茂庭忠次郎／ものづくり中部の革新者たちⅢ

2022-10-25 06:40:18 | ものづくり・まちづくり

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　茂庭忠次郎を紹介します。

去る2022（令和４）年９月10日（土）に名古屋都市センター（金山南ビル内）　11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展での学びを振り返ります。

ここから　http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

今回は、茂庭忠次郎　患者に池を玉成す　-名古屋下水道の礎を築く一　

3.基盤づくり産業教育 (3)
茂庭忠次郎 (1880　1950)

■その生涯
茂庭忠次郎は、1880年、仙台市に生まれる。宮城中学校の修学旅行で監督教官の不穏当な処置にストライキを指導したことで、無期停学となり退学した。茂庭の人間性を表し、正義感が強く、喧嘩早い一面娑婆気も大きかった。 1901年、東京帝国大学工科大学土木工学科に入学、同郷の先輩中島鋭治の衛生工学を大学院で専攻、中島との師弟の絆は生涯を貫くことになる。
中島に東京市下水道設計調査主任に推されて、 1904~1907年まで東京市の創設下水道の計画、設計に参画し、衛生工学を駆使した。東京市下水道計画は、わが国の下水道の草分けで、開拓した一人である。東京市で実務体験をした茂庭は、中島の推挙で1907年、名古屋市水道技師に赴任、工務課長兼下水管製作所長、下水道布設事務所長、 1917年退職。名古屋市時代の茂庭は、創生期の下水道を実質的に計画し基礎を固めた。 1918年、内務省技師となる。 1927年、顧問業として80都市を指導した。 1950年2月、逝去。

■分流式かと合流式かで上司と衝突
茂庭は名古屋に赴任早々、汚水・雨水の排除方式で上司の上田敏郎技師長の分流案か合流案かで衝突した。その
違いは、分水法 (分流式) の雨水は在来の溝渠 (水を流すみぞ)
を修築利用し、汚水管だけを築造しようした。混水法 (合流式)
は汚水・雨水の完全に排除して、在来の溝渠は地中に埋没して
市の面目を一新させることができる。茂庭の自叙伝に「上司上
田はバルトンの分流式を踏襲し、在来溝渠は雨水を完全に排除
する能力を備えるもの殆ど皆無、分流式は本市の実情に適さ
ず、顧問の中島博士と協議して合流式に改めた。工費の莫大な
る増額と上田技師長の立場とにより容易に決せず」「上田技師
長と共に上京し中島顧問と内務省当局の断を求めた。余の主張
入れられて合流式に変更、工事費減額のため鉄筋混凝土管の
研究開発で苦労した。患苦は池を玉成す”」と述べている。

■ヒューム管の先駆けの鉄筋混凝土管の研究で博士号
1908年3月、鉄筋混凝土管試作場が伊勢山町に設置され、本格的に実施された。茂庭の研究と実験の成果は1909年2月発行の工学会誌に「鉄筋混凝土下水管荷重試験成績」と題して発表された。鉄筋混凝土管は1910年から使用され始めた。茂庭は、鉄筋混凝土管の試作、強度試験、鉄筋混凝土管の寸法、鉄筋量の節減、中厚土管の採用など実施して工費を縮減した。 1919年に鉄筋混凝土管の研究論文「名古屋市下水道工事、特ニソノ用材二就
キテ」で工学博士号を受けた。ヒューム管の先輩格である鉄筋混凝土管の内径4.5尺 (136cm)以上のエ場製作管はどの国でもつくられておらず世界的
コードとなり、各都市の下水道に採用されるようになった。また下水管の陶管は不統一であったので、寸法・形状・品質・強度など規格化した。全国で初めての下水道用陶管の規格となり、規格の統一を業界と話し合って決めるなど歴史的に評価された.
(大橋公雄)

2024年12月
日	月	火	水	木	金	土
1	2	3	4	5	6	7
8	9	10	11	12	13	14
15	16	17	18	19	20	21
22	23	24	25	26	27	28
29	30	31

アクセス
閲覧	7,409	PV
訪問者	1,065	IP
トータル
閲覧	19,889,248	PV
訪問者	3,672,270	IP
ランキング
日別	333	位
週別	385	位

社楽の会の運営者によるブログです。社会科に関する情報などを発信します。

ものづくり中部の革新者たちⅢ より 茂庭忠次郎を紹介します。

2016年度 第12回パネル展 東海の綿織物・毛織物と産業遺産

コメントを投稿

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　茂庭忠次郎を紹介します。

2016年度第12回パネル展　東海の綿織物・毛織物と産業遺産