建長寺上の勝上献(114m)から十王岩、覚園寺への分岐点、鎌倉側の大平山山頂(159.2m)を経て1時間ほどで天園に着きます。この辺りは鎌倉市と横浜市の境にあたり横浜市の案内板には横浜市内最高地点(159.4m)と記されています。今回はこの天園からも富士山を写すことができました。大平山は鎌倉市内の最高峰なので、鎌倉・横浜市内の最も高い所から見た富士山になります。なにも特別な姿ではなく、いつもと変わらない富士山がそこにありました。
建長寺の半増坊上の勝上献(約114m)から10分ほど歩いたところに十王岩があります。先日の原由子さんの番組でも紹介されていましたが、鎌倉のパワースポットの一つだそうです。十王岩には3体の像が彫られていますが、風化が進んでおり、どの像が何なのかは殆ど分かりません。確かなのは閻魔大王。そのほかは資料には如意輪観音、欠盆地蔵と書かれていますがどうでしょうか?まずこの場所に十王像を彫った意味を考えてみるほうがいいかもしれません。近くに岩の上に登り相模湾にほうに目を向けますと、眼下に鎌倉市内が一望でき、遠くには伊豆大島も眺められます。そして海、由比ガ浜からまっすぐに伸びる一筋の道。それが若宮大路で、途中から段葛の桜並木も見えます。ということは、その行きつく先、十王岩の真下には鶴岡八幡宮があるということ。
今はハイキングコースですが、源頼朝が鎌倉入りした当時はこの尾根筋は街道の一つであったと思われますので、頼朝もこの場所に立ち、その景色を眺めたかもしれません。左手には滑川が海に流れ込み、南が海、背後に山。この位置関係は風水上最高のロケーションだったはずです。自分が育った京都なら、左に鴨川、南に巨椋池、北山の眼下には京都御所。そこからまっすぐ伸びる朱雀大路。規模は違いますが、ミニ京都の街づくりを考えても不思議ではないでしょう。まづ鶴岡若宮を造り、そこから一直線の若宮大路を造ろう。そして水はけの悪い低地を避け、段葛で嵩上げした道を造る。これはすべて正当な源氏の嫡流を名乗る行為として必要だったと考えられます。
妄想は広がりますが、この場所は鎌倉の都市設計の起点だと思われます。そうだとすれば150年余り続いた鎌倉幕府の重要なポイント。まさにパワースポットにふさわしい場所ではないでしょうか。由比ガ浜沖の相模湾が金色に輝いていますが、842年前の頼朝の気分になりました。
建長寺の半増坊からさらに5分ほど階段を登りますと勝上けんの展望台に着きます。ここから眺める景色は、西には富士山、南には相模湾そして伊豆半島、箱根の山々、眼下には建長寺の仏殿・法堂などの建物。苦労して登った甲斐があったというものです。こういう場所をパワースポットと言うのかもしれません。その場所が持つ神気はもちろんですが、心の底から気がみなぎる場所かと考えます。今回は最高の1枚となりました。いつもは富士山が見えても霞んでいたりしてイマイチなのですが、澄んだ空気のせいでしょうか、富士山が神々しく見えました。
筆者がみた初めての富士山シリーズの第2段は建長寺の半増坊からの富士山です。半増坊には富士見台がありそのからの富士山はたびたび見ていますが、烏天狗ごしに富士山を写したのは今回がはじめてでした。よく見ると烏天狗は少し富士山の方向にふられており、後ろ姿ではありますが、目線は富士山の方を向いているように感じました。このアングルの富士山はなかなか良いですね。長い階段は結構しんどいですが、是非一度訪ねてみたください。これからの季節は富士山を眺めるのには最高です。
先日のテレビを観ていたら、「マツコの知らない世界」という番組にサザンオールスターズの原由子さんが出演していて、天園ハイキングコースのことが紹介されていました。原さんの人柄がにじみ出てすごく良い番組でした。最近の鎌倉市内はNHKの大河ドラマの影響もあり、とても賑わっており、小町通りなどは歩くのも大変ですが、そんな鎌倉でちょっと足を延ばし、山の上で富士山の姿を探してみることをお薦めします。高い場所に行けば富士山は望めるのですが、山や建物そして鬱蒼とした木々にはばまれ、なかなかその姿をみることは叶いません。それでも見つけた時は、こんな場所でも富士山が・・と、思わず叫びたくなります。これは富士山好きの私だけかもしれませんけど・・。それで今回は数回に分けて最近見つけた富士山をブログにしてみました。
最初は源氏山山頂(92.5m)。源氏山公園内では葛原岡神社の脇に富士見スポットがあることは知られています。広い公園内で源頼朝像まで行っても、その先の源氏山山頂を目指す人はあまりいません。頂上に祠があるだけの場所で、私も何回も源氏山公園には来ているのですが、最近はじめて登りました。東側の開けた場所からは建長寺上の半増坊の建物が見えますが、西側は木々におおわれ期待していませんでした。ところが先日(10/26)の空気が澄んだ快晴の朝、木の枝の空間に冠雪した富士山の姿をみつけました。まさかこの場所で富士山がみれるとは・・・。この感激を文章で表現することは難しいのですが、巻頭の写真を見てください。まん中の木の枝がNの字になっている間に白く雪をかぶった富士山の頭を見ることができます。まだ信じられない方は、実際に登って自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。