今回の赤ワインはカーザ・サントス・リマのアズレージョ・ティント。価格は1,100円(税込)でメルカドのワインの中でもお手頃価格の一本です。産地はリスボニア地方。ポルトガルの首都リスボンがあるところです。このワイナリーのネーミングは独特で、これまでもラブラドール、フォルティッシモ、パッション、アルガータ・シグネチャー等のワインを試してきました。さて前置きはともかく、このワインの味ですが、貧乏舌の身としましては、どうも値段で味を判断してしまいます。従って飲み始めも恐る恐るとなり、適切は評価ができません。カタログには、フルーツバスケットのような爽やかな香りが立ち上がり、奥行きある味わいに滑らかなタンニン、すぐに1本飲めそうな心地よさ、Tボーンステーキと◎と書いてあります。良心的な店ですね。ワインは値段で評価するなと言っているようです。
さてうんちく話を一つ。ワインの名前になっているアズレージョについて。ガイドブックによれば、アズレージョは装飾タイルのことです。その言葉はアラビア語で「光沢のある小石のモザイク片」を意味します。イスラムのモスクに使われているあのモザイク画のタイルです。15世紀にスペインを経由してポルトガルにもたらされました。そして現在のポルトガルのあちらこちらの壁に使われているコバルトブルーのアズレージョ(装飾タイル)はデルフト焼きのもので、17世紀~18世紀にかけて中国や日本の磁器の影響を受けました。日本の古伊万里や中国の景徳鎮の磁器にあるコバルトブルーの花瓶や絵皿ですね。ポルトガルと日本や中国はユーラシア大陸の西と東の端にある国です。お互いに影響を受けながら文化を発展させている訳で世界は広いようで狭いものです。
ところでこの場を借りて2020東京オリンピックの話題。女子柔道で日本が直接の対戦で負けたのが金メダルを取ったコソボ共和国の二人です。コソボと聞き、20年位前のコソボ紛争の悲惨な映像が蘇りました。アルバニア人とセルビア人との内戦。コソボはユーゴスラビアから独立宣言してから長い内戦を経てやっと2008年に共和国となった国です。面積は岐阜県と同じ1万平方キロメートル超。人口は180万人弱。このオリンピックに共和国大統領が来日したようですが、金メダルを取った二人は国を背負って戦っていました。背負っている重さが全然ちがいますね。強いわけです。