著者名 :二宮 敦人
書籍名 :最後の医者は桜を見上げて君を想う
出版社 :TO文庫(TOブックス)
発刊日 :2017年4月5日第10刷 1刷は2016年11月1日
価 格 :540円プラス税 p413
備 考 :構成は、
① とある会社員の死
奥さんが妊娠している状況で、プレゼンを間近に控えた営業男性。突然患者になる。そして生存確率を伴う選択肢を次々と迫られ続ける。
② とある大学生の死
主治医と同じ医大に受かった後輩、女子大生。無意識につんのめってしまい、転ぶことから始まる。両親のように医者になるはずが。泣ける。ホーキング博士が患ったもので難病です。
③ とある医者の死
既に末期だった咽頭癌。大学から同期で同じ医者の友人に支えられながら実は支えてもいたことがわかる。
略歴
1985年生まれ、一橋大学卒業。携帯小説のホラー『 ! 』でシリーズでベストセラーに。奥様が東京芸術大学彫刻家卒業生で、奥様の著書『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』(ノンフィクション)がベストセラーに。
作品を生み出すモチベーションは、「死にたくない。生きていくために誰よりも努力して、良い作品を生み出し続けていかなくてはならない」
あらすじ
構成の通り。
著者名 :二宮 敦人
書籍名 :最後の医者は雨上がりの空に君を願う下
出版社 :TO文庫(TOブックス)
発刊日 :2018年6月4日第3刷 1刷は2018年4月2日
価 格 :540円プラス税 p237
備 考 :上巻から続く。前作の『最後の医者は桜を見上げて君を想う』含めシリーズ35万部突破し、映画化進行中。構成は、「とある母親の死」「とある医者の死」。順番が逆だった
① 『最後の医者は桜を見上げて君を想う』
② 『最後の医者は雨上がりの空に君を願う上・下』
の発売順だった。
略歴
1985年生まれ、一橋大学卒業。携帯小説のホラー『 ! 』でシリーズでベストセラーに。奥様が東京芸術大学彫刻家卒業生で、奥様の著書『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』(ノンフィクション)がベストセラーに。
作品を生み出すモチベーションは、「死にたくない。生きていくために誰よりも努力して、良い作品を生み出し続けていかなくてはならない」
あらすじ
途中から、徐々に、読者は気づいていく。登場人物の関係性に。絵里と桐子の関係。桐子とカズの関係、絵里と欣一郎の関係。欣一郎とカズの関係に。
この徐々に気づかせる筆致がとても巧妙で丁寧なので読みやすい。乙一氏と同様、ホラー系の作者はすごいですね、描写が。ハッピーエンドで終わるのが心地よい。
著者名 :二宮 敦人
書籍名 :最後の医者は雨上がりの空に君を願う 上
出版社 :TO文庫
発刊日 :2018年6月4日第3刷 1刷は2018年4月2日
価 格 :580円プラス税 p265
備 考 :シリーズ『最後の医者は桜を見上げて君を想う』含めシリーズ35万部突破し、映画化進行中。構成は、①「とあるチャラ男の死」、②「とある母親の死」下巻に続く。順番を間違えて、2016年刊の『桜を見上げて~』より先にこちらから入った。
略歴
1985年生まれ、一橋大学卒業。携帯小説のホラー『 ! 』でシリーズでベストセラーに。奥様が東京芸術大学彫刻家卒業生で、奥様の著書『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』(ノンフィクション)がベストセラーに。
作品を生み出すモチベーションは、「死にたくない。生きていくために誰よりも努力して、良い作品を生み出し続けていかなくてはならない」
あらすじ
AIDSに感染したバーテンで働く男性とその恋人。恋人が先に自分も感染に気づき発生源にも気づく。その女性は、病気と闘うことを決意し、男性と別れる。男性はAIDSの事実に向き合わず逃げ続け、やがて死に至る。
