谷川俊太郎 『朝のリレー』
カムチャツカの若者が キリンの夢を見ているとき
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が 微笑みながら寝返りをうつとき
ローマの少年は柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では いつもどこかで朝が始まっている
僕らは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひと時耳を済ますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かが受け止めた証拠なのだ
一度聞いた瞬間に心を撃たれ、
谷川さんの本を買うにいたった詩です。
「朝のリレー」
考えてみると当たり前のことですが、
人間は一つの地球に住んでいるんですよね。
そこに国々があり、色々な交流をしているわけです。
日本は島国で意識しづらいかも知れないけれど、
地球の中に、アメリカは、ヨーロッパは、アフリカは
同じようにあるんですよね。
日本の娘が おしゃれや売春やカラオケをしている時
パレスチナの少女は爆弾を抱えて イスラエル人とともに塵となっている
アメリカの兵士が イラク人を誤って撃ち殺しているとき
日本の少年は どの授業をサボろうかと真剣に悩んでいる
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与えられた命(時間を)を有効に生かしたい。
限りある細胞分裂を有効に活かしたい。
恵まれている環境を有効に活かしたい。