広町緑地には地元の人が大切に見守っている大桜があります。晴天に恵まれた今日、花の咲き具合を見に訪ねました。ヤマザクラの開花は4月になってからかと思っていましたが、快晴の空を背景に白い花が咲き始めていました。やはり桜花は青い空が相応しい。この大桜を毎年見に来るのですが、同じように年を重ねていくのですから、なんとなく生きているという実感を共有できます。お互いまだ元気でなによりなんて問いかけてしまいます。
ところで最近取り上げる回数が多い源実朝ですが、その実朝は『金槐和歌集』のなかで桜の歌をどう詠んでいるのか興味があり調べてみました。全663首中の「春」の歌は116首で、そのうち「桜」の歌は50首以上と圧倒的に多く詠まれています。
桜花ちらばをしけむ玉ほこの 道ゆきぶりにをりてかざゝむ
桜花咲散みれば山里に われぞおほくの春は経にける
花をみむとしも思はでこしわれぞ ふかき山路に日数へにける
尋ねても誰にかとはむ故郷の 花もむかしのあるじあらねば
行て見むと思しほどにちりにけり あやなの花や風たゝぬまに
さくら花さくと見しまに散にけり 夢かうつゝか春の山風
こうしてみると散りぎわを詠んだ歌が多いのに気付きます。実朝はいつ死ぬかわからないわが身を重ね合わせているかもしれません。
満開の桜の下での花見はいつの時代からでしょうか?織田信長が花見をしたという記録はないようですから、たぶん豊臣秀吉の時代に行われた吉野や醍醐の花見からと思います。花見は平和な時代の行事。毎日ニュースで桜の開花情報が流れる時代に生きている幸せに感謝するしかないですね・・・。