ベルギー生まれの著者、フレデリック・クレインスが書いた『ウイリアム・アダムス ー家康に愛された男・三浦按針』を読みました。この本は読売新聞の「編集手帳」に紹介され、トランプ大統領が興味を示した北極航路に引っ掛けて紹介されていたものです。フレデリック・クレインス氏は、現在国際日本文化研究センター教授をしていますが、オランダ語が堪能であり、『十七世紀のオランダ人が見た日本』(臨川書店)などの著作があります。日本に興味を持つ外国人研究者が増えたせいかもしれませんが、外国人の書いた歴史書が多く出版され、それも翻訳でない著者自ら日本語で書いています。また文献調査も国内資料だけでなく、国外の図書館などの資料を活用し、ワールドワイドで日本を捉えていて、これまでの歴史書にない視点で楽しむことができます。
本の内容については深入りしませんが、あの徳川家康が国際感覚のある自由貿易主義者であったとは知りませんでした。またウイリアム・アダムスがイギリス人であり、オランダ船主の船に乗っていたことが、ポルトガルやスペインのカトリック国による侵略の企てを未然に防ぐことが出来たこと。そして難破して日本にたどりついたウイリアム・アダムスの才能を見抜き、素直にその意見に従った徳川家康の度量の広さに感心しました。大袈裟な言い方ですが、この二人の関係がなければ、日本も他のアジア諸国と同様に列強の植民地化策に呑み込まれていたかもしれません。これまでウイリアム・アダムス=三浦按針について名前を聞いている程度で、その功績については全く不勉強でしたが、この本を読んで大いに理解が深まりました。是非読んでいただきたいお薦めの一冊です。
見出し写真は、この本の内容と全く関係のない御霊神社と江ノ電の一枚。絶妙なタイミングでシャッターを切ることができました。