まずは引用します。
---------以下引用---------
【オスロ=大内佐紀】ノルウェーのノーベル賞委員会は8日、2010年のノーベル平和賞を、「中国における人権のため、長年にわたり非暴力的闘争を行っている功績」があったとして、中国で服役中の民主活動家・劉暁波(りゅうぎょうは)氏(54)に授与すると発表した。
1989年の天安門事件後、中国国内で共産党一党独裁を批判し、民主化を要求し続けてきた同氏への授与は、同委として、中国に対し、政治改革を強く求めたことを意味する。国際社会では劉氏釈放を求める声が高まっている。
同委のトールビョルン・ヤーグラン委員長は記者会見で、「中国は新しい地位に見合った責任を果たさねばならない」と、「責任ある大国」としての行動を促した上で、「中国は多くの国際協定や政治の自由を認めた自国の憲法にさえ違反している」と言論や集会の自由を認めた中国憲法第35条を引き合いに出した。
一方、中国政府から、劉氏に授与しないよう事前に圧力をかけられたことを確認し、不快感を表明した。
委員長は、劉氏を「中国内外における、人権への闘争のシンボル」とたたえた。
同委は、共産党政権が民主化運動を武力弾圧した天安門事件が起きた89年には、チベット仏教最高指導者で、インドに亡命中のダライ・ラマ14世に同賞を授与した。
文学者で詩人でもある劉氏は、同事件当時の民主化運動に身を投じた後、繰り返し投獄された。北京五輪が開かれた2008年、インターネットを通じて世界に大きな反響を呼んだ「08憲章」の起草で中心的な役割を果たした。
「社会主義制度の打倒を企てた」などとして、09年に逮捕され、今年2月に国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決が確定、現在、東北部・遼寧省内の刑務所で服役している。
劉氏の妻、劉霞さん(49)は受賞決定に先立つ6日、自宅のある北京で、本紙などに対し、「中国政府は夫のペンの力を恐れ、自分たちが権力を失うことを怖がっている」と述べた。
授賞式はノーベルの命日にあたる12月10日にオスロ市庁舎で開かれる。委員長によると、劉氏はおろか妻の霞さんにも連絡が取れない状況になっている。劉氏は自らの受賞を知らされていないとみられる。賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億2400万円)。
(2010年10月9日01時42分 読売新聞)
--------引用終わり--------
産経新聞の9月30日の社説に、平和賞に圧力 「無理押し」大国の異様さ とありました。
国内でいち早く指摘したこの社説の全文を引用します。
---------以下引用---------
ノーベル賞発表の季節を控え、中国がノーベル平和賞の受賞者選考に圧力をかけていることが明らかになった。無理を通して道理を引っ込めるような姿勢を強める中国の外交スタイルと、国内の人権弾圧を如実に表す行動というべきだろう。
10月8日に発表が予定されるノーベル平和賞には、過去最多の237個人・団体が候補として推薦を受け、ノルウェーのノーベル賞委員会で受賞者選考が進められている。選考過程は公開されないが、最有力候補の一人と伝えられるのが中国で服役中の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏だ。
中国共産党の一党独裁体制の廃止を求めて2008年に発表された「08憲章」の起草者といわれ、憲章発表の直前に逮捕されて国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を受けた。平和的な手法で改革を訴える文書を発表するだけで長期の投獄生活を強いられる。そうした国家のあり方は、大国になればなるほど異様に映る。
その異様さがもたらす受難があるからこそ、劉氏の受賞が有力視されているのだが、中国当局にそうした発想はないようだ。
ノルウェー・ノーベル賞委員会のルンデスタッド事務長によると、中国の傅瑩(ふえい)外務次官は今年6月、「中国に対する非友好的な態度になるだろう」と述べ、中国反体制活動家に平和賞を与えないよう露骨に圧力をかけたという。
同事務長は中国がここ数年、「いかなる反体制活動家にも授与するな」と繰り返してきた事実も明らかにしている。
2年前には、やはり国家政権転覆扇動罪で投獄されている人権活動家の胡佳(こか)氏がノーベル平和賞の有力候補と伝えられ、中国外務省の報道官が強い不快感を表明している。胡佳氏には同年、優れた人権活動家を表彰するサハロフ賞が欧州議会から贈られた。
衛生管理がずさんな売血事業でエイズが広がった河南省の売血スキャンダルの告発者で知られる女性医師の高耀潔(こう・ようけつ)さんは昨年、「身の危険が迫ってきた」として82歳で故国を捨て米国に逃れた。
北京五輪の後、リーマン・ショックに端を発する先進諸国の経済危機を糧に経済的な影響力を強めた中国の人権状況は、大国化により悪化している感すらある。今年のノーベル平和賞はそうした内外の情勢を踏まえ、高度な判断が逆に必要かもしれない。
-------引用終わり--------
「出る杭は打たれる」といいますが、中国は出る杭どころではありません。
中国憲法で認められていながら、実際には、いまだに言論の自由がありません。
その証拠が劉暁波氏の逮捕であり、服役です。
この受賞をきっかけに、中国が真の大国へとベクトルが向くことを祈ります。
