2018年9月15日(土)、ウォールストリートジャーナルは、ホワイトハウスは数日内に中国に対し2千億ドル(22兆円:1ドル=110円)の追加関税を発表する予定だと報じた。ただし、関税率は当初予定されていた25%でなく10%になるとされている。
米政府内では、米中交渉を穏健な形でまとめようとするムニューシン財務長官、クドロー国家経済会議委員長と対中強硬派のライトハイザー合衆国通商代表、ナヴァロ国家通商会議代表がするどく対立。
今年に入ってからトランプ大統領は、前者が交渉をまとめかけるとそれを突然ちゃぶ台返しするということが続いている。
アメリカでは関税を引き上げてもGDPやインフレ率にほとんど影響がでていないことから(洗濯機など個別製品については小さくない影響が出ているが)、大規模関税を容認する意見も散見されるようになってきており、今後の行方が注目される。
ちなみに日本でもアメリカでもほとんど忘れられているが、2016年の大統領選挙において共和党の主流派ポール・ライアン下院議長が中心になってまとめた減税案は、すべての輸入品に20%の国境調整税をかけて減税の財源にするというものであった。共和党の主流派から保護主義的高関税政策が出されるほどにアメリカで貿易不均衡への不満が大きくなっていることは、ほかの国ではいまだになかなか理解されていない。こうした認識ギャップは大きな行き違いをうみだしかねず懸念されるところである(アメリカ政府の真剣さを見誤り、妥協すべきところで妥協せず、交渉を決裂させてしまう危険がある)。
9月18日追記
2018年9月17日(月)、米政府は9月24日から中国からの輸入2000億ドル(22兆円:1ドル=110円)分についてあらたに10%の関税を発動することを明らかにした。
2019年から関税は25%に引き上げられるとされている。