9月26日に上海市の共産党TOP、陳良宇氏が、上海市の社会保障基金に絡む汚職事件に関与した疑いがあるとして解雇された。
江沢民系、上海閥の一人。胡総書記は、さらなる基盤固めと党幹部の汚職に対する厳しい態度の表明と見られる。
中国では、党内権力闘争が半端ではないために、まずTOPに就任しなければ何もできない。そしてその地位を維持しなければならない。これは49年に毛沢東が中心となり中華人民共和国が成立してから何ら変わっていない。
特に60年代半ばの文革期から周恩来・鄧小平VS四人組など権力闘争は、より激しくなった。
地方幹部の腐敗は中央人民政府が管理しきれないほどである。これも毛沢東時代に第一五ヵ年計画の後、ソ連をモデルに重工業育成に偏重し、現実と合わなくなってきた(計画経済の官僚主義、中央集権という弊害もあった)ため、バランスを重視した「十大関係論・・・例えば農業-工業、中央-地方といった関係のバランス成長」を唱え、後にも三線建設を掲げ、国防上の理由から内陸発展、地方分権推進をはじめてから際立った。
さらに60年代、アメリカのベトナム介入、ダライ・ラマインド亡命による中印緊張、中ソ関係の悪化、原爆実験の成功などの国防上の理由から拠点の沿岸部から内陸へと分権が進められた。
そのために内陸部にも都市が出現し始めるが、地方幹部がウソの報告を中央にし始め、地方共産党幹部が横領をしたりと汚職事件も中国成立初期から問題となっている。
この問題は、市場 対 政府(国家)、官僚主義の弊害、中央と地方、縁故資本主義の弊害など突き詰めて考えねばならない問題である。
経済成長という実績がなくなり、農民自身が経済成長の恩恵がない(あるいは悪化した)と感じ始めると、社会主義市場経済という矛盾が一挙に表面化し、民主化の嵐が天安門事件以来、再び吹き起こる可能性さえありうる。
ドラッカーは「人を管理することなんてできません、リードすることならできる。」といったが、13億人をリードするというのは、気の毒な話でもある。しかし、現状では胡錦涛総書記、温家宝総理のイニシアティブがキーになる。
所有権を明確化し、公共財と私財を規定し、税制を確立し、徴税を厳格に綿密に効率的に行う。
おそらく徴税の議論が活発化すると、徴税原則の一つである効率性、徴税コストの観点から連邦制を議論するしかない状態となるだろう。
そうなると共産党の威厳、市場と国家の関係、私と公を改めて再構築を迫られる。このプロセスは今までどおり斬新的に行うしかないだろうが、早く着手しなければ手をくれになる。
汚職・腐敗・企業と党と官の癒着はそれほど根深い。