4月から6月2日までの毎週金曜日にNHKで放映していたドラマ「ツバキ文具店~鎌倉代書屋物語~」。久しぶりに鎌倉を舞台にしていたドラマであったこと、ドラマの中で高橋克典が演じたのが、認知症の母をもつ鎌倉の観光ガイドであったことから、興味深く観ました。読売新聞の「放送塔から」を読むと、ドラマの評判も上々のようでした。
小川糸さんの原作では、ツバキ文具店の場所は鎌倉宮から瑞泉寺に行く途中、写真にある通玄橋の辺り。影像では大町の本覚寺、妙本寺から八雲神社付近が舞台になっているようでした。そして随所に鎌倉の街並みや寺社などが映され、ゆったりと流れる音楽と相まって、久しぶりに堪能したドラマでした。
そして何よりも、代書屋の主人公が悩みながら代書く手紙がいいですね。わたしももう一度読みたくて原作を買ってしまいました。字が下手で、日ごろはパソコンを使っているのですが、改めて手書きの手紙の良さを再認識しました。手書きの手紙は書き損じが出来ないので、それだけゆっくり心をこめ丁寧に書かざるを得ません。間違えば書き直しです。主人公の鳩子は気を静め、書きたい文章が落ちてくるまでじっくり待ちます。文章が「落ちてくる」瞬間というのは、ほんとうにありますよね。わかる気がします。
日ごろ、メールやラインの短文に慣らされてしまうと、相手に伝わる気持ちのこもった文章は書けなくなります。還暦を過ぎた身となりましては誰かに手紙で思いを届けるという機会はなくなってしまいましたが、何度も読み返したくなるような手書きの手紙を貰ってみたいものです。