疑問に思ったことを素直に伝える。
著者がこどもだったらというか、普通はこう思うのではないかということを
書いている。
主人のゼン(ノスケ)は、侍であり、流浪人。剣術指南のカシュウに
人里離れた山で育てられ、遺言で山から下りろと言われ、旅をする。
人に会い、疑問を持つ。自分は何者か、なぜこうも食べ物に贅を尽くすのか。
なぜ貧しいものと豊かなものがこんな距離の間で存在しているのか。
剣に生き抜くことこそ強さ、この想いにも疑問を持つ。
自分の討った相手の態度を考え、自分ははたして同じようにふるまえるだろうかと。
面白い、装丁も素晴らしい。山桜。鈴木成一デザイン室のお仕事。