主人公は特定しづらいが、タイトルにある通り二人の医者だろうか。医者が幼い頃の母親の闘病生活が綴られるが、この母親と癌との闘いは泣ける。その母親が息子と同年齢ぐらいの同じく闘病生活を続ける同部屋の男の子(重度のアレルギー)と親しくなり、諦めてしまっている男の子との会話では絶対弱音を見せない。徐々に髪の毛が細くなりやつれていくが、母親は最後まであきらめなかった。
電車の中で読み続けるのがつらいぐらいに泣ける。
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著者名 :伊坂 幸太郎
書籍名 :陽気なギャングは三つ数えろ
出版社 :祥伝社文庫
発刊日 :2018年9月20日340ページ。
価 格 :690円プラス税
備 考 :シリーズ3作目。文庫化された作品はほとんど読んだ。その中で個人的には、地球の終末を描いた、『終末のフール』(映画化されたら観たい)が好み。
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略歴
1971年、宮城県、仙台出身。東北大学法学部卒業。同時期他学部に薬学研究科に瀬名秀明、文学研究科に佐藤賢一、理学部に松崎有理と円城塔などが在学していた。SEをしながら執筆をし、2000年『オーデュポンの祈り』でデビュー、新潮ミステリー倶楽部賞受賞。著書・共著多数で、『魔王』は漫画化された。
映画化もされた『アヒルと鴨のコインロッカー』でない吉川英治新人文学賞受賞。他にも多数の作品が映画化され、個人的には、映画では、『ラッシュライフ』(堺雅人)、『チルドレン』(主演:坂口健二、大森南朋)、『フィッシュストーリー』(主演:高良健吾)、『ゴールデンスランバー』(主演:堺雅人)、『死神の精度』(主演:金城武)が面白い。
あらすじ
主人公である4人の極悪ではない銀行強盗のうちの唯一の女性、雪子。彼女の飲食店で働く息子が強盗より極悪な記者とアイドルに絡まれる。極悪人記者はアイドルを追っていたのだったが、偶然銀行強盗4人とも接触を持つことに。強盗4人組は極悪人記者に絡まれるが、綿密な計画と実行により見事に払いのける。
雪子が運転中に謎の車に着けられるが、それを簡単にかわすシーンがある。ここが最もアドレナリンが出たシーンだった。カジノシーンよりも。
極悪な記者は、興味本位で特に理由もなく時間潰しの目的で読まれる大衆雑誌(東スポもその分類に入るか)を利用して記事にフォーカスされた登場人物を大衆標的にすることにかけてはプロ級。何人かを自殺に追い込んでいる。この悪人を悪人でない強盗団がどう避けるかが見ものです。
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著者名 :石田 衣良
書籍名 :池袋ウエストゲートパークⅫ 西一番街ブラックバイト
出版社 :文春文庫
発刊日 :2018年9月10日321ページ。 オール読物2015年、単行本2016年
価 格 :650円プラス税
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略歴
1960年、東京都生まれ。A型。
‘84年成蹊大学卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターとして活躍。36歳(1996年ですね)の時に執筆活動を開始、‘97年「池袋ウエストゲートパーク」で、第36回オール読物推理小説新人賞を受賞し作家デビュー。‘03年「4TEENフォーティーン」で第129回直木賞受賞。‘06年「眠れぬ真珠」で第13回島清恋愛文学賞受賞。‘13年「北斗 ある殺人者の回心」で第8回中央公論文芸賞受賞。
ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』という有料コンテンツも提供。文芸春秋から書籍としても刊行されている。
