お茶の京都DMO発足1年 観光振興けん引もツアー苦戦

2018-03-12 14:38:52 | 商 trading

 京都府と山城地域の12市町村が出資する一般社団法人京都山城地域振興社(お茶の京都DMO)が、発足から丸1年を迎える。山城地域の観光振興を引っ張る組織として誕生し、地域の魅力発信や知名度向上、誘客などさまざまな取り組みを進めてきた。この1年の動きや今後の課題を探った。

 先月27日午後、宇治市宇治の宇治川沿いにある府茶業会館。日本茶インストラクターの松石三重子さん(70)が軽妙な語りを交えながら、京都市内のホテルのコンシェルジュや観光案内所の職員、鉄道会社の社員ら23人に玉露の入れ方を手ほどきした。品質の高い茶を適度な温度で入れた味と香りに驚きが広がり「すごくいい匂い」「とっても甘い」の声が上がった。

 お茶の京都DMOが企画した「お茶の京都視察ツアー」の一コマだ。観光客と接する人たちに茶どころである山城地域の良さを感じてもらう狙いで、午前には和束町で茶畑を見学した。

 お茶の京都DMOは、年間5500万人の観光客が訪れる京都市からの誘客を戦略の一つとしており、ツアーはその一環。参加者から企画の相談があるなど好評で、今後も回数を重ねる方針だ。

 地元の「観光力」を高める取り組みにも力を入れる。先月21、22の両日には木津川市と城陽市で「観光力向上講座」を開催し、自治体や観光協会の職員、バス会社の社員ら計約60人が参加した。

 地域観光をコンサルタントしている森田英一氏が講師を務め、インバウンド(訪日外国人客)の取り込みについて、具体的な売り込み先や近年の傾向などを解説。実務的な助言に参加者は熱心にメモを取ったり、聞き入ったりした。

 旅行商品も販売しているが、苦戦しているのが現状だ。山城地域の名所をタクシーで回るプランは月に数件しか売れていない。お茶の京都DMOの脇博一社長は「5日前までに予約が必要なのが欠点」とみて、前日予約でも可能にできないか検討に入った。

 山城地域は鉄道が比較的充実しているものの、駅からのバスやタクシーが少なく、観光のネックとなっている。お茶の京都DMOは交通事業者が集う会議を16日に開き、こうした課題を話し合うつもりだ。

 脇社長は「できたばかりの組織で最初は何も分からなかったが、地元との人脈ができて情報が入るようになった」と1年を振り返り、「12市町村は広いので、魅力発信を継続していくことが大事だ」と話している。

【 2018年03月08日 18時50分 】



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