自己と他者 

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『アルテ8』他人・一般評価と自己評価

2018-01-22 17:53:06 | アニメ・コミック・ゲーム

ヴェネチアに「さよなら」の別れを、フィレンツェに「ただいま」を告げ、師匠のもとに戻ってきた、中世を生きる駆け出し女性画家アルテ。

ファリエル家の誘いを断ったことで、アルテの名に箔がついた。ご指名で肖像画の仕事が来るようになる。

売れるクリエイターなら通りそうな葛藤も生じる。依頼:娘の縁談に肖像画をお願いしたいという父親。娘は自分に似てしまい、母親に似ていれば・・・と語る。アルテへの注文も多い。カギ鼻は控えめに、口も大きすぎるので小さく、瞳は大きく。。。

こんなに注文が多くては実物とかけ離れてしまいますよと困惑するアルテと娘コンチェッタ。

父は言う「腕のいい画家なら客の意向を組んだ作品を描けるはずだ」と。対して、コンチェッタは「ごめんなさいね、私が不器量だから」と自信なさげに、眼に涙をためながら言う。アルテは返す「コンチェッタ それは思い違いよ。あなたは魅力的です」「この見事な翠色の瞳、薄くて形の整ったその唇は、あなたを知的に賢く見せている、それにこのつやつやの髪・・・」と伝える。

「私があなたの魅力を最大限に引き出せるよう、装飾や服もデザインして・・・とっても素敵に描き出して見せるわ」。

さてさて、父親の注文を満足させなければならない。だが、当然嘘を描いても誰も幸せにならない。アルテはどうしたか?

ここが素晴らしい!!アルテは、自分が感じたコンチェッタの良さを見事に表現して見せた。そして、プラスアルファ。2枚の肖像画を描いて見せる。1枚は、縁談相手に送るための父親とコンチェッタに渡すものを。そしてもう一枚をコンチェッタにのみそっと手渡した。「今日は肖像画と一緒にこれもあなたに渡そうと思っていたんです」「これを」「私からあたなへのプレゼントです」「ふとした時・・・遠くを見つめているあなたの顔はとても魅力でした」と言って。

 良い仕事って何だろう?

 

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書名 :『アルテ8』

著者名:大久保 圭

出版年:2018年2月10日 初版発行

出版社:徳間書店

定価 :580円プラス税

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