こんにちは。
霧の浅からやっと抜け出して太陽の光りが眩しくなって来ました。
昨日はちょっと変わった映画を見ていて夜更かししたので6時半のラジオ体操に間に合ず寝坊。
どんな映画を見ていたかと云うと、古いドイツの映画なんです。
1927年製作と云いますから昭和の初め頃ですね。
「metropolis」と云うタイトルで、ドイツ語に英語の字幕が付いています。
と云っても元々サイレントの映画ですので台詞は聞こえて来ません。
写真と写真の合間に台詞や説明が英語で出て来ます。
話のテーマは割と分かりやすい構図で表されているので言葉がわからなくてもおもしろいかもしれません。
とにかく俳優の演技に迫力を感じます。
こんな風に極端に主題を強調する手法で作られた映画は,いかにも映画らしいと思いました。
簡単にあらすじを話しましょう。
ある大都市の話です。
そこでは富裕層や特権階級の人だけが地上で暮らしています。
大都市を支える動力は全て地下に住む労働者階級の人たちに依って休みなく稼動しているのです。
要するに金持ちは地上で太陽の光りを存分なく浴び毎日陽気に楽しく暮らしており、
地下の労働者は疲れきった身体で抵抗する気力もなくただただ仕事に追われる毎日。
そんな大都市の日常が強調して描かれています。
ピクチャーが本当にSF的でカッコいい。
あるとき、美女と戯れて遊んでいる大都市の支配者の息子の元へ一人の美女が現れます。
事件の始まりですね。
労働者の息子達を引き連れた美しいその女性が云いました。
『この子達を見て,この子達はみんなあなたの兄弟姉妹なのよ」
美しい彼女の周りには汚れた労働着を着たたくさんの子供達が餓えた目をして彼女を取り巻いています。
その瞬間、息子の中に初めて今までとは別の感情が生まれ育ち始めるのです。
その感情に押されるまま彼は何時しか地下の世界へと足を踏み入れます、
が、そこで見たものは彼に衝撃を与えました。
一人の男が意味もなく時計の針のようなものをあっちへ向けたりこっちへ向けたりしている場所へ行くと、
彼は急に思いついてその労働者と自分の身の上を交換します。
着ている服を変え、労働者には自分の住む家に向かうように云いました。
そしてその男に変わり、大きな時計のような機械にむしゃぶりつき懸命に働くのです。
一方、主人公と人生を交換した男は有頂天。
でも今まで味わった事のない自由と裕福な環境に彼は少し戸惑っているようです。
タクシーに乗って行く先を書いた紙をドライバーに見せます。
そこには主人公の住む家の番号が書いて有るのです。
ところが途中でこの男は、
隣に止まった車の中に居る一人の美女に釘付けになりました。
するとその女は彼に一枚の名刺を渡します。
この名刺がクローズアップされた時にはアッと驚きました。
「yosiwara」そこにはローマ字で大きくこう書かれていたのです。
Yosiwaraですよ。吉原。
吉原と云えば何たってあの吉原でしょう。
江戸時代の遊郭だった場所、
紛れもなく日本語です。
この一瞬、私にはこの女性が娼婦であり彼を吉原と云う名前の娼婦館に誘っているのだと直ぐに理解出来ました。
まさか古いドイツの映画を見ていて吉原の事が出て来るとは思ってもいなかったので、
本当にビックリです。
この映画の監督は1927年の時点で日本に関するかなりの情報を持っていたと思われますね。
ドイツの人には絶対に分からない、
でも知る人ならその一言でどんな場所を表しているのか直ぐに分かるフレーズをこんなに大胆に使うなんてオシャレじゃないかしら?
このセンス好きよ。
でも説明されなきゃドイツ人には絶対に分からないでしょう。
良くそんな言葉を思いつき,使用したものですよね。
そこに思いを巡らせるとこの監督は日本が好きだったんだろうと想像します。
もしかしたら当時来日した事も有ったのかもしれません。
吉原と云う言葉に思いもかけない場所で出会ったことで奇妙な親近感が湧きましたわ。
結局この映画のテーマは、
有能な頭脳で考え,設計したした街や機械も、
現実に作り出す手がなければ何も生まれない,動かない。
頭脳だけ,手だけが発達したのがこの映画の大都市なのです。
でも一人の女性の働きに依って、
頭脳と手の間には心が通わなければならないと、人々が教えられれます。
90年も前の映画ですが、なかなかの迫力で怖いシーンがたくさんありました。
とくに主人公のうちの一人マリアを演じた女優の演技には目を見張ります。
もの凄い目力。
悪者にロボット化されてしまい機械人間になっている時の彼女の演技。
スーパーです。
最近おもしろい映画に当たらなかったの。
商業映画の結構有名なのを立て続けで見る機会がありましたがつまらないものばかりでガッカリしています。
でもこういうの見ると、うれしいですね。
映画って凄いなって感動します。
何より、吉原には本当にビックリしましたが、それがなんだかすごく嬉しいのです。
みんなに話したくなりました。
http://youtu.be/rtzTcqekPZI
良かったら見てください。
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