大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

アメリカでストライキが増加: 賃金上昇にはずみがつくか

2018年09月24日 | 日記

 アメリカでは減税をおいかぜに企業業績が大きく向上海外からの利益還流やそれを使った莫大な自社株買いもあり、DOWやS&P500といった代表的な株式指数は連日最高値を更新している。

 新興国の通貨安や経済不安も、アメリカへの資金流入をうながすことで逆に米株高の一因になっているという見方さえでている。

 しかしブログでもたびたび触れてきたように、こうした動きに賃金がついていっていない。その原因のひとつとして労働組合の退潮が指摘されるが、ここにきてようやく労働組合の動きが活発になってきたようだ。

 ウォールストリートジャーナルによると、今年にはいってストライキが増加。ストによる損失日数(スト参加者×スト日数)は、昨年が44万日だったのが今年はすでに63万日にたっしている。

 同紙によれば、今年2月にはウエスト・バージニア州で教員のストライキがおこなわれ5%の賃上げが実現された。

 これがきっかけとなり、その後、オクラホマ州、ケンタッキー州、アリゾナ州、コロラド州、ノース・カロライナ州でも教員ストライキがおこなわれ、それぞれ賃上げが獲得された。

 アメリカの東海岸や西海岸の教員は日本以上に手厚い待遇を受けているが、南部州では同じ国なのかとおもうほど教員の待遇が低い(教員ライセンスは州ごとに独立しているので教員は簡単に他州に移動できない)。

 多年にわたり冷遇されてきたこうした教員のたちあがりは、しばしば生徒や保護者からの支持もうけ社会的に大きな注目を集めることになった(当時はメディアもよく教員ストを取り上げていた)。

 また2018年9月初旬には、シアトル港湾でクレーン・オペレータ―のストライキが17日間続き、最終的に3年で17.8%の賃上げで決着した。

 さらにウォールストリートジャーナルによれば、シカゴでは26ホテル・5千人以上の清掃員が9月7日からストライキに入っている。

 ホテル関係者を組織する労働組合(UNITE-HERE)は、新規採用者の医療保険適用の改善、閑散期(冬期)のレイオフ中にも医療保険を継続すること、作業ノルマの改善(1直あたり16部屋から14部屋)などを要求している。

 こうした動きを受け今後、賃金上昇にはずみがつくか注目される。


日米で大学無償化広がる: 大阪府立大・市立大、年収590万円未満で授業料無償に

2018年09月19日 | 経済

 朝日新聞(2019/9/18)などによると、大阪府は年収590万円未満の世帯について、大阪府立大と大阪市立大の授業料を実質無償にすることをかためた。

 学生本人と親が入学の3年前から府内に住んでいることが条件。

 年度当たり30億円の負担を見込む。

 イギリスを除く欧州大陸の大学はほとんどが公立大学で、授業料は無償ないしきわめて低額になっている。

 アメリカでも、複数の州が2年制のコミュニティー・カレッジの授業料を無料にしているほか、ニューヨーク州は20万人の学生をようする公立大学の授業料の無料化を決定している。

 また2019年9月18日(水)にはニューメキシコ州知事が、29ある州立のコミュニティー・カレッジと4年制大学の学費を所得にかかわりなく州住民すべてに無料にすると発表した。

 大学無償化は民主党大統領候補選挙でも大きなアピール材料になっており、ウォーレン氏とサンダース氏がすべての公立大学の学費無料化をうちだし、バイデン氏も2年制のコミュニティーカレッジ(ほとんどすべて公立)の無償化を公約としてうちだしている。

 大学授業料無償化の流れが日米でどこまで広がるか注目したい。

 

ニューヨーク州、全公立大学の授業料を無料化 (2017/1/9)


8月の米インフレ率、先月より低下

2018年09月19日 | 日記

 2018年9月13日(木)、米労働統計局は8月のインフレ率(CPI)を公表した。

 全品目のCPIは1年前とくらべ2.7%の上昇(先月は2.95%)、エネルギーと食料品を除いたCPIは2.2%の上昇(先月は2.35%)となっており、先月よりインフレ率が低下したことが明らかになった。

 インフレ率低下にとくに寄与した品目は、食料品(1年前比1.4%)、一般消費財(同-0.2%)、教育・通信(同-3.1%)など。

 食料品については、貿易戦争により輸出が減少。結果的に、国内にあまった食料品があふれ、価格を押し下げたとみられている。

 また一般消費財(衣類、日用品など)については、8月23日から実施された対中関税第2弾が生産財中心であったことなどから関税引き上げの影響は出ていない模様。一般消費財を含む対中関税第3弾が発動されたあと、10月以降のCPIの数値が注目される。

 一方、上昇が目立ったのがエネルギー(1年前比10.2%)、運輸・交通(同3.9%)、家賃(同3.4%)など。

 ただしガソリン価格は、前年の9月以降に大きく上昇しているため、今後しばらくは1年前比の上昇率が鈍化する見込み。

 高関税によりアメリカのインフレ率が上昇し、利上げ加速を引き起こすことを懸念する声があるが、いまのところそのような兆候は出ていないと言っていいであろう。

 おだやかな物価上昇がいつまで続くか注目される。


ポールマッカートニーの新アルバムが米1位: 曲の中でトランプ大統領を批判

2018年09月17日 | 日記

 ポールマッカートニー(ジョンレノンとともにビートルズの中心メンバー)が2018年9月7日にリリースした新アルバム「エジプト・ステーション」が、米ビルボード200の首位になった(2018年9月22日発表分)。

 同アルバムは、ポールマッカートニーの18枚目のソロアルバム。

 ポールマッカートニーのソロアルバムが米首位になるのは、1982年発売のタッグ・オブ・ウォー以来。

 ポールマッカートニーは、同アルバムの「繰り返される警告に反して」という曲で、マッド・キャプテン(船長)が人々の警告を無視して人々を危険な方向に導いているとうたい、トランプ大統領批判をおこなっている

 ポールマッカートニーは現在76歳。老いてますますロックンロールという感じ。

 60年代、70年代、80年代のロックが好きな人なら一聴の価値あり。