10月18日迄の会期で国立西洋美術館で開催中のロンドン・ナショナル・ギャラリー展を観に行きました。チケットはコロナ対策のため日時指定の予約制です。全部で61作品。作品がロンドンから貸し出されるのは初めての事のようです。それでも1作品2分として2時間位はかかりますので、時間指定と言っても会場は居残り組を含め結構混雑していました。新型コロナの感染を心配する方は避けた方がいいかもしれませんね。
このロンドンにあるナショナルギャラリーですが、つい最近、アマゾンのプライムビデオで放映した3時間位のドキュメントを見た後だったので、より関心をもって見れました。そのドキュメンタリーは学芸員の方の解説や修復作業の様子、特に修復作業では時代背景はもちろん、元はどこに飾られ、その部屋の窓の位置、灯りの様子などまで検証し、修復後の色の濃淡を議論していました。今回の展示作品にも、フェルメールの《ヴァージルの前に座るキリスト》、ヘーダの《ロブスターのある生物》、ベラスケスの《マルタとマリヤの家のキリスト》などがあって、全く知識がないよりは少し鑑賞の視点が変わったと思います。
絵の見方として、例えばバトーニの《リチャード・ミルズの肖像》にあるミルズの顔を見ると「どや顔」です。さらに絵の脇の解説を見ますと、この絵が描かれた時代には、卒業旅行にヴェネチアなどに出かけ、その記念に肖像画を描かせたと書いてあります。そこで近づいてよく見ますと、その左手の指がヴェネチア地方の地図を指しているのが分かります。これは実物でないと気づきません。
またカナレットの《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》には、窓からレガッタを観戦する人の顔が細かく丁寧に描かれています、全部の顔が幾つあるか数えたくなります。ターナーの《ポリュフェモスを嘲るオデユッセイウス》はギリシャ神話を知らないと絵の良さが分かりません。ターナーの風景画の光の世界を好む人には少し抵抗があるかもしれませんね。印象派の画家であるルノワール、セザンヌ、モネ、ゴーガン、ドガの絵は一室に納められていました。もっと見たかったのですが・・・。ゴッホの《ひまわり》は今回の目玉でしょうか。同時期に描かれた7枚のうちの1枚と説明にありましたが、なぜ同じ題材で複数枚画いたのか・・・?謎です。
絵の素人なのでまともな解説はできません。残り少ない会期ですが、是非本物を見て、それぞれの絵の素晴らしさを自分の目で確かめてみてください。