小学校2年の時にTVのウルトラマンに影響を受け、面白いストーリを求め図書館へ。1950年代のアメリカSF黄金時代作品にはまり、夏休みに棚一つ読み切り、作家になりたいと思ったそう。それが7歳夏。この世界によいと思うことを書こうとは思わないというのは興味深い。その心は、思想やアートで社会改良しようと試みたことが歴史上幾多も見受けるが多くの悲惨な結果を生んだから。自分と精神的な遺伝子を同じくする少数の読み手のためにかければ十分とする。
かっこいい大人とは?の問いに対し、懸命に努力をしながら生きることを楽しんでいる雰囲気のある大人はかっこいい大人ですと回答。また逆に問いかけている。「大人のあなたに質問です。つらいこともあるけど、仕事はほんとにおもしろいよ。結婚して大正解だった。そんなふうに若者にいったことがありますか。」
最後に若者へのメッセージとして、こう語る。
世界は変化の時代を迎えています。それはあなたが坂道を駆けのぼる可能性も、転げ落ちる可能性も同時に存在するということです。今は力が足りずに不安かもしれませんが、人の輪を広げ、研究を続け、自分の武器を磨いてください。社会人になってからの勉強で人は差がつきます。毎日一時間はテーマを決めて、読書と勉強をしてください。10年後あなたは想像できないほどの高みに立っているはずです。本が読めない人は読書の訓練をしておくこと。それができないと、あなたが勝つ可能性は宝くじ並みになります。これは統計上ほぼゼロという意味です。
あらすじ
4本構成。
1.西池第二スクールギャラリー
顔のきれいな和菓子屋の娘、マコトの同級生登場。
2.ユーチューバー@劇場
時代を反映させた内容。身を削ってユーチューブに投稿するところは痛々しい。
3.立教通り整形シンジケート
最近妙にマスクをかけている人を目撃する。風邪感染対策かはたまた己の顔を隠すための偽装か。鼻の形を見ると整形しているかわかる気がするのは俺だけ?
4.西一番ブラックバイト
ブラック企業ならぬブラックバイト。簡単に言うと社員でもないのに妙な責任があるポジションに着かせるそうだ。実際こんな飲食グループがありそうだから怖いし、著者もそこを狙ったのだろう。なさそうでありそう、ここがポイントか。いやあるといってきそうな人もいそうでこれまた怖い。バイトを苦に自殺、たまらない。解説は、このブラックバイトの実際の話について。NPO法人POSSE代表という肩書の方が書いている。
因みにブラックバイトの特徴として10上げている
① 自分がいないと職場が回らない
② 過剰な責任
③ 長時間・深夜勤務、遠距離へのヘルプ
④ 急な呼び出し、シフトの強要
⑤ 最低賃金われの賃金、残業代不払い
⑥ 偽装求人
⑦ 罰金、ノルマ、自腹購入
⑧ 責任感からやめられない
⑨ 契約違反、損賠賠償で脅す
⑩ 脅迫、暴力
まとめると、1責任を負わせるが2賃金が安く3やめさせない
⇒地獄です。
著者名 :白石 一文
書籍名 :光のない海
出版社 :集英社文庫
発刊日 :2018年5月25日406ページ。
価 格 :700円プラス税
略 歴 :早稲田大学卒業、文芸春秋入社。藤沢周平などの編集者として活躍。父親は直木賞作家の白石一郎。幼い時から本に囲まれ、本を読みまくっていたようだ。小2でドストエフスキー『罪と罰』 を呼んだという逸話も。2000年に『一瞬の光』でデビューし、2010年に『ほかならぬ人へ』で直木賞受賞。本作品は24作品目。文芸春秋は結婚直後のパニック障害と、九州にいた父親の癌で退職している。影響を受けた本はカミュの『異邦人』という。村上龍や司馬遼太郎の作品もほとんど読んでいる。村上というと春樹より個人的には、村上龍の作品という。父親は韓国の釜山生まれで著者の祖父は金持ちだったようだ。弟も双子(白石文郎)で作家。解説を書いた下山進は。白石一文は、エリート編集者で文芸春秋時代は社長候補だったとも書いている。
あらすじ:
波乱の子供時代-妹と
妹-轢かれる
轢いた関係者の女性経営者と出会い、世話を受ける
女性経営者の娘と結婚するも別れる。
妹-海外で行方不明のまま
女性経営者の跡継ぎとなる
不思議な水に変わるボトルを通じて、販売士の女性と出会う。
解説-著者白石一文の文芸春秋時代の話が興味深い