《 消しゴムを使わない 》
私の大学時代の卒論は、江戸時代の儒学者である伊藤仁斎の『中庸発揮』研究。
『中庸発揮』とは、四書のひとつである『中庸』の仁斎による解説書である。
彼は、長年にわたって、自筆原稿を何度も推敲した。
最初は黒で、次に欄外に黒で、そして赤で、次には青で、さらには付箋を貼って黒で、さらにそこに赤で、などという具合である。
その推敲を順に見ていくと、彼の思考が、次第に合理的になっていくのがわかる。
この思想の流れは、荻生徂徠らに受け継がれ、政治と宗教道徳の分離を推し進め、経世論へ、さらには現代へとつながるのである。
日本人の思想史の中で、彼の思考の発展はとても重要なのであるが、それは、消しゴムがなかったおかげである。
途中の課程が残されていたことが幸いしたのである
さて、本題。
間違いは神様である。
なぜなら、学習とは、×(誤答)を〇(正解)へ変えることだから。
例えば、テストの前は、過去に自分が間違えた問題だけを復習するだけでも大きな効果がある。
誤答を大切にするためにはどうする?
やはり、消しゴムを使わないことだ。
ボールペンで書くというのも1つの方法。
いずれも、黒と赤、青を使い分ければよい。
それは、自分の成長の足跡なのだ。