古式土師器製作、実験で新説 向日市埋文セの研究員

2011-12-01 19:05:28 | 歴 history
従来の有力説と今回の実験での作り方を比較紹介して示された図(向日市文化資料館) 向日市埋蔵文化財センターの実験考古学の研究員が土器製作の実験で再現した「古式土師器(はじき)」が、京都府向日市寺戸町の市文化資料館で展示されている。古式土師器は古墳時代前期(3世紀後半~4世紀代)の土器で、その製作法について、従来の学説より有力な方法が最近の実験で確認できたとし、再現土器と合わせ作り方を紹介している。

 研究員中塚良さん(51)によると、古式土師器は底部がとがった「庄内式」と、丸みのある「布留(ふる)式」の2種に大別される。庄内式は奈良・纒向(まきむく)遺跡、布留式は向日市の元稲荷古墳や寺戸大塚古墳などから出土している。

 その製作法についてはまだ十分解明されていないが、従来の研究では、先に作った土器の底部を手前の方向に連続して回しながら、タタキ板と呼ばれる木の板(長さ25センチ前後、幅5センチ前後)で、手前とは逆方向に、らせんを描くようにたたいて伸ばし、成形するのが最有力とされてきた。

 一方、中塚さんの実験では、タタキ板を前後ではなく横向きに平行移動させる形でたたき下ろしながら、土器の底部を手前とは逆方向に回転させていくと、粘土にいくつも層や面ができ、土器の強度が増すほか、らせん文様も同じようにつくことが分かったという。

 中塚さんは「大阪大の都出(つで)比呂志名誉教授が30年前に提唱した説以来の新たな発見。来年春には成果を研究論文で発表する予定」としている。

 展示では、再現土器を中心に22点が並び、うち1点は木津川河床遺跡で昨年に出土した古式土師器の甕(かめ)の実物。また、従来の有力説と今回の実験の作り方を図で比較紹介している。25日まで。

【 2011年12月01日 11時47分 】

土師器・須恵器の知識 (基礎の考古学)
玉口 時雄,小金井 靖
東京美術


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