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【オスロ=大内佐紀】ノルウェーのノーベル賞委員会は8日、2010年のノーベル平和賞を、「中国における人権のため、長年にわたり非暴力的闘争を行っている功績」があったとして、中国で服役中の民主活動家・劉暁波(りゅうぎょうは)氏(54)に授与すると発表した。
1989年の天安門事件後、中国国内で共産党一党独裁を批判し、民主化を要求し続けてきた同氏への授与は、同委として、中国に対し、政治改革を強く求めたことを意味する。国際社会では劉氏釈放を求める声が高まっている。
同委のトールビョルン・ヤーグラン委員長は記者会見で、「中国は新しい地位に見合った責任を果たさねばならない」と、「責任ある大国」としての行動を促した上で、「中国は多くの国際協定や政治の自由を認めた自国の憲法にさえ違反している」と言論や集会の自由を認めた中国憲法第35条を引き合いに出した。
一方、中国政府から、劉氏に授与しないよう事前に圧力をかけられたことを確認し、不快感を表明した。
委員長は、劉氏を「中国内外における、人権への闘争のシンボル」とたたえた。
同委は、共産党政権が民主化運動を武力弾圧した天安門事件が起きた89年には、チベット仏教最高指導者で、インドに亡命中のダライ・ラマ14世に同賞を授与した。
文学者で詩人でもある劉氏は、同事件当時の民主化運動に身を投じた後、繰り返し投獄された。北京五輪が開かれた2008年、インターネットを通じて世界に大きな反響を呼んだ「08憲章」の起草で中心的な役割を果たした。
「社会主義制度の打倒を企てた」などとして、09年に逮捕され、今年2月に国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決が確定、現在、東北部・遼寧省内の刑務所で服役している。
劉氏の妻、劉霞さん(49)は受賞決定に先立つ6日、自宅のある北京で、本紙などに対し、「中国政府は夫のペンの力を恐れ、自分たちが権力を失うことを怖がっている」と述べた。
授賞式はノーベルの命日にあたる12月10日にオスロ市庁舎で開かれる。委員長によると、劉氏はおろか妻の霞さんにも連絡が取れない状況になっている。劉氏は自らの受賞を知らされていないとみられる。賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億2400万円)。
(2010年10月9日01時42分 読売新聞)
--------引用終わり--------
産経新聞の9月30日の社説に、平和賞に圧力 「無理押し」大国の異様さ とありました。
国内でいち早く指摘したこの社説の全文を引用します。
---------以下引用---------
ノーベル賞発表の季節を控え、中国がノーベル平和賞の受賞者選考に圧力をかけていることが明らかになった。無理を通して道理を引っ込めるような姿勢を強める中国の外交スタイルと、国内の人権弾圧を如実に表す行動というべきだろう。
10月8日に発表が予定されるノーベル平和賞には、過去最多の237個人・団体が候補として推薦を受け、ノルウェーのノーベル賞委員会で受賞者選考が進められている。選考過程は公開されないが、最有力候補の一人と伝えられるのが中国で服役中の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏だ。
中国共産党の一党独裁体制の廃止を求めて2008年に発表された「08憲章」の起草者といわれ、憲章発表の直前に逮捕されて国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を受けた。平和的な手法で改革を訴える文書を発表するだけで長期の投獄生活を強いられる。そうした国家のあり方は、大国になればなるほど異様に映る。
その異様さがもたらす受難があるからこそ、劉氏の受賞が有力視されているのだが、中国当局にそうした発想はないようだ。
ノルウェー・ノーベル賞委員会のルンデスタッド事務長によると、中国の傅瑩(ふえい)外務次官は今年6月、「中国に対する非友好的な態度になるだろう」と述べ、中国反体制活動家に平和賞を与えないよう露骨に圧力をかけたという。
同事務長は中国がここ数年、「いかなる反体制活動家にも授与するな」と繰り返してきた事実も明らかにしている。
2年前には、やはり国家政権転覆扇動罪で投獄されている人権活動家の胡佳(こか)氏がノーベル平和賞の有力候補と伝えられ、中国外務省の報道官が強い不快感を表明している。胡佳氏には同年、優れた人権活動家を表彰するサハロフ賞が欧州議会から贈られた。
衛生管理がずさんな売血事業でエイズが広がった河南省の売血スキャンダルの告発者で知られる女性医師の高耀潔(こう・ようけつ)さんは昨年、「身の危険が迫ってきた」として82歳で故国を捨て米国に逃れた。
北京五輪の後、リーマン・ショックに端を発する先進諸国の経済危機を糧に経済的な影響力を強めた中国の人権状況は、大国化により悪化している感すらある。今年のノーベル平和賞はそうした内外の情勢を踏まえ、高度な判断が逆に必要かもしれない。
-------引用終わり--------
「出る杭は打たれる」といいますが、中国は出る杭どころではありません。
中国憲法で認められていながら、実際には、いまだに言論の自由がありません。
その証拠が劉暁波氏の逮捕であり、服役です。
この受賞をきっかけに、中国が真の大国へとベクトルが向くことを祈ります。