がある。
このため,特に,校長や服務監督権者である教育委員会は,教職員の意識改革を
図るためにも以下の取組を一層進めるとともに,給与負担者である教育委員会並び
に国は,積極的に指導助言及び支援すべきである。
① 業務改善を進めていく基礎として,適切な手段により管理職も含めた全ての
教職員の勤務時間を把握すること。勤務時間管理は,労働法制上,校長や服務
監督権者である教育委員会に求められている責務である。出退勤時刻の管理に
ついてタイムカードや校務支援システム等を導入する学校が増加しているもの
の,文部科学省が実施した「教員勤務実態調査(平成28年度)(速報値)」によ
れば,教員の毎日の退勤時刻の管理について「タイムカードなどで退勤の時刻
を記録している」と回答した学校は小学校で10.3%,中学校で13.3%,「校務
支援システムなどICTを活用して退勤の時刻を記録している」と回答した学
校は小学校で16.6%,中学校で13.3%にとどまっており,いまだ限定的である。
こうした実態も踏まえ,服務監督権者である教育委員会は,自己申告方式では
なく,ICTやタイムカードなど勤務時間を客観的に把握し,集計するシステ
ムが直ちに構築されるよう努めること。
② 教職員の休憩時間を確保すること。その上で,学校の諸会議や部活動等につ
いて勤務時間を考慮した時間設定を行うこと。教員の勤務時間外における保護
者や外部からの問合せに対応するため,服務監督権者である教育委員会は,緊
急時の連絡に支障がないよう教育委員会事務局等への連絡方法は確保した上
で,留守番電話の設置やメールによる連絡対応をはじめとした体制整備のため
の支援を講じること。部活動の適切な運営について,教員の負担軽減や生徒の
発達を踏まえた適切な指導体制の充実に向けて,休養日を含めた適切な活動時
間の設定を行うとともに,部活動指導員の活用や地域との連携等必要な方策を
講じること。長期休暇期間においては一定期間の学校閉庁日の設定を行うこと。
また,こうした点について,PTA等の協力も得ながら,保護者や地域住民等
の理解を得るための取組を進めること。
③ 管理職の役割分担を明確にするとともに,組織管理や時間管理,健康安全管
理等のマネジメント研修を充実し,意識改革と実践力の向上を図ること。
2.全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと
学校の業務・教職員の業務が非常に多岐にわたり,業務負担が増大している中で,
今後,本特別部会においても学校の業務や教職員の業務の範囲の明確化を行い,教
職員が本来業務に集中できるような体制の検討を進める。あわせて,各教育委員会
・各学校においては既に業務改善を進めているところもあるが,特に,以下の取組
については,国及び地方公共団体において改めて積極的に進めていくべきである。
① 文部科学省が実施した「教育委員会における学校の業務改善のための取組状
況調査(平成29年度)(速報値)」によれば,所管する学校に対する業務改善方
針・計画等について,策定していると回答した教育委員会が都道府県で85.1%,
政令市で55.0%,市区町村で7.6%にとどまっている状況である。学校における
業務改善のためには教育委員会における取組が不可欠であるため,教育委員会
は強い危機意識を持ち,学校現場とともに取り組む姿勢を示すべく,早急に所
管する学校に対する,時間外勤務の削減に向けた業務改善方針・計画を策定す
ること。
② 統合型校務支援システムの導入促進を図り,指導要録への記載など学習評価
をはじめとした業務の電子化による効率化などを図るとともに,ICTを活用
し,教材の共有化を積極的に進めること。その際,都道府県と域内の市区町村
との連携により,都道府県単位での統合型校務支援システムの共同調達・運用
に向けた取組を推進することが重要である。
③ 文部科学省が実施した「教育委員会における学校の業務改善のための取組状
況調査(平成29年度)(速報値)」によれば,教育委員会から学校に対して行っ
ている調査・報告依頼の一か月間(調査対象:平成29年3月)のおおむねの案
件数について,都道府県で46.8%,政令市で60.0%,市区町村で26.4%の教育
委員会が,30件以上と回答している。文部科学省を中心に学校を対象として行
う定期的な調査の精選を進めてきたが,国及び地方公共団体等においては,調
査のみならず,学校に対する依頼・指示等について整理・把握し,その精選及
び合理化・適正化を進めること。
④ 地方公共団体は,給食費の公会計化を進めるとともに,給食費をはじめとす
る学校徴収金について,口座振替納付等による徴収,教育委員会の責任の下,
地域や学校の実情に応じて事務職員等を活用しながらの未納金の督促の実施等,
教員の業務としないよう直ちに改善に努めること。
⑤ 本年4月に学校教育法等が一部改正され,事務職員の職務規定が見直された
趣旨を踏まえ,副校長・教頭,教員と事務職員との間での業務の連携や分担の
在り方を見直す等,事務職員を活用することで事務機能の強化,業務改善の取
組を推進するよう努めること。
3.国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること
