昨年の11月頃から日本人の心に宿る神様について勉強する機会があり、『口語訳 古事記[神代編](三浦佑之訳)』、神社検定テキスト『神話のおへそ』、梅原猛の著作『神々の流竄』・『葬られた王朝』、瀧浪貞子の著作『持統天皇』など何冊かの本を読み漁りました。そして東京国立博物館で開催中の特別展「出雲と大和」で発掘された銅剣、銅鉾、銅鐸や銅鏡などの貴重な展示物を観賞し、これまでほとんど関心のなかった古代史が身近に感じられるようになりました。
天皇家を中心にした国家統治の歴史を書いた『古事記』は712年、国家形成史である『日本書紀』は720年に完成。女帝である持統天皇、元明天皇、元正天皇が治めた時代です。そして梅原猛氏は『記紀』編纂の陰には天皇を支えた藤原不比等の存在があると確信しています。藤原不比等は大化の改新で中大兄皇子とともに蘇我氏を滅ぼした藤原鎌足の子供です。女帝三人がプロデューサーで藤原不比等が脚本家。このタッグが現在まで続く天皇家の存在と初詣にみられる神々への崇敬の念という日本人のDNA設計のシナリオを書いたかもしれません・・・妄想?
『古事記』を読み、諸々の神々の頂点にあるのはアマテラスオオミカミであり、その大神はイザナキノミコトの禊ぎによって誕生したこと。藤原氏の氏神である春日大社の祓詞(はらへことば)では「・・・諸々の禍事(まがごと)罪穢有らむをば祓へ給ひ清め給へと申す」と奏上しますが、この「禊ぎと祓い」が神代編の主題であると考えられます。なお伊勢神宮が天皇家の氏神となるのは持統天皇以降のことですが・・・。
私は毎年欠かさずお祓いを受け、お札を新調し神棚にお祀りしますが、これを宗教上の信仰と言っていいのか、初詣に行くたびに思います。しかしながら、この日本人の心にすり込まれている禊ぎやお祓いの行為によって心の安寧が得られ、一度でも欠かせば不安になり後悔するのも確かです。今から千三百年以上も前にこのシナリオを創作した藤原不比等?恐るべしです。
写真は天武・持統天皇陵。2013年12月に明日香を訪ねた時に写したものです。まさかこんな風に世に出るなんて思いませんでした。つくづく断捨離しなくてよかったです。