神護寺展は、神護寺の創建1200年記念 特別展として東京国立博物館 平成館で2024年7月17日~9月8日までの会期で行われています。国宝の薬師如来立像、五大虚空蔵菩薩坐像、伝源頼朝像などや重要文化財の展示物は数知れず、たぶん生きている間は二度と見ることはできないと思い、鎌倉から出かけました。特に国宝の伝源頼朝像は昨年開催された「特別展 やまと絵」にも出展されましたが、出かけた時は既に展示期間が終了しており悔しい思いをしました。絵画は長く展示すると劣化しやすいので展示期間が短く、せっかく行ったのに見損なうということがあります。今回の神護寺展での伝源頼朝像の展示期間は、前期の7月17日(水)~8月12日(月・休)。また国宝の山水屏風や重要文化財の文覚上人像などは後期の8月14日(水)~9月8日(日)までになっています。
この伝源頼朝像は、源頼朝を描いたものではないという説もあり、大変興味深い展示物ですが、実物は等身大の姿を描いたものであり、教科書の写真を見てあれこれ考えるより、本物を見ることをお薦めします。同時に江戸時代に冷泉為恭が描いた模写が展示されていましたが、冷泉為恭は源頼朝像だからわざわざ模写したのだと思いたいですね。私は神護寺の見解と同じでこれは源頼朝を描いたものだと考えています。
そして今回の最高の展示物は、国宝の薬師如来坐像です。この仏様は2年前の8月に神護寺を訪れたときに拝観しました。朝早かったのでお薬師様がいらっしゃる金堂には私一人しかおらず、お寺さんの好意で仏様を目の前で見ることができたました。ただ広い金堂の高いところにいらっしゃったせいか、お顔の様子まではあまり覚えていません。今回の特別展では真近で拝観できました。像高は169.4センチメートルでカヤの一材から彫りだされたものです。図録の解説には、「日本彫刻のなかでも異彩を放つ存在である。眼差しは厳しく、拝する者の心を見透かすようである。頬は引き締まり、山形の唇に強い意志を感じる。面部や胸部の肉身には細かな鑿跡が残り、その粗さが像の威力を増しているように思える。」と書かれています。実際に拝観した印象もその通りで、素晴らしいお薬師様を拝ませていただきました。このブログを読まれた方は是非拝観されることをお薦めします。