学校における働き方改革を進めるためには,各教育委員会・各学校の働き方改革を
推進する取組とともに,環境整備のための支援も必要不可欠である。
このため,関係団体等のヒアリング結果や本特別部会も含めた中央教育審議会にお
ける意見も踏まえ,以下に掲げるような支援策を早急に講じられるよう,平成30年度
予算において取り組むべきである。
① 学校・教職員の勤務時間管理及び業務改善の促進
・学校現場の業務改善を加速するための実証研究やアドバイザー派遣の充実や
これらを通じた好事例の収集・発信及び普及啓発
・統合型校務支援システムの導入促進
・コミュニティ・スクールや地域学校協働活動等を通じた学校教育の質の向上
及び学校支援の充実
・給食費をはじめとする学校徴収金の公会計化の促進及び徴収・管理業務の負
担軽減に向けた調査研究
・地域の判断による年間を通じた業務の平準化への対応を含めた環境の改善の
ための空調設置等の施設整備の促進
② 「チームとしての学校」の実現に向けた専門スタッフの配置促進等
・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーについて,課題を抱え
る学校への重点配置を含めた配置の促進,質の向上及び常勤化に向けた調査
研究
・多様なニーズのある児童生徒に応じた指導等を支援するスタッフの配置促進
・教員の事務作業(学習プリント印刷や授業準備等)等をサポートするスタッ
フの配置促進
・部活動指導員の配置促進及び部活動の運営に係る指針の作成
・スクールロイヤーの活用促進に向けた体制の構築
③ 学校の指導・運営体制の効果的な強化・充実
・教員1人当たり担当授業時数の軽減とそれに伴う授業準備の充実に向けた小
学校における専科教員や中学校における生徒指導担当教員の充実(特に,小
学校の中・高学年において授業時数が週1コマ相当増加する新学習指導要領
の全面実施に向けた対応)
・校長や副校長・教頭等の事務関係業務の軽減に有効な主幹教諭・事務職員な
どの充実による学校運営体制の強化
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【緊急提言】
1.校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
2.全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと
3.国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること
1.校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
教員が授業や授業準備等に集中し,教育の質を高められる環境を構築することは,
21世紀を生き抜く子供たちに必要な資質・能力を高める教育を一層行っていくた
めに必要不可欠である。その際,学校運営の持続可能性を高める観点からは,教員
が疲労や心理的負担を過度に蓄積して心身の健康を損なうことのないよう,執務環
境を整備し,無制限無定量の勤務を是とするのではなく,限られた時間の中で最大
限の効果を上げられるような働き方を進める必要がある。
このため,特に,校長や服務監督権者である教育委員会は,教職員の意識改革を
図るためにも以下の取組を一層進めるとともに,給与負担者である教育委員会並び
に国は,積極的に指導助言及び支援すべきである。
① 業務改善を進めていく基礎として,適切な手段により管理職も含めた全ての
教職員の勤務時間を把握すること。勤務時間管理は,労働法制上,校長や服務
監督権者である教育委員会に求められている責務である。出退勤時刻の管理に
ついてタイムカードや校務支援システム等を導入する学校が増加しているもの
の,文部科学省が実施した「教員勤務実態調査(平成28年度)(速報値)」によ
れば,教員の毎日の退勤時刻の管理について「タイムカードなどで退勤の時刻
を記録している」と回答した学校は小学校で10.3%,中学校で13.3%,「校務
支援システムなどICTを活用して退勤の時刻を記録している」と回答した学
校は小学校で16.6%,中学校で13.3%にとどまっており,いまだ限定的である。
こうした実態も踏まえ,服務監督権者である教育委員会は,自己申告方式では
なく,ICTやタイムカードなど勤務時間を客観的に把握し,集計するシステ
ムが直ちに構築されるよう努めること。
② 教職員の休憩時間を確保すること。その上で,学校の諸会議や部活動等につ
いて勤務時間を考慮した時間設定を行うこと。教員の勤務時間外における保護
者や外部からの問合せに対応するため,服務監督権者である教育委員会は,緊
急時の連絡に支障がないよう教育委員会事務局等への連絡方法は確保した上
で,留守番電話の設置やメールによる連絡対応をはじめとした体制整備のため
の支援を講じること。部活動の適切な運営について,教員の負担軽減や生徒の
発達を踏まえた適切な指導体制の充実に向けて,休養日を含めた適切な活動時
間の設定を行うとともに,部活動指導員の活用や地域との連携等必要な方策を
講じること。長期休暇期間においては一定期間の学校閉庁日の設定を行うこと。
また,こうした点について,PTA等の協力も得ながら,保護者や地域住民等
の理解を得るための取組を進めること。
③ 管理職の役割分担を明確にするとともに,組織管理や時間管理,健康安全管
理等のマネジメント研修を充実し,意識改革と実践力の向上を図ること。
2.全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと
学校の業務・教職員の業務が非常に多岐にわたり,業務負担が増大している中で,
今後,本特別部会においても学校の業務や教職員の業務の範囲の明確化を行い,教
職員が本来業務に集中できるような体制の検討を進める。あわせて,各教育委員会
・各学校においては既に業務改善を進めているところもあるが,特に,以下の取組
については,国及び地方公共団体において改めて積極的に進めていくべきである。
① 文部科学省が実施した「教育委員会における学校の業務改善のための取組状
況調査(平成29年度)(速報値)」によれば,所管する学校に対する業務改善方
針・計画等について,策定していると回答した教育委員会が都道府県で85.1%,
政令市で55.0%,市区町村で7.6%にとどまっている状況である。学校における
業務改善のためには教育委員会における取組が不可欠であるため,教育委員会
は強い危機意識を持ち,学校現場とともに取り組む姿勢を示すべく,早急に所
管する学校に対する,時間外勤務の削減に向けた業務改善方針・計画を策定す
ること。
② 統合型校務支援システムの導入促進を図り,指導要録への記載など学習評価
をはじめとした業務の電子化による効率化などを図るとともに,ICTを活用
し,教材の共有化を積極的に進めること。その際,都道府県と域内の市区町村
との連携により,都道府県単位での統合型校務支援システムの共同調達・運用
に向けた取組を推進することが重要である。
③ 文部科学省が実施した「教育委員会における学校の業務改善のための取組状
況調査(平成29年度)(速報値)」によれば,教育委員会から学校に対して行っ
ている調査・報告依頼の一か月間(調査対象:平成29年3月)のおおむねの案
件数について,都道府県で46.8%,政令市で60.0%,市区町村で26.4%の教育
委員会が,30件以上と回答している。文部科学省を中心に学校を対象として行
う定期的な調査の精選を進めてきたが,国及び地方公共団体等においては,調
査のみならず,学校に対する依頼・指示等について整理・把握し,その精選及
び合理化・適正化を進めること。
④ 地方公共団体は,給食費の公会計化を進めるとともに,給食費をはじめとす
る学校徴収金について,口座振替納付等による徴収,教育委員会の責任の下,
地域や学校の実情に応じて事務職員等を活用しながらの未納金の督促の実施等,
教員の業務としないよう直ちに改善に努めること。
⑤ 本年4月に学校教育法等が一部改正され,事務職員の職務規定が見直された
趣旨を踏まえ,副校長・教頭,教員と事務職員との間での業務の連携や分担の
在り方を見直す等,事務職員を活用することで事務機能の強化,業務改善の取
組を推進するよう努めること。
3.国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること
学校における働き方改革を進めるためには,各教育委員会・各学校の働き方改革を
推進する取組とともに,環境整備のための支援も必要不可欠である。
このため,関係団体等のヒアリング結果や本特別部会も含めた中央教育審議会にお
ける意見も踏まえ,以下に掲げるような支援策を早急に講じられるよう,平成30年度
予算において取り組むべきである。
① 学校・教職員の勤務時間管理及び業務改善の促進
・学校現場の業務改善を加速するための実証研究やアドバイザー派遣の充実や
これらを通じた好事例の収集・発信及び普及啓発
・統合型校務支援システムの導入促進
・コミュニティ・スクールや地域学校協働活動等を通じた学校教育の質の向上
及び学校支援の充実
・給食費をはじめとする学校徴収金の公会計化の促進及び徴収・管理業務の負
担軽減に向けた調査研究
・地域の判断による年間を通じた業務の平準化への対応を含めた環境の改善の
ための空調設置等の施設整備の促進
② 「チームとしての学校」の実現に向けた専門スタッフの配置促進等
・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーについて,課題を抱え
る学校への重点配置を含めた配置の促進,質の向上及び常勤化に向けた調査
研究
・多様なニーズのある児童生徒に応じた指導等を支援するスタッフの配置促進
・教員の事務作業(学習プリント印刷や授業準備等)等をサポートするスタッ
フの配置促進
・部活動指導員の配置促進及び部活動の運営に係る指針の作成
・スクールロイヤーの活用促進に向けた体制の構築
③ 学校の指導・運営体制の効果的な強化・充実
・教員1人当たり担当授業時数の軽減とそれに伴う授業準備の充実に向けた小
学校における専科教員や中学校における生徒指導担当教員の充実(特に,小
学校の中・高学年において授業時数が週1コマ相当増加する新学習指導要領
の全面実施に向けた対応)
・校長や副校長・教頭等の事務関係業務の軽減に有効な主幹教諭・事務職員な
どの充実による学校運営体制の強化